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| 日産GT-Rの未来は依然として不透明 |
そもそも日産が存続できるかどうかも不透明である
世界的なEV需要の変動、貿易障壁、中国勢の台頭など、多くの自動車メーカーが厳しい状況に直面していますが、日産はそれ以上に財務的な難しさを抱えている、という状況。
そんな中、長年ブランドの象徴であり続けるGT-Rの次世代モデルについても、「いまだ方向性が固まっていないようだ」、と報じられています。
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日産GT-Rの「ゴッドファーザー」かく語る。「GT-Rは日産のDNAの象徴でありドライビングプレジャーを体現する車」「できればエンジンを残したい」「どうか新型R36 GT-R登場まで辛抱強く待っていただきたい」
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優先すべきは“生き残り”。GT-Rは急いで決める車ではない
まず英Autocarのインタビューに応じた日産のチーフ・パフォーマンス・オフィサー、ギヨーム・カルティエ氏は、次期GT-Rについて以下のようにコメント。
「我々はさまざまなルートを検討している」
パワートレーンなのか、車両のキャラクターなのか、さらには市場での位置づけなのか――。
どの領域を指しているのかすら曖昧なほど、次期GT-Rの開発は右往左往しているのだとも考えられますが、カルティエ氏は、GT-Rは“ニッチかつ低ボリューム”のモデルであるため、決断を急ぐ必要はないとも語っています。
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実際のところ、日産にとって最優先すべきは「まず主力モデルの立て直し」。
GT-Rも日産にとって重要なクルマであることは間違いなく、しかし「利益よりブランド価値をつくるクルマ」は今の状況だと後回しにされても不思議ではなく、とはいえ、ここ数年の幹部の発言から考えると、次期GT-Rが完全に白紙というわけではなさそうです。
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日産が公式に新型GT-Rについて言及。「ポルシェをそのホーム、つまりニュルで打ち負かすことは次世代GT-Rでも必須です。なんらかの電動化もなされるでしょう」
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■ 新型GT-Rは「登場する」。しかもハイブリッドの可能性濃厚
ブランド新CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は数ヶ月前、
「GT-Rは開発中」
と明言済み。
さらに北米日産の副社長でプロダクト担当のポンズ・パンディクチラ氏も、
「2030年までに登場する」
「パワートレーンはターボV6+何らかのハイブリッド」
と示唆しています。
ただし、その“ハイブリッド”がマイルドHVなのか、プラグインハイbリッドなのかは検討中だとされ、その理由は明確で、
「現状のEV技術では、GT-Rが求める長時間の高負荷走行に耐えられない」
というものです。
加えて、欧州の「2035年ガソリン車販売禁止」の行方が不透明であること、(後述の)全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の実用化についても確定的ではないという事情も絡んでいるのかもしれません。
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■ 全固体電池は使われるのか?
数年前、日産は以下の理由から全固体電池が次期GT-Rに搭載する可能性を示唆しており・・・。
- エネルギー密度が高い
- バッテリーを小型・軽量化できる
- スーパーカーに最適
さらに2028年に全固体電池採用のEVを発売すると日産は述べており、GT-Rがハイブリッド化されたとしても、その補助電源として全固体電池が使われる可能性が残ります(ただ、全固体電池には、”技術”以外にも”コスト”という課題が残る)。
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新型日産GT-R(R36)は2028年に全固体電池搭載にて発売?日産副社長「私はミニバンを作るために日産に入社したのではありません。パっとしないGT-Rも発売しません」
Nissan | 現時点では新型GT-Rの具体的な話は聞こえてこないが、日産にとってGT-Rとはある種の象徴であるだけに最大限の注力を行うだろう | ただし現時点ではそこに投入しようと考える「技術」が ...
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日産が将来のEV生産に向け「ギガキャスト」導入を発表、加えて2028年に稼働する全固体電池(ソリッドステートバッテリー)パイロット生産設備を公開
Nissan | 日産は長期計画、そして中期計画を組み合わせ、EVの生産コスト引き下げ、そして市場浸透を図る | とくにソリッドステートバッテリーの実用化が「可能になるかどうか」には注目が集まる さて ...
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■ ハイパーフォースのようなEV化は遠のいた?
昨年公開されたHyper Force(ハイパーフォース)コンセプトは、完全に電動化されたGT-R像として大きな話題となりましたが、現状ではフルEV版GT-Rは優先度が低いと見られおり、その「ハードル」となっているのは以下の要素だとも。
- EV技術の成熟待ち
- コストの高さ
- スーパーカー特有の連続高負荷走行への対応
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日産上層部が「2030年までに、新型R36 GT-Rは全固体電池を搭載し、ハイパーフォースコンセプトの進化版として登場する」可能性を示唆
| 現時点ではどの程度まで開発が進んでいるのかはわからないが、「全固体電池」「E-4ORCE」が今後の日産の核となるのは間違いない | そして新型R36 GT-Rはパフォーマンス面のみではなく、日産の ...
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まとめ:GT-Rの未来は揺れているが、消えたわけではない
現状をまとめると――
- 次期GT-Rは開発中だが方向性が定まっていない
- ハイブリッド化(V6+電動化)が最有力
- 登場は2030年頃が濃厚
- 全固体電池技術が鍵を握る可能性あり
- フルEV化は当面先送りされる見通し
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「R36」がどんな姿になるかはまだ霧の中ですが、日産の象徴である限り、この名が簡単には消えることはないとも考えられ、とくに現在の日産は「ヘリテージ」を重視しているところから見ても、「過去の資産が未来を作る」と認識しているのは間違いなさそう。
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GT-Rはなぜ「ゴジラ」と呼ばれるようになったのか?「1990年のレースでの圧倒的な支配力」に端を発し、R35によって世界に広められて現在に至る
| その例を見ない破壊力はまさに「ゴジラ」と呼ぶにふさわしい | 最初にGT-Rを「ゴジラ」と呼んだカーメディアには敬意を表したい さて、近代の日産GT-Rは「ゴジラ」なるニックネームで呼ばれることで ...
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となると「GT-R」という日産最大のヘリテージをここで捨ててしまうことは考えにくく、よって過去を活用しつつも今後の日産を示す存在、そして「未来へと続く道」としてどこかのタイミングで”必ず”GT-Rが登場するものと思われます。
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次期日産GT-Rはどんなクルマに?GT-Rはいつの世もスポーツカー界にパラダイムシフトを起こさせてきた存在であり、次期モデルもそうあるべきだと思う
| ほかの自動車メーカーが「そんなバカな」というほどのクルマでなければ、それはGT-Rではない | やはりこれからの開発となると「ピュアエレクトリック」しかないだろう さて、日産は先日2022年モデル ...
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ただ、「既存技術を組み合わせて」想像の範囲内にとどまるスポーツカーをして「GT-R」だと言われてもぼくらとしては困惑するばかりであり、登場がたとえ先になったとしても、R32 GT-RやR35 GT-Rのように「圧倒的なパフォーマンスによる支配力」を見せつける存在として、想像を超えるテクノロジーとコンセプトをもって世に送り出して欲しい、と願わんばかりです。
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日産が次期GT-Rについて語る。「何かが変わっても、本質がGT-Rであることは変わらない」。なお現行GT-Rには歴代モデルを意識した特別仕様が追加されるもよう
Nissan | もし2025年モデル限りで現行GT-Rが終了するとなれば、日産はそれを記念し盛大に限定シリーズを発売することになるだろう | ただし次期GT-R登場までは少し時間を要することになるよ ...
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日産上級役員が次期GT-R(R36)についてコメント。「ええ、新しいGT-Rにはゴジラ的要素が盛り込まれます。GT-Rは美しさのコンテストで勝つための車ではありません」
Image:Matthew Weaver | やはり次期GT-Rは「レンガのような」、とうてい速くなさそうに見えてとんでもなく速いスポーツカーとなりそうだ | ボクにとってもGT-Rは「常識を超越した ...
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さよならR35 GT-R。日産が公式に「日本で受注を終了する」と発表し18年の歴史に幕。気になる後継モデルは「お家騒動」のために不透明
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参照:Autocar


















