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今さら聞けない。ターボ・スーパーチャージャー・NA(自然吸気)エンジンは何が違うのか?その仕組みや性質を徹底解剖

今さら聞けない。ターボ・スーパーチャージャー・NA(自然吸気)エンジンは何が違うのか?その仕組みや性質を徹底解剖

| ただし近年は「電動化」によって新たな概念が登場している |

自動車好きなら一度は耳にする「ターボ」「スーパーチャージャー」「自然吸気(NA)」。

なんとなく「ターボがついていると速そう」というイメージはあっても、その仕組みや「なぜ乗り味が違うのか」を正確に説明できる人は意外と少ないものです。

現在、ダウンサイジングターボが当たり前となり、一方で「純粋なNA」が絶滅危惧種として神格化される中、それぞれのエンジンの個性を改めて整理してみました。

【この記事の3点まとめ】

  • 自然吸気(NA): 過給機に頼らない「純粋さ」。アクセルに忠実な加速と官能的なサウンドが最大の魅力
  • ターボ: 排気ガスを再利用する「効率の鬼」。小排気量でも力強いトルクを生むが、独特の「タメ」がある
  • スーパーチャージャー: エンジンの力で空気を押し込む「力技」。低回転からラグなしで猛烈なパワーを発揮する
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そもそも何が違う?過給機と自然吸気の境界線

ターボ、スーパーチャージャー付きエンジンは一般に「過給器付きエンジン」としてひとくくりにされることもありますが、これに対するのが「自然吸気エンジン」。

結論から言うと、それらの違いは「エンジンの外から無理やり空気を押し込んでいるかどうか」です。

Engine (2)

ガソリンエンジンは「空気と燃料を混ぜて爆発させる」ことで動作するという原理を持っており、爆発を強くすればパワーが出るのですが、空気の量はエンジンの大きさ(排気量)で決まってしまいます。

そこで、扇風機のような機械を使って「排気量以上の空気を詰め込む」のがターボやスーパーチャージャー(=過給機)であり、自分の呼吸だけで空気を吸い込むのが「自然吸気(NA)」です。

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1. 自然吸気(Naturally Aspirated / NA):官能的な「純粋さ」

過給機を一切持たないエンジンで、2012年以前の一般的なクルマは「自然吸気」が一般的。

それまで過給器(ターボ、スーパーチャージャー)付きエンジンを持つのは高級車やスポーツカーばかりであり、「より強い馬力を得るために」高価で複雑な過給器を装着するのが通例で、「普通の」クルマはシンプルな自然吸気エンジンを持っていたというのがそれまでの時代です。

ただ、そこから「環境規制」という大きな流れが押し寄せることになり、各社とも排気量を小さくしてCO2排出量を抑える必要が出てきたのですが、そうなると失われるのが「爆発力=パワー」。

Engine (3)

ダウンサイジングターボの登場で歴史が変わる

そこでこれを補うために「小さなターボ」を装着して登場したのが「ダウンサイジングターボ」なる概念。

それまでのターボは「大排気量+大きなターボチャージャー」との組み合わせにて馬力をひたすら向上させるためのものでしたが、このダウンサイジングターボは「エンジンの排気量を小さくし、失った馬力を、排気量を小さくする前の自然吸気エンジン同等にまで戻す」という補完的な考え方によって設計されており(ボルボ、VWがその先駆けである)、よって同じ「ターボ」であっても、2012年以前とそれ以降ではまったく考え方が違います(それ以前は”積極的”理由、それ以降は”消極的”理由によって採用されたともいえる)。

そして現代ではこのダウンサイジングターボが一般的になり、小型車から大型車(ベントレーやメルセデス・ベンツ)、スポーツカー(フェラーリやポルシェ、メルセデスAMGなど)までもが「エンジンの排気量を落としてターボを装着」するように。

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ターボ全盛によって自然吸気エンジンは「絶滅危惧種」に

そうなってしまうと必然的に自然吸気エンジンが絶滅においやられてしまうことになるのですが、今度は「絶滅危惧種」「希少種」として珍重されるようになり、一部のマニアやコレクター向けとして生産を行う自動車メーカーも出てきます(フェラーリ)。

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もし「環境規制」がなければ自然吸気エンジンが「ダウンサイジングターボ」に取って代わられることもなかったのかもしれませんが、時代の流れによって生息域が縮小し、それによって希少価値が生じたのが自然吸気エンジン(すべての自然吸気エンジンがそうではない。もともと小排気量だった自然吸気エンジンではなく、大排気量 / マルチシリンダーの話である)という存在。

これは「庶民の食べ物として誕生し、のちに(時代の変化や規制によって)高級化してしまった」寿司にもよく似た流れなのかもしれません。

Engine (4)

自然吸気エンジンの特徴・メリット・デメリット

  • 特徴: アクセルを踏んだ分だけ、即座に、そして一直線に加速する「リニアな反応」が持ち味
  • メリット: 構造がシンプルで信頼性が高く、高回転まで回した時の音(エンジンノート)が非常にクリア
  • デメリット: (大排気量ではない場合)パワーを出すにはエンジンを激しく回す必要があり、燃費や日常域のトルク感では過給機付きに一歩譲る

2. ターボチャージャー(Turbocharging):排気の再利用が生む「加速の波」

現在の「過給機付き」エンジンの大半が使用するのがターボチャージャー。

このターボチャージャーはカタツムリのような形の装置で、本来捨てられるはずの「排気ガス」をここへと送り込んで(内蔵される)ファン=タービンを回して空気を圧縮します。

そして圧縮した空気を再びエンジンに送り込むことで「爆発」を強制的に誘発し、そのエンジンが持つ「本来以上の」パワーを発揮させるわけですね。

この「ターボ」はもともと航空機用エンジンのために開発されたもので、その後BMWそしてポルシェが相次ぎ市販車へと投入しています。

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ターボ登場の目的は「速く走るため」

そして当初投入された目的はもちろん「レースに勝つため」で、上述の通り、ターボチャージャーは「燃費向上」「環境」のためではなく、速く走るために誕生したのだということには要注目。

ただし「排気をタービンへ→圧縮→再びエンジンへ→そこで爆発」という流れを踏む以上、そしてガソリンエンジンが「吸気・圧縮・燃焼・排気」という行程をこなさねば回転力を発生させることができない以上、どうしても「アクセルを踏んでから加給が始まり、それがパワーに変換されるまで」の時間、つまりターボラグが生じます。

Engine (6)

このターボラグは一般に「排気量が小さければ小さいほど大きく(タービンに送り込む排気ガスが少ないとタービンが回らず、タービンを回そうとするとエンジン回転数を上げねばならない)、「タービンが大きければ大きいほど大きい(大きなタービンを回すには強い排気が必要である)」傾向に。

ターボエンジンは今でも進化し続けている

よって、パワーが欲しいからといって「小排気量エンジンに大きなターボ」を取り付けるのはナンセンスであり(いわゆるドッカンターボとなってしまって乗れたものではない)、「小さなエンジンにはそれなりのターボ」というのが一般的な認識です。

ただし現在では「シーケンシャルツインターボ」「電動ターボ」、さらにはギアによって過給圧を変動させる技術など様々な手法が開発されており、小排気量エンジンであっても「とんでもない」出力を発生させるものも存在します。

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参考までに、フェラーリ296スペチアーレに積まれる2.9リッターターボエンジンは「700馬力」という出力を発生させますが(おそらく量産車ではリッターあたり最も高い出力だと思われる)、これはハイブリッドシステムとの併用によって可能になった(エレクトリックモーターのアシストを前提とした設計)もので、ターボの進化はいまだ止まらず、そしてその用途や概念も刻々と変化しています。

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ターボにはこんな問題も

そのほか、ターボエンジンで特筆すべきは「熱」であり、圧縮した空気をエンジンに送り込んで爆発させると、爆発が大きくなるぶん「熱」も大きくなってしまい、これを抑えるための強力な冷却システムが必要に。

よってターボが大きくなるとそのぶん冷却システムなど「他の部分」も強化しなくてはならなくなり、重量やコスト画像化したり、レイアウト上に無理が生じたりするため、ターボチャージャーの使用は「バランスが大切」になるというわけですね。※効率重視のダウンサイジングターボエンジンは、タービンを小さく抑えることで冷却などのコストを削減し、レイアウトの自由度を持たせている

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そしてスポーツカーにとって大きな問題となりかねないのがその「サウンド」。

ターボチャージャーは「排気をタービンに送り込む」ため、自然吸気エンジンであれば「エンジンからそのまま放出されていた」サウンドが排気といっしょにタービンに入ってしまうという構造上、エキゾーストサウンドの純粋性が損なわれるという「いたしかたない」問題も。

ただ、これについては「バイバス」など様々な構造を用いて(タービンに送り込まれる前の)ピュアなサウンドを乗員に届けるなどの工夫が活発化しており、「性能」以外の面、つまり「感情」面における改善も進んでいます。

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加えて、ターボには「加給音」「ブローオフバルブ経由での圧縮空気の排出音」といった”自然吸気エンジンにはない”楽しみも存在し、サウンド面におけるターボエンジンの不利は「昔ほど大きく語られていない」ようにも思えます。

実際にターボエンジンの「フィーリング」はどうなのか

そこでぼくが実際にターボエンジンを搭載するクルマ、ここではスポーツカーに限った印象を簡単に述べてみると、まず「小排気量」の場合では、自然吸気では得られないトルクとパワーが得られるのが大きなメリットです。

一方、小排気量ターボ化したとしても、それ以前の自然吸気エンジンを積む状態から車体重量が軽くなるわけではなく(自然吸気エンジンを積む981ボクスターよりも、排気量とシリンダー数を減らした718ボクスターのほうが重い)、軽量化という面では「メリットなし」。※ただしパワーウエイトレシオは大きく向上

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そして小排気量エンジンを積む多くのスポーツカーでは「ターボラグ解消を目的として」アクセルオフでもエンジン回転数が下がらないことがほとんどで、ここは自然吸気エンジンの「アクセルオフで回転数が落ちる」のとは大きく異なるため、やや違和感を感じます。

その反面、再びアクセルオンにしたとしても「ターボラグゼロで」加給されるわけではないのですぐに加速に転じることはできず、その構造を理解するとともに、やや慣れが必要といった印象を抱いているわけですね(ただ、スポーツカーではなく一般的な車だと、タービンが小さいのでこういった違和感はむしろ感じない。大きなパワーを求めるスポーツカーならではの現象だと思われる)。

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そして大排気量エンジンについては「自然吸気」「ターボ」の差がより大きく出ると認識していて、たとえばアストンマーティン ヴァンキッシュの5.2リッターV12ツインターボは「835馬力」、フェラーリ 12チリンドリの6.5リッター自然吸気エンジンは「830馬力」。

数字上の馬力だと非常によく似ていますが、ヴァンキッシュの場合は「環境性能」を強く重視しているようで(同社のバリエーション、CO2排出規制対応を考慮するとやむを得ない)、クルージング時はエンジン回転数が非常に低く押さえられ、そこからアクセルを踏み込んで加速しようとすると「エンジン回転数が上がり、排気流量が増え、それをタービンに押し込み、さらに圧縮してエンジンに送り込む」というプロセスが手にとってわかるように”ターボラグ”が生じます。

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つまるところ加速するまでに「時間がかかる」ということになりますが、12チリンドリであれば「ターボがそもそもない」ので、アクセルを踏み込めばそのぶんリニアに「グイ」とクルマが前に出るという感覚も。

ただ、これはヴァンキッシュがどうこうという問題ではなく、ヴァンキッシュの名誉のために言及するならば、ヴァンキッシュはドライブモードの設定によってこの問題を解消できるため、実質的な不利はないものと認識しています。

じゃあなんでそんなデフォルト設定なのかといえば、おそらくは上述のCO2排出規制に対応するためだと考えられ、「販売台数全体におけるCO2排出規制を下げ、1台あたりのCO2排出量を引き下げるため」。

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というのもアストンマーティンは量産モデルについてPHEVを持たず、「販売する車両の1台あたりのCO2排出量が大きいから」で、CO2規制による罰金を少しでも抑えるためには「ラインアップそれぞれでなんとかCO2排出量を下げるしかない」から。

参考までに、シグネットやラピードEによって全体のCO2排出量の引き下げを狙ったものの、これらは奏功しておらず、よってその余波がフラッグシップのV12モデルにも押し寄せているのかもしれません。

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反面、フェラーリはハイブリッド比率が直近の決算発表(2025年第3四半期)によると57%にも達していて、フェラーリ全体でのCO2排出量が大きく引き下げられており、これはつまり「ハイブリッドによって抑えられたCO2排出量を、V12自然吸気モデルへと振り分けることでプラスマイナスできる」ということを意味しているのだと考えてよく、なんだかんだ言われるハイブリッドモデルではあるものの、実は「フェラーリのV12エンジンを自然吸気のまま維持させる」ことに貢献していることがわかります。

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こうやって見ると、「自然吸気」「ターボ」は車種単体で語ることができず、そのメーカーのラインアップ全体も見ないとその真意を理解できないということになり、近年の自動車業界はいまだかつてないほどの「メカニズム的」複雑性を迎えるとともに、「戦略的」複雑性が増しているということになりそうですね。

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ターボエンジンの特徴・メリット・デメリット

  • 特徴: 排気エネルギーを再利用するため、燃費効率を落とさずにパワーを盛ることができる。現代の「1.5Lターボ」が昔の「2.5L NA」並みのパワーを出すのはこのおかげ
  • メリット: 圧倒的なトルク(加速の力)。ブーストがかかった瞬間の「背中を押される感覚」は病みつきに
  • デメリット: 排気ガスが溜まるまで加速が遅れる「ターボラグ」が発生する。最近は電動ターボなどで劇的に改善されているものの、独特の「呼吸のタメ」はゼロではない
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3. スーパーチャージャー(Supercharging):ベルト駆動がもたらす「即応性」

そして最後は「スーパーチャージャー」。

排気ガスではなく、エンジンの軸(クランクシャフト)とベルトで繋がったポンプ(コンプレッサー、あるいはブロワーとも)を用いて空気を圧縮してエンジンに空気を押し込むというものですね。

最大のメリットは「低回転時でも空気を圧縮してエンジンに送り込める」というもので、ターボラグが存在せず、文字通り「自然吸気エンジンを排気量UPしたかのような」システムです。

Engine (8)

こう聞くとメリットが大きいようにも思いますが、「エンジンからポンプを回す動力を取る」のでエンジンパワーが食われたり(よって小排気量エンジンには一般に向かない)、回転パーツが増加するために「高回転には向かない」という性質も。

よって、必然的にこれを採用するのは「もともとエンジンが大排気量でトルクがあり、超高回転域までエンジンを回さない」ような、「サーキットを走らないが速くは走りたい」といったアメリカンマッスルが多くなってきます。

Engine (10)

ただ、一時はミニ(R50世代)やVWコラード(初期)やシロッコ(第2世代)のように小排気量エンジンにスーパーチャージャーを組み合わせる例もありましたが、機械的な複雑さ、コストの高さ、メンテナンスの必要性(回転部品はメンテフリーではない)などから現代では(ぼくの知る限り)小排気量エンジン+スーパーチャージャーは絶滅したのでは、という認識です。

スーパーチャージドエンジンの特徴・メリット・デメリット

  • 特徴: エンジンが回れば即座にポンプも回るため、ターボのような「ラグ」が一切ない。踏んだ瞬間から大排気量車のようなトルクが立ち上がる
  • メリット: 低回転からの圧倒的なレスポンス。そして、ダッジ・ヘルキャットに代表されるような、独特の高周波な「キュィーン」「ミィィィーン」「ニャァァァ」という作動音(ワイン音)が魅力
  • デメリット: ポンプを回すためにエンジンのパワーを一部使ってしまう(寄生損失)ため、燃費性能ではターボに劣り、燃費向上の手段にはなりえない。そのため、現在は純粋なパフォーマンス志向のクルマに限定されている
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エンジン形式別・特性比較表

そこで、「自然吸気」「ターボ」「スーパーチャージャー」の特徴をまとめると以下の通り。

特性自然吸気 (NA)ターボチャージャースーパーチャージャー
レスポンス最高(リニア)やや遅れあり(ラグ)非常に良い
パワー感高回転で盛り上がる中回転域から炸裂する全域で底上げされる
燃費効率普通非常に良い(効率的)やや悪い(損失あり)
サウンド澄んだ吸排気音吸気音・吹き返し音高い作動音(ワイン音)
主な採用例86/BRZ, フェラーリV12現在はコンパクトカーからスーパーカーまでマスタング, ヘルキャット
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結論:今後の「エンジン選び」はどうすべきか?

現在、ほとんどの(ガソリンオンリーの)新型車は「ターボ」を採用しているのが現状で、効率とパワーを両立させるには「これ以上の選択肢がほぼないから」。

しかし、もし「運転そのもの」、そしてクルマとの対話を重視するならば、中古車市場も含めて「高回転型NA」を探すべきであり、アメリカン・マッスルのような暴力的な加速と咆哮を求めるなら「スーパーチャージャー」一択。

残念ながら自分の欲しいクルマに「複数の」パワートレーンが用意されているとは限りませんが、幸いなことに「中古市場まで見渡すと」今はまだ様々な選択肢がぼくらには残されています。

いずれはガソリンエンジン「オンリー」車は消滅してしまうかもしれないものの、それまでは「かりそめの客」を楽しめるということですね。

関連知識:第4の選択肢「電動ターボ」

「どんどんターボは進化中」と述べましたが、最近のメルセデスAMGやポルシェなどは、排気ガスの流量が高まるのを待つ間に「エレクトリックモーター」でファンを強制的に回す電動ターボを導入しています。

これにより、ターボの「効率」とスーパーチャージャーの「即応性」をいいとこ取りした、まさに隙のないエンジンが登場しているわけですが、現在のところ「非常にコストが高く」、これが普及車まで降りてくるにはまだまだ時間がかかるのかもしれません。

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