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| スポーツカーの魂をSUVに。カイエンが「ポルシェ」であり続ける理由|
ポルシェの歴史を塗り替えたSUV、カイエン。
その誕生の裏側には、スポーツカーブランドとしての誇り、そしてSUVという未知の領域への挑戦が交錯するドラマが存在します。
そしてカイエンの開発は極秘にて進められ、秘密を守るために「別の会社を買い取り」、ポルシェとの関連性を隠しながらも「プロジェクト・コロラド」として進められたことでも知られていますね。
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ポルシェを復活させたのはボクスターだが、ポルシェの経済基盤を盤石にしたのはカイエンだった。両者ともに適切な時期に登場し適切な役割を果たしている
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この記事の要約:
- 究極の挑戦: 初の4ドア、5人乗り、高車高。スポーツカーの真逆を行く設計
- 911のDNA: フェンダーがボンネットより高い「ポルシェ・トポグラフィー」の継承
- 妥協と情熱: VWとの共通パーツ(ドア)という制約の中で生み出された「フライライン」
- 2026年の現在: 内燃機関の極致と、ついに登場した「カイエンEV」への進化
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ヘッドライトに1年。デザイナーが執着した「ブランドの顔」
かつて「ポルシェがSUVを作る」というニュースは世界中のファンに大きな衝撃を与えていますが、しかし現在、そのカイエンはポルシェの屋台骨を支えるだけではなく、スポーツSUVの絶対的王者として君臨しています。
なぜ、全く異なるパッケージングでありながら、一目で「ポルシェ」だと確信できるのか?
その答えは開発コード「プロジェクト・コロラド」の中心でもあった過酷なデザインプロセスにあったことが明かされています。
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ポルシェが公開したコンテンツによると、初代カイエン(E1)の開発において、当時のデザイン部長であったハーム・ラガーイ氏が、ポルシェのアイデンティティをSUVに移植することにどれほどの心血を注ぎ、それがいかに大変な作業であったかがわかり、その”苦労”を見てみましょう。
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ポルシェ・カイエンは当初「メルセデス・ベンツMクラスをベースに」そのハイパフォーマンス版として企画されていた!実際に開発が進められるも破局を迎えることに
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1. 911の顔を移植する「トポグラフィー」
カイエンのフロントエンドを見ると、996世代の911を彷彿とさせることがわかり、最大の特徴は、「フロントフェンダーとヘッドライトの最高点が、ボンネットよりも高い位置にある」というポルシェ伝統の造形。
巨大なV8エンジンを収めながらこのラインを維持することは、エンジニアリング上の難問ではあったものの、デザインチームは決してこの伝統の再現を譲らなかったのだそう。
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ポルシェがマクラーレンのデザイナーを獲得、デザイン責任者が22年ぶりに交代。なおポルシェ新CEOもマクラーレン出身
|新デザイン総帥にトビアス・シュールマン氏が就任。伝説のマウアー氏が残した功績と未来への挑戦 | 記事のポイント(3行まとめ) 22年ぶりの大転換: 2004年からポルシェの黄金期を支えたマイケル・マ ...
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2. VWトゥアレグとの共用という制約
カイエンの開発に際しては、コスト削減のため、VWトゥアレグとフロントガラスや全4枚のドアを共通化する必要があったっといい、マイケル・マウアー氏(後のデザイン責任者)は、この「変更できないドア」という制約の中で、いかにポルシェらしい流麗なルーフライン(フライライン)を描くかに苦心したことについても語っています。
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36年の軌跡: ポルシェの夢を形作り続けたデザイナー、グラント・ラーソンが引退へ。ボクスター、カレラGTのデザインを手掛ける
Image:Porsche | 伝説のデザインと顧客の夢を繋いだ36年間 | ポルシェの大きな節目の影に「必ず」存在した人物でもある 2025年末をもって、ポルシェの特別プロジェクトデザイン担当ディレ ...
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3. 内装に残されたポルシェの意地
初代ではタコメーターを中央に配置する伝統の「5連メーター」が完全には再現できず、左側に配置されるなどの妥協があり、しかし「ハンドルの左側に配置されたイグニッション」や「センターコンソールのグリップ」など、随所にスポーツカーの矜持が刻み込まれています。※ポルシェのクルマで中央にタコメーターが配置されていないのは924、944、968、928、そして初代カイエンのみである
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結論:「製品」を「ブランド」に変えたカイエンの功績
「プロジェクト・コロラド」から始まったカイエンの歴史は、単なるSUVの追加にとどまらず、マイケル・マウアー氏によれば「911とボクスターという限られたラインナップにカイエンが加わったことで、ポルシェはスポーツカーメーカーからスポーツカーの魂を持つブランドへと進化した」。
2026年、電動化という新たな荒波の中にて発表された「カイエン・エレクトリック」においても、そのフロントフェンダーはボンネットよりも高く、その瞳は常に頂点を見据えています。
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【関連知識】なぜ「E」なのか?カイエンのコードネーム
カイエンのコードネームの頭には「E」が与えられていますが、これは社内で「E(Enduro)」というコードで呼ばれていたため。
よって初代はE1、第2世代はE2、そして現行はE3となっており、エレクトリックバージョンはE4としてポルシェの耐久性と挑戦の歴史を継承。
かつての「コロラド」というコードネームが示唆したように、未開の地を切り拓く精神は、今も変わらず受け継がれているとおいうわけですね。
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