
Image:Czinger
| 新記録樹立の概要:数字で見るライバル対決 |
ラグナセカはケーニグセグとジンガーとの「独壇場」である
ロサンゼルスを拠点とする新興ハイパーカーメーカーのジンガー、そしてスウェーデンの老舗ハイパーカーメーカーのケーニグセグ。
この2社はここ数年、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカのプロダクションカー・ラップレコードを巡って熾烈な戦いを繰り広げていることでも知られますが、今回ジンガーが最新のチャレンジにてケーニグセグの記録を大幅に更新し、新たなベンチマークを打ち立てたことが明らかに。※両者はグッドウッド・ヒルクライムでも熱い戦いを繰り広げている
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新旧レコードの比較
- ケーニグセグの記録: 2025年11月、サデアーズ・スピアが 1分24.16秒 を記録し、直前の王者であったジンガー21Cの記録(1:24.39)を0.23秒更新
- ジンガーの再奪還: 2025年12月、ジンガーはケーニグセグの記録を大幅に更新し1分22.3秒を達成。ケーニグセグの記録(1:24.16)から一気に1.84秒もタイムを短縮する
| 車両名 | 記録日 | 記録タイム | 差分 (直前の記録比) | 備考 |
| Czinger 21C | 2025年12月(先週) | 1分22.3秒 | -1.84秒 | 新レコード。90dB制限デーに達成 |
| Koenigsegg Jesko Sadair's Spear | 2025年11月(先月) | 1分24.16秒 | -0.23秒 | 直前の記録保持者。補助マフラー装着 |
| Czinger 21C | 2025年7月(今夏) | 1分24.39秒 | - | 直前の記録保持者 |
| Czinger 21C | 2021年 | 1分25.44秒 | - | 以前のマクラーレン・セナの記録を約2秒更新 |
「90dB制限デー」で公平な勝負を挑む
この記録争いを特にドラマチックにしているのが、騒音規制(90dB)という「同じルール」で挑戦した点です。※最近は「騒音規制」を行っているサーキットが少なくはない
ケーニグセグの挑戦
- ケーニグセグは90dB規制の厳しい日に走行したため、大型の補助マフラー(完全に車体から後方へとはみ出ている)を装着する必要があり、これが重量増加と空力性能の悪化を招いたとされている
ジンガーの戦略的勝利
- ジンガーは、ケーニグセグのCEOクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏からの「低dBデーに挑戦すべき」という言葉に応じ、同様の90dB制限デーにアタック
- しかし、ジンガー 21Cは、適合するエキゾーストシステムをエンジンベイ内部に完全に収めることができたため、重量バランスや空力に影響を与えることなく、記録を樹立することが可能となる
記録更新を可能にした技術的優位性
ジンガー 21Cの驚異的なタイム更新は「最新の技術アップデートと、同社が推進する革新的な設計哲学」に裏付けられており、ジンガーは今回の成功要因について以下のようにコメントしています。
1. ソフトウェアのアップデート
記録樹立に使用された21Cは、カリフォルニア・ゴールドラッシュ・ラリーを完走した車両と同一ではありますが、最新の仕様にアップデートされています。
- ハイブリッドシステムの最適化: デュアル・フロント・モーターのバッテリー容量の利用効率が向上し、パワー曲線が改善
- 完璧な走行条件: ドライバーのジョエル・ミラー氏がインストールラップ(慣熟走行)の時点で記録更新に近いタイムを出すほどにクルマのセッティングと理想的な天候(外気温が華氏で70度台、日差しで路面温度が高い)がマッチ
2. 3Dプリント技術とダウンフォース
ジンガー共同創設者のルーカス・ジンガー氏は、「シミュレーション上の完璧なタイムに非常に近かった」と述べ、AIと技術の融合が性能に直結したことを強調していますが、ジンガー21Cは「初の」AI設計そして3Dプリンタによって製造されたハイパーカーとしても知られており、同社の技術はダイバージェント(ジンガー創業者が設立した別の会社)によってさらに発展させられ、マクラーレンW1やブガッティ・トゥールビヨン、そしてフェラーリF80にも使用されています。
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マクラーレンW1、フェラーリF80、ブガッティ・トゥールビヨンがこぞって採用する「3Dプリンティングサスペンション」は今後のスタンダードに?そのメリットとは
Image:McLaren | 今後この技術は車体構造、ホイールなどさらに広い範囲へと拡大してゆくだろう | それにしても3Dプリンタによるパーツがここまで急速に拡大しようとは さて、マクラーレンは「 ...
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- 革新的な製造: 21Cは広範囲にわたる3Dプリンティング技術、人間とAIによる設計プロセス、高度に自動化された生産プロセスによって製造されている
- パワートレイン: 2.88L V8ツインターボエンジンと2基のフロントモーターを組み合わせた「ストロング・ハイブリッド」システムは、システム最高出力1,250hp(アップグレードで1,350hp)を誇り、最高エンジン回転数は11,000rpmに達する
- ダウンフォース: 190mph(約306km/h)で4,400ポンド(約2,000kg)ものダウンフォースを発生する設計も記録達成に大きく貢献
まだまだ記録争いは続きそうである
今回はシンガーがケーニグセグの記録を「大幅に更新」することとなっていますが、もちろんケーニグセグがこのまま黙っているはずはなく、よって遠くない将来に「リベンジ」があるのは間違いなさそう。
そして「ノンハイブリッド、後輪駆動」というサデアーズ・スピア、一方で「ハイブリッド、4WD、しかもAI設計と3Dプリンティング」という特徴を持つシンガー21Cとが近接したタイムで争いを繰り広げていることは注目に値する事実でもあり、両者の戦いから目が話せないといった状況でもありますね。
シンガー21Cがラグナ・セカにて記録を達成した瞬間を収めた動画はこちら
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参照:Czinger











