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| 3,000人の特別チームが取り組む「大規模コスト削減」 |
昔から日産は「かなりコストの掛かるクルマづくり」を行うとして知られていた
日産自動車が現在「危機的状況に」あるのは誰もが知るところではありますが、にもかかわらず日産は「合併」による救済の道を排除して自力再生を選ぶことに。
そしてその再生計画には本社売却や工場閉鎖など様々なプランが含まれているとも報じられ、実際のところ日産では大規模なコスト削減プロジェクトが進行しており、そして今回報じられているのは「3,000人規模の特別チームを編成してわずか3か月で車両に関する4,000件の削減アイデアを創出し、そのうち1,600件が実現可能と判断された」というニュース。
この取り組みを主導するのは「コスト削減のカリスマ」と呼ばれる冨田辰三氏で、日常的な部品から設計仕様に至るまで、徹底的な見直しが進められるといい、これによって日産の「高コスト体質」が改善される可能性が見えています。
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ヘッドレストとヘッドライトにメス
最初のターゲットとなったのはヘッドレスト。
現在は膨大な種類が存在し、仕入れ先倉庫の保管面積はテニスコート2面分にも及ぶとのことで、冨田氏は「種類を半減できれば、効率とコスト削減が大きく進む」と説明しています。
また、ヘッドライトも見直し対象となり、日産の現行モデルは業界標準より広い照射範囲を持つため多くの専用部品を必要としており、このビーム幅を狭め、標準化された部品に置き換えることでコストを抑える計画が示されています。
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細部の効率化:シート生地や物流にも改革
削減は設計だけに留らず、ヘッドレストとヘッドライトの他に報じられているのは以下の通り。
- シート生地に使われる染料は「紫外線に強い仕様」ではあるものの、現行車のガラス自体が紫外線を遮断するため、より安価な染料への切り替えを検討
- 部品を工場に送る前に一部を事前組み立てする方式を導入し物流コストを低減
- 調達先を見直し、中国サプライヤーからの部品調達を増やす可能性も浮上
こうやって聞くと「コスト削減著しい」ようにも感じますが、実際のところすでに他の自動車メーカーでは「導入済み」の事例も少なくはないものと思われ、逆にこれまでの日産が「高コスト体質すぎた」のかも。
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実際のところ日産は以前からコストの高いクルマを作ることでも知られていて、Z32世代のフェアレディではボディ形状を2種類(2+2とシーター、ホイールベースまでもが違う)、そして通常ルーフとTバールーフ、さらにコンバーチブルを投入したり、シルビアやセドリック / グロリアでもグレードに応じかなり細かいパーツの変更を行ったことも。
もちろんそれらは「昔」のことではありますが、今に至るまでその思想が一部残っている可能性も否定できず、しかし今回のプロジェクトによってそれも「一掃」されることとなるのかもしれません。※実際、新型リーフでも複数テールランプが導入されている
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「デコンテンティングではない」と日産は強調
日産は今回の施策について「装備の簡素化(デコンテンティング)ではなく、あくまで効率化」と強調し、顧客が直接触れる部分についてはサプライヤーと協力し、慎重に検証を行っているとしています。
「これまで日産は価格や仕様を細分化しすぎ、独自仕様が複雑化してしまった。変化の激しい時代に迅速な意思決定ができなくなっていた。」
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EV戦略も見直し:アリアは2025年で終了へ
コスト削減の波はEVにも及んでいて、日産は電動SUV「アリア」を2025年をもって販売終了すると発表し、同社は電動化戦略を含むラインアップを見直すことで効率性と収益性を両立させる新たな方向性を模索しています。※もしアリアの中古がかなり安くなるようであれば、日常の移動手段として購入を検討したい
まとめ
日産が進める1,600ものコスト削減策は、単なる経費節減ではなく企業体質の再構築とも言える取り組みです。
EVシフトの中で苦戦する日産が、この改革を通じてどこまで競争力を取り戻せるのか、今後の展開に注目が集まるところでもありますね。
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