
Image:Audi
| 「アウディらしくないアウディ」が人気化すれば”逆輸入”もありうる? |
■ AUDI E SUV Conceptとは?
- アウディが中国向けに作った“リング無し”の新ブランドAUDIが、想像以上にスゴい
- なぜなら、本家Audiより先進的でラグジュアリー、そして強烈にスタイリッシュだから
- しかも671馬力、700km超えの航続距離という強烈なスペックを持っている
Image:Audi
―“AudiなのにAudiじゃない” 新ブランドが誕生した理由
昨年アウディは、中国市場向けにまったく新しいブランド「AUDI(大文字表記)」を立ち上げると発表し、最大の特徴は以下のとおり。
- フロントに“四つのリング(フォーリングス=Four Rings)を付けない
- 既存のAudiとは全く異なる専用デザインを採用
- 中国メーカーSAICと共同開発し、製品開発スピードとIT統合を加速
この戦略は中国メーカーが驚異的なスピードでEVの価値を高めている中、Audiがその競争力に対抗するためのもので、今回公開された「E SUV Concept」はその第二弾モデルとなります。
Image:Audi
なお、「中国専売」「AudiではなくAUDI」としたのは、「デザインや性能・機能を中国向け」に全振りしたためであり、ほか市場の嗜好や要求とは異なるスペックやデザインを持ことがその理由だとされています。
■ デザイン:本家Audiより未来的で“温かい”
写真を見る限り、このモデルは従来のAudiよりも柔らかく、温かみのあるデザインテイストを持っています。
- ヘッドライト周囲に巨大なLEDスクエアライト
- エッジを削り、より“生活空間的”な温かさを演出
- クワトロ・ブリスター風のフェンダー形状をわずかに残し、Audiらしさも継承
- E5 Sportback同様、内装は従来モデルより“大型連続ディスプレイ”による精密な空間演出が予行われる
もはや「Audiの未来版」とすら思える完成度を持ち、もしかすると「中国市場以外のアウディ車も今後こうなるんじゃないか」と思わせるほど。
Image:Audi
■ スペック:671馬力、800Vシステム、700kmマイル超え
AUDI E SUVは巨大ラグジュアリーSUVながら、性能は完全にスーパーEVクラス。
▼AUDI E SUV Concept 主要スペック
- 全長:505cm
- ホイールベース:305cm
- モーター出力:671hp
- 駆動方式:デュアルモーターAWD
- 0-60mph加速:約5秒
- バッテリー容量:109kWh
- 航続距離:700km/h超(CLTC)
- 充電性能:800Vシステム
→ 10分で約200マイル分を充電可能
Audi Q7よりやや短い全長ながら、EVパッケージングの恩恵で室内はさらに広い可能性があるとされています。
Image:Audi
-
-
アウディが中国専用ブランドとして(大文字の)「AUDI」立ち上げ。これまでのアウディとは全く異なる中国の嗜好にあわせた内外装や装備を持ち”フォーリングス”は用いられず
Audi | 様々な意味でこのクルマを従来のアウディと同列に扱うことはできないだろう | 現在スペックなど詳細は発表されていないが、中国市場での成否の鍵を握るのは何といっても「価格」である さて、アウ ...
続きを見る
■ 技術:360度自動運転サポート、中国デジタル生態系と連携
AUDIの大きな売りは「中国市場のIT/UXに完全適応したクルマ」であること。
- Audi 360 Driving Assist Systemを搭載
- 密集都市での低速走行・駐車支援を最適化
- SAICとの共同開発により、
WeChat・アプリ決済・クラウド統合など
中国のデジタル生活インフラへの深い統合が可能
「スマホのように使えるEV」という、中国メーカーが得意とする分野へアウディ自ら踏み込んだ格好となり、中国の自動車メーカーとの協業の成果がいかんなく発揮されています。
Image:Audi
■ 市場での位置付けと競合
AUDIのターゲットははっきりしており、中国向けに従来のAudiを最適化するのではなく、「ゼロから作り直す」大胆な戦略が新ブランド「AUDI」。
- 競合はメルセデス・ベンツやBMWではなく、BYDやNIO、Li Autoといった新興EVメーカー
- 極めてIT統合の進んだ中国ユーザーがターゲット
- デザイン性と技術力を求める上位層を狙う
そして先行して発売されたE5 スポーツバック(776hp)の成功を見る限り、量産モデルもほぼこのデザインで登場する可能性が高いと考えられ、「中国の法則」によってスポーツバック以上の成功を収めることができるのかもしれませんね。
Image:Audi
-
-
アウディE5スポーツバックが中国で発売開始、わずか30分で1万件超の受注を獲得。やはり「中国専用の仕様」でなくては中国で”売れない”?
Image:AUDI | アウディは中国の自動車メーカーとの「共同開発」に未来を託す | 発売初日に驚異的な受注を記録 2025年9月16日、(中国におけるアウディの現地合弁企業)SAICアウディが新 ...
続きを見る
■ 結論:本家Audiより進んでいる。それがAUDI
結論をまとめると以下の通り。
- AUDIは既存Audiとは別物。むしろAudiの未来像を先取りしている
- デザイン、技術、IT統合が欧州市場のAudiよりも上
- 671馬力のSUVでこの完成度は“反則級"
- そして何より、フォーリングス無しのAudiのほうがカッコいいという事実
アウディのブランド戦略を理解するうえでも、今後のAUDIシリーズには要注目です。
Image:Audi
合わせて読みたい、アウディ関連投稿
-
-
アウディが中国・上海汽車とEVの共同開発に合意。アウディは上海汽車に助けを求める形となり「アウディにできないことが上海汽車には可能」ということに
| 中国の自動車メーカーの重要性がここまで高まっていることには驚かされる | 電気自動車シフトがこのまま進めば、中国の自動車メーカーの優位性が一層強まることは間違いない さて、つい先日「アウディが中国 ...
続きを見る
-
-
アウディが「発表したばかり」のコンセプトカーをもう生産開始。これまでに考えられないようなスピード感はやはり「中国の自動車メーカーとの合弁による賜物」か
Image:AUDI | ここからはアウディが中国にて「どう戦うのか」に注目が集まる | やはり重要なのは「値付け」であろう さて、つい先日アウディは中国向けの新ブランドとして「AUDI(すべて大文字 ...
続きを見る
-
-
もはやメルセデス、BMW、アウディも「中国市場では歓迎されない」状況に。完全に時代に取り残され、中国車を「追う」立場へ
| まさかこの短期間ですべての状況が逆転しようとは | そしてこの状況を再び「ひっくり返す」ことは難しいであろう さて、とにかく欧州の自動車メーカーが現在頭を悩ませているのが「中国での販売状況」。簡単 ...
続きを見る
参照:Audi


















