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【ポルシェ新CEO決定】元マクラーレンCEOミヒャエル・ライターズ博士が2026年1月より「出戻り」就任。オリバー・ブルーメ氏はVWグループCEOに専念へ

【ポルシェ新CEO決定】元マクラーレンCEOミヒャエル・ライターズ博士が2026年1月より「出戻り」就任。オリバー・ブルーメ氏はVWグループCEOに専念へ

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| ポルシェ、新CEOにミヒャエル・ライターズ博士を任命 |

ついにポルシェCEO「後任」が決定

ポルシェが「同社の監査役会が2025年10月17日、2026年1月1日付でミヒャエル・ライターズ博士(Dr. Michael Leiters)を新CEOに任命する」と発表。

なお、現CEOのオリバー・ブルーメ博士(Dr. Oliver Blume=下の画像)は10年間にわたってポルシェを率いたのち、今後はフォルクスワーゲングループCEOとしての職務に専念することになる、ともアナウンスがなされています。※オリバー・ブルーメCEOはこの数年、ポルシェそしてフォルクスワーゲンCEOを兼任しており、しかしキャラクターが異なる両ブランドのCEOを兼任することなどに疑問が呈されていた

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ポルシェ
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監査役会議長ウォルフガング・ポルシェ博士のコメント

オリバー・ブルーメ氏は在任中、

  • ポルシェ史上最高の収益を記録した複数の年度を実現
  • ポルシェAGの**株式上場(IPO)**を主導
  • 国際市場へのさらなる拡大を推進
  • モータースポーツでの歴史的勝利を達成

といった功績を残しており、ポルシェAG監査役会会長のウォルフガング・ポルシェ博士は次のように述べています。

「ブルーメ博士は困難な時代においても卓越したリーダーシップを発揮し、ポルシェを成功に導きました。
彼の強いコミットメントに心から感謝します。
今後もフォルクスワーゲングループCEOとして、信頼と協調のもとで緊密に連携していくことを楽しみにしています。」

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ブルーメCEO:10年間の成果と後継者へのメッセージ

そしてオリバー・ブルーメ氏は退任にあたり次のようにコメント。

「10年間にわたりポルシェAGの舵取りを担ってきましたが、年末をもってその責務を後任に引き継ぐことを決断しました。
この素晴らしいチームとともに偉大な企業を築き上げる機会を得たことを誇りに思います。
後任となるミヒャエル・ライターズ博士はスポーツカービジネスにおける豊富な経験を持つ人物であり、
私は彼と新経営陣を全面的に信頼しています。」


ポルシェの現状と今後の方向性

ブルーメ氏はまた、ポルシェの現状について次のように語っています。

「アメリカと中国というポルシェ最大の市場で起こっている急激な変化が、我々のビジネスモデルに新たな要求を突きつけています。
そのため本年度は構造的な再編を行い、製品戦略を全面的に見直しました。
駆動方式の柔軟性を高め、コスト構造を最適化したことで、ポルシェは今後の時代に向けて強固な体制を築くことができました。」

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ミヒャエル・ライターズ博士とは何者か

ライターズ博士は2022年7月から2025年4月までマクラーレン・オートモーティブのCEOを務め、その前はフェラーリで8年以上CTO(最高技術責任者)を担当。

さらに以前はポルシェで13年間勤務し、マカンおよびカイエンの開発責任者を務めていたことでも知られます(フェラーリではプロサングエの開発を担当しており、つまりSUVのスペシャリストでもある)

よってライターズ博士はポルシェのDNAを熟知する人物であり、同ブランドへの“復帰”ともいうことになりますが、ライターズ博士は、工学的バックグラウンドとラグジュアリー志向を兼ね備えた経営者として評価されており、ポルシェを再び「スポーツカー中心のブランド」へと導く可能性も。

さらには同氏ほど「トップブランド(しかも重役)を渡り歩いた」人物はそう多くはないものと思われ、今後の活躍には大きな期待がかかります。

「ミヒャエル・ライターズ博士は自動車業界における数十年の経験を持つ人物です。
彼のリーダーシップと専門知識は、ポルシェ経営陣を成功へ導くための理想的な条件を備えています。
彼とポルシェAGの経営チームに、監査役会は全幅の信頼を寄せています。」

ウォルフガング・ポルシェ博士

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ブルーメ氏退任の背景:株価下落と社員の不満

ブルーメ氏はポルシェのCEOとして10年間、さらにここ3年間はフォルクスワーゲングループ全体を率いてきましたが、上述の通り株主や従業員からはその“兼務体制”に不満の声が上がっていたのもまた事実。

  • VW株価は30%下落
  • ポルシェ株は2022年の上場以来、半減
  • 中国市場での販売不振とEV戦略の遅れ
  • そして相次ぐ利益警告(profit warning)

ドイツ紙「Bild」によると、VW従業員代表のダニエラ・カヴァッロ氏は次のように発言しています。

「CEOがフォルクスブルク(VW本社)とツッフェンハウゼン(ポルシェ本社)を行き来する“パートタイム”であってはなりません。この状況は終わらせる必要があります。」


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まとめ

この人事により、ポルシェは次世代リーダーシップ体制へと移行することとなりますが、マクラーレン、フェラーリ、そしてポルシェというハイパフォーマンスブランドを渡り歩いたライターズ博士が、ポルシェの電動化・デジタル化時代をどのように舵取りしていくのかに注目が集まるところですね。

なお、今回のCEO交代は、単なる業績の問題ではなく、(株価が下がり続けるポルシェからの)投資家へのメッセージであるとも見られており、「ポルシェは変わる」「リーダーシップを刷新し、未来へ進む」という意思表示なのかもしれません。

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参照:Porsche

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