
| 数年先になれば「なんであの時、EVなんかに手を出したんだろう」という時代が来るのかも |
現実路線への回帰。ポルシェは「エンジン」を捨てない
高級スポーツカーの代名詞、ポルシェが大きな戦略転換の判断を下したことがすでに報じられていますが、今回はより具体的な戦略(の一部)が明らかに。
ポルシェは「2030年までに販売台数の80%以上を電気自動車(EV)にする」と掲げた野心的な目標を事実上撤回し、2030年代後半まで内燃機関(ICE)およびハイブリッド車を継続販売する方針を固めていて、これは世界的なEV需要の鈍化を受けたもの。
そして今後、ポルシェはほかの(同様の方向転換を表明した)自動車メーカー同様、EVの押し付けではなく「顧客が求めるもの」に再びフォーカスする姿勢を示しており、これには次世代カイエンのガソリンモデルの維持や、一度はEV専売になると見られていた718シリーズ(ボクスター/ケイマン)の内燃機関モデルの復活が含まれ、エンジンの鼓動を愛するファンにとってこれ以上の朗報はないというのが新方針の概要です。

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ポルシェがさらなる方向転換を行うと報じられる。「EVとして設計されたモデルにもガソリンエンジンを積む」。タイカン、マカンEV、新718も「ハイブリッドに」?
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【この記事の要約】
- 目標撤回: 2030年のEV比率80%目標を断念。EV普及速度が予測を(遥かに)下回ったため
- ICEモデルの継続: 次世代カイエン、新型3列シートSUVにガソリン・ハイブリッド車を設定
- 718の復活: EV化が予定されていたボクスター/ケイマンに内燃機関モデルが帰ってくる
- アウディとの連携: 新開発の「PPCプラットフォーム」を採用し、高性能な内燃機関車を効率的に開発
なぜポルシェは「脱・EV」へと舵を切ったのか
ポルシェがEVシフトのペースを落とした背景には、シビアな市場の数字があり、2025年の世界販売台数は前年比で10%減。
特にEVが期待ほど普及していない現状を重く受け止め、カイエン・プロダクト責任者のラルフ・ケラー氏は「2030年代のかなり先まで、内燃機関とハイブリッドを提供し続ける計画だ」と今回明言することに。
これにより、既存のEVモデル(タイカンやマカンEV)はそのまま継続しつつ、主力車種においては「ガソリン車を選べる自由」が長く保たれることになるわけですね。

次世代を担う内燃機関モデルの布陣
ポルシェはアウディと共同開発した最新アーキテクチャ「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)」を活用し、効率的かつ高性能なICE車を展開し・・・。
ポルシェ 今後の内燃機関(ICE)モデル計画
| 車種 | 予定されるパワートレイン | 備考 |
| 次世代 カイエン | ガソリン / プラグインハイブリッド | 現行モデルの刷新と並行して開発 |
| 新型 3列シートSUV(K1) | ガソリン / ハイブリッド | フラッグシップ級の大型SUVとして登場 |
| 次世代 718 (ボクスター/ケイマン) | 内燃機関モデルの継続・復活 | EV版と併売される可能性が濃厚 |
| 911 (カレラ系) | 内燃機関 / ハイブリッド | 「ポルシェ最後のガソリン車」として聖域化 |
| マカン 後継モデル | ガソリンエンジン | 2028年頃に新プラットフォームで登場予定 |
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まだまだ詳細の続報を待つ必要があるものの、タイカンとマカンEVを除くと「全モデルにガソリンエンジンの選択の自由」がもたらされることとなります。
なお、ここで重要なのは「計画外のモデルが大量に増える」ということで、EVとして設計したものをハイブリッド化したり、あたらしくマカン後継モデルを投入したりということを考慮すると「開発リソースが不足」する可能性も。
しかしポルシェはこの問題を「アウディとの密接な協業」によって回避するとも伝えられています。
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718シリーズに「エンジン」が戻ってくる
ファンにとって最大の驚きは、生産終了が迫っていた718ボクスター/ケイマンの内燃機関モデルに関する言及で、欧州のサイバーセキュリティ規制等の影響で一度はラインナップから消えかけていたところ、次世代モデルでは再びガソリンエンジンの搭載が計画されており、しかしこちらについても続報を期待したいところです。
なお、現在のプラットフォームはサイバーセキュリティ規制に対応できないために「現行の延長」路線は考えにくく、よってEVとして設計された車体をハイブリッド化するというのがもっとも濃厚な線ではありますが、モデルライナップ含めてまだまだ「不透明」。

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アウディとの「深化」
上述の通り、ポルシェのこの戦略は、同じVWグループのアウディとの深い協力関係に基づくもので・・・。
- プラットフォームの共通化(PPC): 次世代カイエンはアウディQ7/Q9とプラットフォームを共有することで、開発コストを抑えながらも最高級の走行性能を実現する(つまりカイエンEVとは別のプラットフォーム)
- 法規制への適応: EUは2035年の新車販売禁止を緩和したものの、依然として厳しいCO2削減を求めており、ポルシェは「e-Fuel(合成燃料)」への投資も継続しつつ、グループ内の資産を活用しつつカーボンニュートラルとエンジンの楽しさを両立させる独自の道を模索中
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結論:ポルシェが証明する「スポーツカーの正解」
「80% EV」という数字を追い求めるのをやめたポルシェの決断は、極めて現実的で、ブランドの価値を守るための英断とも言えるもの。
EVの持つ透明感のある加速も魅力的ではありますが、ポルシェの本質は「ドライバーと機械の対話」にあり、エンジンの回転、吸気音、そして緻密なシフトチェンジ。
これらを2030年代以降も楽しめる未来が確定したことは、自動車文化にとって大きな勝利であるとも考えられ、「選択肢がある」という贅沢こそ、ポルシェが提供する究極のラグジュアリーなのかもしれません。

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