
| 「軽さこそ速さ」——元テスラ技術者たちが挑む“EVの常識破り” |
EVでここまでの軽さを実現できるとは驚きである
電気自動車(EV)の世界を見渡せばひとつの共通点を発見することができ、それは「とにかく重い」ということ。
たとえば「軽い」とされるキアEV6ですら車重は1,800kgを超えるというのが実情で、そんな現状に異を唱えるのが元テスラのエンジニアたちが設立した英国の新興メーカー「Longbow(ロングボウ)」。
創業者のダニエル・デイビーとマーク・タプスコットを中心に電動ボート会社の元CEOらが加わることで運営がなされ、「軽さこそ性能」という理念のもと開発されたのが今回発表されたオープントップEV「Longbow Speedster(スピードスター)」というわけですね。
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わずか895kg、「フェザーウェイトEV」の名は伊達じゃない
ロングボウは自社のスピードスターを史上初の“FEV(Featherweight Electric Vehicle/フェザーウェイトEV)”と呼んでいて、実際にその車重はなんと895kg。
これは一般的なEVの半分以下という驚異的な軽さであり、それでいてスペックは「本格派」。
- 0-100km/h加速:3.5秒
- 航続距離:275マイル(約442km/WLTP値)
- ベース価格:£84,995(約1,720万円)
さらにルーフ付きの「ロングボウ・ロードスター(Longbow Roadster)」も開発中だとされ、こちらはより手頃な£64,995(現在の為替レートだと約1350万円)から販売される予定であり、初回納車は2026年に開始される見込みです。
コーリン・チャップマンの精神を継ぐ「Speed of Lightness」
ロングボウの設計思想は、ロータス創業者コーリン・チャップマンの名言である、
“Simplify, then add lightness”(簡素化し、軽さを加えよ)
に強く影響を受けていますが、このスピードスターは完全新設計のアルミシャシーを採用し、そこへコンパクトなエレクトリックモーターと「モジュール一体型バッテリーレイアウト」を組み込むことによって剛性と軽量性を両立。
開発陣はこれを「ロータス・エリーゼやジャガーEタイプの精神的後継」と位置づけています。
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「私たちの“Speed of Lightness”の哲学が、多くのエンスージアストの心に響いた」
ロングボウ 共同創業者 兼CEO ダニエル デイビー
そして開発発表からわずか6ヶ月で走行可能なプロトタイプを完成させたスピード感も驚異的で、これは出身元のテスラが「いまだ新型ロードスターを発売できない」のとは対照的。
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テスラ・ロードスターより先に走る? EVスポーツカーの主役交代か
ロングボウは2026年に量産開始を予定していますが、もし予定通り市販にこぎつければEV市場における「パフォーマンス=重量」という固定観念を覆す存在になりそうです。
なお、ロングボウの快進撃を支えるのは、経験豊富な業界人たちで、彼らがアドバイザリーメンバーとして参加しており、小規模メーカーながら技術・ブランド戦略の両面で厚い布陣を誇ります。
- 元マクラーレンCEO:マイク・フルーイット
- 元ロータス・ヨーロッパ責任者:ダン・バルマー
- 元アルピーヌCEO/ルーシッド・ヨーロッパ幹部:マイケル・ヴァン・デル・サンデ
まとめ:「軽いEV」という新カテゴリーの幕開け
EV=重いという常識を打ち破るロングボウ スピードスター。
その存在はEVの未来を“加速”ではなく“軽量化”で切り開く可能性を示しています。
イーロン・マスクが描く未来よりも、先に走り出した元テスラ技術者たちにより、2026年、EVスポーツカーの勢力図が大きく塗り替えられるのかもしれません。
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参照:Longbow














