
| ランボルギーニも同様の特許を出願していたが |
ポルシェが走行中にタイヤの傾き(キャンバー角)を自在に調整できる画期的なサスペンション技術の開発を加速させていることが明らかになり、ドイツ特許商標庁(DPMA)にて新たに2つの関連特許が公開されています。
【この記事の3点まとめ】
- 「可変キャンバー」の進化: 走行状況に合わせてリアルタイムでキャンバー角を調整し、コーナリング時の接地面積を最大化
- 2つの新方式: 911 GT3 RS向けの「ダブルウィッシュボーン統合型」と、タイカン等に向けた「マルチリンク対応型」の特許を申請
- AIとセンサーによる自動制御: GPS、加速度、操舵角などを瞬時に解析し、ウェット路面や加速時などあらゆる場面で最適なグリップを提供
キャンバー調整が「ピット作業」から「自動制御」へ
サーキット走行において、タイヤの接地能力を左右する「キャンバー角(正面から見た際のタイヤの傾き)」の調整が極めて重要なのは御存知の通り。
これまではガレージやピットでの手作業が必要でしたが、ポルシェはこの調整を走行中にリモート、あるいは自動で行う技術を現実のものにしようとしています。
もともとこの考え方は2023年に公開された特許にて明らかになっていますが、今回の新特許では「より部品数を減らし、市販車への搭載を現実的にする」ための洗練された構造が提案されているもよう。
2つの革新的な特許アプローチ
まずポルシェは、車種のキャラクターに合わせて2種類の異なるメカニズムを考案しています。
1. 「GT3 RS」向け:ダブルウィッシュボーン統合型
現行の911 GT3 RSなどが採用するダブルウィッシュボーン式に対応した設計です(992以降、911GT3のフロントサスペンションはダブルウィッシュボーンを採用している)。
- 構造: アッパーウィッシュボーンのアームが収束するポイント(通常はピロボールジョイントがある位置)に、小型の電動アクチュエーターを配置
- 効果: アクチュエーターがタイヤの上部を押し引きすることで、極限のコーナリング中でも瞬時にキャンバー角を最適化する
2. 「タイカン・パナメーラ」向け:マルチリンク対応型
一方こちらは快適性重視のモデルに多いマルチリンク式に対応した設計です。
- 構造: 2本のアッパーコントロールアームそれぞれにアクチュエーターを搭載
- 効果: キャンバー角だけでなく、タイヤの向き(トー角)まで制御できる可能性があり、高速安定性と乗り心地をハイレベルで両立させる
走行状況に応じた「リアルタイム・セッティング」
この技術の真髄は、単に角度を変えるだけでなく、車両のあらゆるセンサーと連動する点にあり、これは文字通りの「革命」であると言えるのかもしれません。
| 走行シチュエーション | キャンバーの状態 | 期待される効果 |
| ハードなコーナリング | 外輪のネガティブキャンバーを強化 | 横Gに耐え、タイヤを路面に密着させる |
| 直線でのフル加速 | キャンバーを「0」に近づける | 接地面積を最大化し、トラクションを高める |
| ウェット路面・低速走行 | 垂直に近い角度へ調整 | 滑りやすい路面での安全性を確保 |
| GPS連動 | サーキットのコーナーごとに自動調整 | ラップタイムの劇的な短縮 |
結論:次世代「GT2 RS」への搭載に期待
ポルシェが短期間に複数の関連特許を申請していることは、この技術を単なるアイデアで終わらせるつもりがないこと、そして「防御的」特許ではないであろうことを示唆しています。
特に、近々登場が噂される新型「911 GT2 RS」は、この「可変キャンバー」を搭載して世界最高速の称号を狙う最初の1台になるかもしれず、複雑な機構による重量増や、凄まじい荷重に耐えうるアクチュエーターの耐久性など、クリアすべきハードルは低くありませんが、ポルシェなら「物理法則を書き換える」ような回答を見せてくれるものと期待しています。
関連知識:ランボルギーニとの違いは?
実は、ポルシェと同じVWグループに属するランボルギーニも「Active Wheel Hub」という名前にて、ハブ部分に調整機構を持たせるという(ポルシェとは)異なるアプローチによる技術を検証していることが明らかに。
しかしポルシェはサスペンションアーム側で制御する手法を選んでおり、より軽量なスポーツカーに適した「ポルシェ流」の解決策を追求しているのだとも考えられます。
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参照:CARBUZZ


















