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| シャオミSU7の販売は3週連続で減少、シャオミの自動車事業に逆風 |
中国の消費者は中国製品に対しても手厳しい
中国自動車流通協会の保険登録データによると、小米(Xiaomi / シャオミ)の電気自動車「SU7」シリーズにつき、2025年の第16週から第19週にかけて3週連続で販売台数が減少したことが明らかに。
- SU7 / SU7 Ultraの合計販売台数:7,200台 → 5,200台
- SU7(スタンダードモデル)の週販:6,700台 → 4,700台
これはもちろん直近で「死亡事故」「SU7ウルトラの機能制限とダミーダクト問題」など安全や信頼に関わる問題が大きくネットを騒がせたことに関連しており、シャオミの創業者である雷軍(Lei Jun)氏が自身の公式Weiboに投稿した「創業以来、最も厳しい時期」がまだまだ続きそうであることを予感させます。
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What's everyone capturing with #Xiaomi15Ultra at Xiaomi Booth? 📸#MWC25 pic.twitter.com/IZ2IflRznt
— Xiaomi (@Xiaomi) March 4, 2025
信頼失墜の原因となった3つの主な炎上事件
ここでシャオミが抱えることになった「問題」とその原因を振り返ってみると以下の通り。
■① カーボンファイバーボンネット問題
SU7 Ultraには42,000元(約84万円)でオプション設定されているカーボンボンネットに関し、ユーザーが実物を確認したところ、
- 「冷却用の空力ダクトがある」と説明されていたものの、実際には空気が流れる構造を持っていない
- 標準のアルミ製ボンネットとの重量差はわずか1.3kg
- 性能向上もほぼ見られず、価格に見合わないパーツ
が明らかになり、これによって「虚偽広告だ」との批判が噴出することに。
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■② OTAアップデートによる出力制限
5月のソフトウェアアップデートにて、シャオミSU7 ウルトラの最大出力が(安全上の理由にて)消費者の許諾なく一方的に1,548馬力から900馬力に制限され、特定の走行条件(トラック走行記録)を達成しないとフルパワーを解放できない仕様に。
「世界最速の4ドア車」としてトップスピード350km/hを謳っていたマーケティングとの整合性が取れないとユーザーが激怒する事態に発展しています。
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■③ 安全性に対する懸念
3月末には黄色のSU7 Ultraが高速走行中に大破。
その後、さらに別の高速道路事故も発生し、社会的な注目が集まり、これらの事故を受け、小米は安全対策の強化を急ぐ方針を表明したものの、完全にSU7に対する不安を取り除くことができていない状態です。
顧客の抗議と法的措置がエスカレート
現地の報道を見る限り、不満を募らせた顧客たちは様々な抗議行動に出ているとされ、特にSU7 ウルトラの購入者の50%以上が初めて高級車(50万元超)を購入した層であり、スペックやブランドへの期待値が非常に高かったことから以下の行動へと発展しているようですね。
- 北京の納車センターに30人以上が集結し抗議デモ(横断幕には「虚偽宣伝」)
- 300人以上が「権利保護グループ」を結成し、返金+3倍賠償を要求
- 一部ユーザーは弁護士を雇い、集団訴訟を準備
規制当局もEV業界全体に是正措置
さらにこれらはシャオミだけの問題にとどまらず、中国政府はシャオミの一連の問題を受け、以下のようなEV業界に対する規制強化を進るといった状況に発展していて、現在のところ「事態が沈静化する」動きが見られないもよう。
- 4月上旬:バッテリー安全基準の改定
- 4月中旬:自動運転の宣伝規制(「高レベル自動運転」から「運転支援」に表現変更)
- 5月8日:電動ドアハンドルに関する国家標準案の意見公募
小米の失策がEV業界全体に与える影響とは?
シャオミはすでにSU7ウルトラの性能制限問題については謝罪し、2万ポイント相当の補償を実施しましたが、ユーザーの多くは「無条件の返金+ペナルティなしでの契約解除」を求め続けているというのが現在の状況で、現時点では報道を見る限り「和解」に至っておらず交渉の状況も不明であり、以下のように指摘した業界アナリストも。
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「技術力よりもマーケティングを優先するEVメーカーは少なくない。今回の件は、業界全体に対して“見せかけではなく実力で勝負せよ”という警鐘となる」
【まとめ】信頼回復は容易ではない、EV競争時代の真価が問われる
- シャオミSU7シリーズが販売・信頼・安全の三重苦に直面
- 顧客の反発と法的対応が今後のビジネスに重大な影響
- 業界全体に対する政府規制の引き締めが加速中
シャオミの今後の動向はもちろん、マーケティング偏重だったEV業界がどう変化していくかも注目されるところですね。
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