
| なぜモデルYは“欠陥だらけ”と評価されたのか? |
つまるところ「中国製のモデル3のほうがドイツ製のモデルYよりも信頼性が高い
ドイツは世界で最も厳しい車検制度を持つ国として知られていますが、その車検を担当するTÜVが発表した最新レポートにて、テスラ・モデルYが「今年もっとも欠陥の多い車」という不名誉な結果を得たことが明らかになっています。
この結果は9500万件以上の検査データを元に作成されたレポートによって示されたもので、つまりは単なる印象ではなく統計的に裏付けられたもの。
EV人気が高まる中、テスラの品質問題はどこまで深刻なのか──ここではその実態を紐解いてみたいと思います。
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サマリー
- ドイツTÜV(テュフ)が最新の大規模調査を公開、モデルYが欠陥率17.3%でワースト認定
- モデル3(13.1%)もワースト上位に入り、テスラ車は“下位常連”に
- VW T-RocやメルセデスBクラス、マツダ2は優秀な低欠陥率
- テスラ車は走行距離が長い点は評価されるが、品質面の指摘は深刻
- 年式別に見ると、BMW 5/6シリーズやダチア ダスターもワースト常連
TÜVが明かす“テスラ品質問題”の現実
1. モデルY:欠陥率17.3%でダントツのワースト
TÜVの調査によると、2〜3年落ちの車両カテゴリにおいて・・・。
- テスラ・モデルY:欠陥率 17.3%(ワースト1位)
- テスラ・モデル3:欠陥率 13.1%(ワースト3位)
EVとして走行距離5万km超は高評価ながら、総合的な品質・耐久性は“著しく劣る” と判断されています。
2. 逆に“優秀”とされたモデル
同じ2〜3年落ちで最も欠陥が少なかったのは以下のモデルで、いずれも堅実な作りで知られるモデルばかり。
EVや先端車種ではなく“コンパクト&実用車”が上位に入る点は興味深い結果です(それだけシンプルに作られており、トラブルの原因となる要素自体が少ないのだと思われる)。
- VW T-Roc:3.0%
- メルセデスBクラス:3.0%
- マツダ2:2.9%
3. 全体傾向:故障ゼロ車は66.1%と意外に多い
参考までに、TÜV全体の調査結果では・・・。
- 故障ゼロ車:66.1%
- 重大欠陥あり:21.5%
- 走行不能レベル:0.5%
といった具合に一般的な品質はさほど悪くはないようで、しかし、EVメーカーとして注目されるテスラが下位常連という点は無視できない状況かと思います。
年式別ランキング:テスラ以外の“ワースト常連”も明確に
そして以下は「年式別」ランキングですが、以下の傾向を見て取ることが可能です。
→ BMWの5/6シリーズは“年式が進むほど悪化する”傾向
→ ダチアは低価格ゆえに耐久性の低さが顕著
→メルセデス・ベンツの耐久性が高い
→フォルクスワーゲングループのクルマは意外と(?)品質がいい
→逆にルノー(ダチア含む)は今ひとつ
■ 4〜5年落ち
- ワースト:テスラModel 3(21.0%)、BMW 2アクティブツアラー(20.6%)
- ベスト:アウディQ2、VW T-Roc
■ 6〜7年落ち
- ワースト:BMW 5/6シリーズ、ダチア ダスター
- ベスト:VW Golf Sportsvan、VW T-Roc
■ 8〜9年落ち
- ワースト:ダチア サンデロ、ダスター、BMW 5/6シリーズ
- ベスト:メルセデスBクラス、CX-3
■ 10〜12年落ち
- ワースト:BMW 5/6シリーズ、ルノートゥインゴ、クリオ
- ベスト:メルセデスA/Bクラス、GLE、VW トゥアレグ
市場での位置付け:テスラ品質問題は今後どう影響する?
1. ドイツ市場は“品質の本場”
ドイツは品質と耐久性を最重視する市場。
そこにおいてテスラが連続でワースト入りすることは、ブランドイメージに大きな影響を与えることが考えられますが、ドイツにて販売されるテスラモデルYはドイツ(ベルリン)製なので、今回の調査は「メイド・イン・ジャーマニーのクルマの品質が最も悪い」という皮肉な結果を示しているのもまた事実。
ちなみにドイツ市場で販売されるモデル3は中国(上海)製なので、これもまた「ドイツ製よりも中国製のテスラのほうが品質がいい」という、あまりにも皮肉な結果を示しています。
2. テスラ車は「よく走る」が「壊れやすい」
さらに今回のレポートが指摘したポイントは興味深いもので・・・。
- テスラ車は走行距離が非常に長い
- しかし欠陥率はガソリン車より高い傾向
つまり、テスラのクルマは「ほかブランドのクルマよりも長い距離を走るゆえ」トラブルが多くなっているのかもしれません(もし、ほかブランドのクルマがテスラと同じくらい走ったとしたら、テスラよりもトラブルが多いのかもしれない)。
3. EV=“高品質”ではないという現実
EVは構造がシンプルで故障しにくいと言われますが、TÜVのデータはその一般論に“例外がある”ことを示しています。
特にテスラの車体品質・足回り耐久性・仕上げ品質などは、以前からオーナー間でも議論の的ではあったものの、レポートでは「どこがどう壊れる」という言及がなされていないため、より正確かつ公平な判断を下すには「そのあたり」を掘り下げてみる必要がありそうです。
結論:モデルYの欠陥率は市場への大きな警鐘
それでもテスラ・モデルYが「今年もっとも欠陥の多い車」と評価された背景には、統計データに基づく厳しい現実が存在し・・・。
- 2〜3年落ちで17.3%という高すぎる欠陥率
- モデル3もワースト常連
- 欧州メーカーは安定した品質を維持
- 年式が進むと差がさらに劣化が鮮明に
EV市場の中心にいるテスラだからこそ、品質評価の低下は、市場全体の信頼性にも影響を与えかねず、今後、テスラがどのように品質改善を行ってゆくのかにも注目が集まります。
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参照:jalopnik
















