
| 不安定なニュースとは裏腹に、テスラは圧倒的な販売実績を記録 |
イーロン・マスクCEOの販売とは裏腹に「テスラ(車両)の安心感は絶対である
リコール、株価下落、そしてサイバートラックの販売不振——この一年、テスラをめぐるニュースはネガティブな話題に満ちていましたが、しかし2025年第3四半期の販売データを見る限りだとその不安は杞憂に終わったもよう。
実際のところテスラは米国市場で43万7,487台のEVを販売し、ライバル全社全社を合計しても及ばないシェアを記録したことが明らかに。
2025年第3四半期の販売台数は前年同期比だと約30%増、第2四半期比では40%増という驚異的な伸びを示しており、EV市場全体が(減税措置終了前の駆け込みを背景として)好調に推移したこともありますが、その中心にいたのは間違いなくテスラであったわけですね。
EV税制終了前の「駆け込み需要」が後押し
専門家によれば、この販売急増の一因は2025年9月末で終了した連邦EV税額控除(最大7,500ドル)にあり、米国ニュース&ワールドレポートのシニアエディター、ジョン・ヴィンセント氏は次のように語っています。
「ここ数カ月は、新車需要が“人工的に”押し上げられていました。トランプ政権による輸入税回避、そして税控除の終了が重なったためです。」
つまり、この勢いが年末まで持続する可能性は低く、第3四半期は一時的なブーストであると見られています(ただ、連邦EV税額控除はほかの自動車メーカーにとっても等しく関係するため、テスラはこの状況をうまく利用したことは間違いないものの、条件は他社も同じである)。
EV価格は上昇傾向、テスラのリース料も高騰
なお、この税制終了の影響はすでに価格面にも現れているとされ、テスラのリース価格は平均で月額で242ドルも上昇し、中でもモデル3は月349ドルから529ドルへと大幅に値上がりすることに(米国ではリース販売が個人にとっても一般的な購入手段である)。
参考までに、一部メーカー(例:BMW)は価格据え置きを宣言していますが、テスラは連邦EV税額控除終了後、すぐに価格を引き上げるという「強気」の戦略に出たわけですね(ただ、BMWなどの「価格維持」も長期的には難しいと予測されている)。
もうひとつ参考までに、テスラのこの価格流動性を見るに、テスラが「連邦EV税額控除前の駆け込み」を呼び込むべく「大きく値下げしたであろう」こと、一方のBMWは「価格を変動させなかった」ことも推測されます。※やはりテスラはこの状況をうまく利用した
モデルYがテスラの屋台骨を支える
テスラの販売台数を牽引したのはやはりモデルY。
第3四半期だけで11万4,897台を販売し、前年同期比で約29%増を記録していますが、このモデルYは2022年以降、一貫して米国EV販売のトップを維持しています。※モデルYは「EV版トヨタ・カムリ」とも呼ばれ、電動化時代の大衆車としての地位を確立している
| 年度 | 米国内販売台数(推定) |
|---|---|
| 2021 | 172,700台 |
| 2022 | 231,400台 |
| 2023 | 385,900台 |
| 2024 | 405,900台 |
| 2025 Q3 | 114,897台(四半期) |
テスラ勢が上位を独占、ライバルは苦戦
2025年第3四半期のEV販売トップ10を見るとテスラが1位と2位を独占していることがわかり、モデルYとモデル3だけで他8車種の合計販売を上回るという結果に。
この結果からも、テスラの存在がEV試乗全体を牽引しているということがわかりますね。
| モデル | Q3販売台数(米国) |
|---|---|
| テスラ・モデルY | 114,897 |
| テスラ・モデル3 | 53,857 |
| シボレー・エクイノックスEV | 25,085 |
| ヒョンデ・アイオニック5 | 21,999 |
| ホンダ・プロローグ | 20,236 |
| フォード・マスタングMach-E | 20,177 |
| VW ID.4 | 12,470 |
| アウディQ6 e-tron | 10,299 |
| フォードF-150ライトニング | 10,005 |
| リヴィアンR1S | 8,184 |
サイバートラックは販売不振、市場飽和が原因か
その一方でサイバートラックは苦戦していることが明らかになっていて、2025年第3四半期の販売台数は5,385台で前年同期からは63%減という大幅減。
価格の高さに加え、品質問題(洗車で部品が脱落する報告など)や実用性の低さが指摘されていること、また、ピックアップトラック市場のユーザー層は保守的で、テスラの未来志向的なデザインが受け入れられなかったことが原因だと考えられているようですが、ほかモデルが伸びている中での減少を見るに「買いたい人はすでに買った」状態なのかもしれません。
EV市場の未来は依然として明るい
連邦税制優遇の終了による「駆け込み」がなくなること、そしてインフラ支援の減少により短期的にはEV市場の成長鈍化が予想され、しかし、すでに多くのドライバーがEVの利便性とコストメリットを実感しており、内燃車への“逆戻り”は考えにくい状況です。
今後はバッテリー技術の進化と、より安価なエントリーモデルの登場が市場をさらに押し上げることとなり、その中でテスラが依然としてこの潮流の中心にあり続けるのか、それともこの流れを変えるメーカーやモデルが登場するのかにも興味が尽きないところですね。
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