
| アイオン ハイパーSSRのデザインは自社の持つミラノのデザインオフィスにて |
そのスタイリングに「華」があるのは間違いない
さて、北京にて中国の新興ブランド、AIONが販売するハイパーカー「SSR」の展示に遭遇したため、ざっとその様子、見てみた印象について述べてみたいと思います、
なお、AION(広汽埃安)は、中国を代表する電気自動車ブランドの一つで、その急速な成長と技術力で国内外から高い注目を集めるブランドのひとつ。
展示されていたのは北京の王府井で、カルティエやヴァンクリーフ&アーペル、オーデマ ピゲやグラフ、ティファニーなどが並ぶ高級ショッピングゾーンであり、つまりは「そのあたりの客層」を意識している、ということになりそうですね。
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中国の新興EVブランド、「AION」とは
そこでまずはこの「AION」について簡単に紹介してみたいと思います。
- 親会社: 広州汽車集团股份有限公司(GAC Group)
- 中国国有の大手自動車メーカーであり、トヨタ、ホンダなどとの合弁事業でも知られる
- 設立: 2017年
- 本社: 中国・広州
- ブランドスローガン: 「先進的で楽しめる」を意味する「先人一步的科技享受」
AIONの特徴と強み
- 専用プラットフォーム「AEP」の採用
- ガソリン車をベースにした「換装EV」ではなく、最初からEVとして設計された「専用プラットフォーム」をいち早く採用。これにより、室内空間の広さ、走行性能、安全性が向上することに
- 最新の「AEP 3.0」はハイパースポーツプラットフォームとして、超高速充電や高い運動性能を実現
- バッテリー技術「弾匣電池」
- AIONが誇る独自のバッテリーセル技術で、針刺し試験(ニードルテスト) でも発火・爆発しない高い安全性が特徴とされる。この安全性の高さは、中国市場で大きなアピールポイントとなっている
- 製品ラインナップの豊富さ
- セダン、SUV、MPVなど、多様なボディタイプで市場をカバー。特に「AION S」と「AION Y」は、中国国内で常に販売台数トップクラスに入る大ヒットモデルに
- 手頃な価格帯
- 高性能・高機能ながら、比較的リーズナブルな価格設定がされており、中国の大衆市場で広く受け入れられている
- ハイテク機能の充実
- レベル2+のADAS(先進運転支援システム)や、高速道路での自動運転を可能にする「NDA」機能、さらには「AICS」と呼ばれるスマートパーキング機能など、先進のテクノロジーを積極的に投入している
主なモデル
- AION S:
- ブランドを代表するコンパクトセダン。タクシーやライドシェアでも非常に人気が高く、中国EV市場の定番モデル
- AION Y:
- コンパクトながら驚異的な室内空間を実現したSUV。若年層を中心に大人気で、「移動するリビングルーム」と称されることも
- AION V:
- よりしっかりとしたミドルサイズSUV。独特なデザインと実用性が特徴
- AION LX:
- ブランドのフラグシップSUV。最高級の素材と最高峰の性能(最速で0-100km/h加速2.9秒)を備える
- Hyper HT:
- 高級サブブランド「Hyper」の一員として登場したSUV。電動ガルウィングドアが特徴的な、テスラ Model Y への対抗モデルとして知られる
- Hyper SSR:
- 中国初の純国産スーパースポーツとして発表された電動スーパーカー。0-100km/h加速1.9秒をうたっており、中国自動車産業の技術力を世界に示す象徴的な存在でもある
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AION ハイパーSSRはこんなクルマ
そこで今回展示されているハイパーSSRを見てみた印象ですが、まずは「意外とカッコいい」「意外とコンパクト」というもの。
なお、道行く人々が展示車を見て足を止めたり撮影したりしていたので、やはり「かなり目を引くクルマ」であることは間違いなく、かつ老若男女に幅広く魅力をアピールしていたように思います。
搭載されるエレクトリックモーターはフロント1基、リア2基の合計3基、出力は1,225馬力(1,225匹、という常時がなんともユニーク)。
900Vプラットフォームを採用し、充電にかかる時間はわずか30分。
0−100km/h加速はわずか1.9秒だと説明されています。
ボディパネルは「フルカーボン(クロームラッピングが施されている)」、車体構造は「フルアルミ」。
なお価格は128.6万元、つまり現在の為替レートだと約2,600万円程度です。
スペックとスタイリングは「悪くはなく」、しかしこの価格で「売れるかどうか」はちょっと不明。
というのも原罪の中国市場にはこのスペックは「ありふれたもの」となっており、そしてこのクルマに「この価格を出す」理由を見出すことは難しく、たとえばアイオンSSRを購入するのであれば「BYD(ヤンワン)U9のほうがいい」かもしれません。
おそらくはフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン(ハイパーSSRと同じ価格帯であれば”中古”という選択肢になるが)とは競合せず、競合するのであれば同胞である中国の自動車メーカーになるのだと考えられます。
そして実際のところアイオン ハイパーSSRにはライバルに比較してなんらかの優位点が見当たらず、たとえばヤンワンU9だと「ダンスしたりジャンプしたり」、そしてそのハードコアモデル”エクストリーム”では「前人未到の時速496キロ」を達成するなど”買うべき理由”が付与されており、そう考えるならば荒唐無稽であるように思えながらも「ダンスしたりジャンプしたり」「タンクターンができたり水の上を航行できたり」という機能はそれなりに意味があるのかもしれません。
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