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シャオミSU7で衝突炎上事故、ドア開かず乗員が車内に閉じ込められ死亡—EVの安全設計に再度の懸念、一方で飲酒運転の疑いも

シャオミ

Image:Xiaomi

| はじめに:テスラだけではない、EVドアシステムの安全問題 |

またしてもシャオミに災難が降りかかる

ここ最近中国にて報じられる「電子制御(格納式、あるいはスイッチ式)ドアハンドルを搭載したEV(電気自動車)が、衝突や火災、または電源喪失後にどう反応するか」という問題。

中国ではこの「フラッシュマウントドアハンドル」が強く好まれる傾向があり、よって中国の自動車メーカーの殆どはこのドアハンドルを搭載し、海外の自動車メーカーもこの流行に倣っているというのが現在の状況です。

今回、「懸念」が現実に

そして今回報じられているのが、中国の巨大テクノロジー企業シャオミ(Xiaomi)が満を持して市場に投入したEVセダン「SU7」にて、再び痛ましい事故が発生したという事実ですが、今回の衝突炎上事故では、「ドアが開かず」31歳の運転手が車内に閉じ込められたまま死亡したとされ、現場に駆けつけた人々の必死の救助の試みもむなしく、シャオミの安全性に対する懸念が世界的な注目を集めているわけですね。

1. 事故の詳細:開かないドアと広がる炎

事故は月曜日の早朝、午前3時15分頃に中国の成都市で発生。

  • 事故の状況:報道によると、運転手がSU7の制御を失い、中央分離帯の植え込みに突っ込み、対向車線側で停止した後、すぐに車体が激しく炎上
  • 救助の失敗:現場の映像には、数人の男性が必死になって運転席側の窓を拳で何度も叩き割ろうとし、ドアを開けようと試みる様子が記録されていまが、ドアは一向に開かず、炎が広がるにつれて救助者は退避せざるを得ない状況に
  • 悲劇的な結末:その後、消防隊が到着し消火活動を行ったものの、運転手は救助されることなく死亡。中国成都市公安局交通管理局の発表では、運転手は飲酒運転の疑いがあるとされている

2. SU7の安全システムと過去の事例

SU7は、他の多くのモダンEVと同様に、衝突が検知されたりエアバッグが展開されたりした際に、ドアが自動的にロック解除される設計になっています。

  • 電子制御の盲点:SU7は比較的シンプルなプルタイプ(引き出し式)の外部ドアハンドルを採用しており、今回のケースでは、この自動解除システムが何らかの理由で機能しなかったとされ、車内には手動リリースの機構も備わっているものの、運転手が意識を失っていた可能性が高い状況でもあり、外部からの救助も不可能であったと報じられる
  • 相次ぐ懸念:今年4月にも、中国の安徽省でSU7の衝突事故により3人が死亡する事故が発生。この際も前部座席の2人が衝突直後にロックされたドアを開けられず、後に目撃者が窓を割って救出した後部座席の1人も怪我で死亡している
シャオミSU7 ウルトラ発売の興奮収まらず。発売後わずか2時間で年間販売目標の1万台を販売し、海外販売を示唆する発言も
Xiaomi

3. シャオミ株価への影響と高まる規制の動き

この事故のニュース、特に炎上したSU7の画像や映像が中国のSNSで急速に拡散したことで当然ながら市場は即座に反応。

  • 株価急落:シャオミの株価は一時的に8.7%もの急落を見せ、4月以降で最も大きな1日の下落幅を記録。最終的には5.24%安で取引を終え、同社の企業評価額から数十億ドルが失われる
  • 規制強化の動き:この事故は、中国当局が電子式・半電子式ドア機構に対する規制を検討している最中に発生。規制当局は、テスラなどで見られるようなデザイン優先のドアハンドル設計に対し、安全上の懸念から、機械的な解除機能の搭載を義務付ける方向で動いている
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Xiaomi

今回の事故は、中国だけでなく世界の自動車メーカーに対し、衝突時のドアの確実な開放性、すなわち緊急時の安全性が、デザイン性や電動化技術よりも優先されるべき課題であることを改めて突きつけており、続報そして規制の行方に注目したいところでもありますね。

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参照:CarNewsChina

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