
| たしかに今の時点で「EV」を投入する理由は見当たらない |
「ランツァドール」EV計画が事実上の中止に?
ランボルギーニが2024年に発表した初のフル電動コンセプト「ランザドール(Lanzador)」。
背の高い2+2クーペとして登場し、2028年の市販を目指していたものの、その後発売時期は2029年へ延期され、そして今回、EVとしての開発計画が完全に見直される可能性が浮上しています。
一部報道によれば、EV化そのものがキャンセルされ(以前の報道ではEVに加えPHEVが追加されるというものだった)、別のパワートレイン(ハイブリッドなど)へと変更される可能性があり、最悪の場合、プロジェクト自体が中止される恐れもあるもよう。
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ランボルギーニ「正直なところ、現時点でも初のEV(ランザドール)をこのままEVとして発売すべきか、PHEVとすべきか判断がつきません」
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ランボルギーニCEO「EV需要の伸びは鈍化、今は顧客が望んでいない」
この方針転換について、ランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマン氏は英Auto Expressの取材に対し次のように語っています。
「3〜4年前まではEVの普及率が今より高いと予想されていたが、現在は停滞している。しかもこの傾向はラグジュアリースポーツカー市場ではさらに顕著だ。」
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さらに同氏はこう続けます。
「我々の顧客層は現時点でEVを“代替手段”と見ていない。技術的には可能だが、今ランボルギーニが提供すべきものではない。」
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また、SNSでのフォロワー動向についても言及し、
「我々は“夢を売る存在”であり、実際にクルマを購入できる1万人の顧客だけでなく、7000万人を超えるファンコミュニティも重要な存在だ」
つまり、「電動ランボルギーニ」に対するファンの否定的な反応も、方向転換の一因となったのだとも考えられ、これはフェラーリが情報を公開したEV「エレットリカ」の反応を見るに「わかる」ところでもありますね。
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プラグインハイブリッド(PHEV)への移行で“現実路線”へ
そしてステファン・ヴィンケルマン氏は今後の方向性としてプラグインハイブリッド(PHEV)を重視する姿勢を明確にし・・・。
「我々は新しいクルマをより速く、より美しく、そしてより低CO₂で提供するという約束を(PHEV化によって)果たした」
実際、V12ハイブリッドの「レヴエルト」、V8ハイブリッドの「テメラリオ」、そしてウルス SEはいずれも高い需要を記録していて、この成功を踏まえ、「ランザドール」もPHEV化される可能性が高いと見られているのが現在の状況です。
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V12エンジンは2030年以降も継続生産へ
なお、ランボルギーニは少し前に「電動化が加速する中でもV12エンジンを2030年以降も継続生産する」と発表済み。
現行ユニットは最新のEU排出ガス基準に適合しており、「象徴的なV12を守り続ける」というブランドの意志を示していますが、ランボルギーニは「モデルごとに異なるパワーユニットを搭載する」ことを前提としているので、このV12はもちろん、テメラリオの(モータースポーツ由来の)V8エンジン、ウルスSEの(ポルシェ由来の)V8エンジンが「PHEV化される」ランザドールには積まれない可能性もあり、となるとランザドールにはどのパワートレーンが搭載されるのか気になるところ。
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まとめ:ランボルギーニは“ハイブリッド時代”の現実解を選ぶ
完全EV時代の到来が確実視される状況ではありますが、ランボルギーニは「顧客体験」と「ブランド価値」を重視して段階的な電動化戦略を取るものと思われ、
フルEV版の「ランザドールが見送られる一方」、PHEVバージョンが(パワートレーンと価格次第では)ウルスに続く新しい柱となる可能性もありそうですね。
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参照:Auto Express