
| マカンの完全EV化から一転、「柔軟なマルチパワートレイン戦略」へ |
ポルシェは大きく舵を切る
ポルシェが2025年上半期の業績発表において今後の戦略転換を明らかにし、ここでCEOオリバー・ブルーメ氏は、「全セグメントにおいて、以前よりも柔軟性を高める」と述べ、マカン後継モデルとしてガソリンおよびハイブリッドSUVを2028年までに投入することを発表しています。
これは2022年に掲げた「2030年までに販売台数の80%をEVに」という野心的な目標からの軌道修正とも言えるもので、改めてその柔軟な戦略をアピールするものでもありますね。
-
-
【ポルシェが戦略の見直し】”EV比率80%”を断念、さらには販売目標を引き下げ「価値重視」の方針へ。「以前の戦略は完璧に機能するはずだったが事実は違った」
| ポルシェ、EV販売80%目標を下方修正:「市場の現実に柔軟に対応する」 | 全体の販売台数についても「30万台から25万台へ」計画を修正 ポルシェは2025年5月に年次株主総会を開催していますが、 ...
続きを見る
なぜいまガソリンSUVを復活させるのか?
今回の発表によれば、ポルシェは”人気SUV「カイエン」での「ガソリン/ハイブリッド/EV」の三本立て構成”を他セグメントにも拡大する方針を全面に押し出し、電動マカンは今後も継続販売される一方、2026年で生産を終える現行ガソリンマカンの「空白」を埋めるため、新たなガソリン/ハイブリッドSUVが必要だと判断したと説明されています。
「カイエンで行ってきたように、今後はB-SUV(=マカンの属するセグメント)でも同様のマルチパワートレイン展開を行う」
— ポルシェCEO オリバー・ブルーメ
ポルシェの新型ガソリンSUVはどうなる?
ポルシェからの公式発表だと詳細は少ないものの、以下のポイントが確認されており、特にアウディQ5が採用する新しいPPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)の活用が予想され、ポルシェもほかブランド同様にVWグループ内での効率的な開発を進める可能性が示唆されているようですね。
- 登場時期:2028年までに市場投入
- パワートレイン:ガソリンエンジンとハイブリッド仕様を用意
- 位置づけ:「現行マカンの精神を受け継ぐ」コンパクトSUV
- 開発期間:非常に短期。VWグループの技術資産を活用か?
今後のポルシェ製品ラインナップ(予定)
現時点での情報をまとめると今後のポルシェにおけるSUVラインアップは以下の通りとなりますが、「K1」とされる3列シートSUVはフラッグシップEVとして企画されていたものの、今回の柔軟戦略への転換により、開発内容が見直される可能性も(公式にコメントされてはいないが、今後718ボクスター・ケイマンの電動版とあわせてなんらかの発表があるのかも)。
そしてちょっと気になるのはこの「新型SUV」の名称であり、以前のウワサだとこれは「全く新しい名称」が与えられ、「マカン」は電動版のみとして販売がなされると言われているのですが、これについても現段階ではオフィシャルなアナウンスはなく、続報を待つしかなさそうですね。
モデル名 | 車種 | 発売時期 |
---|---|---|
カイエン EV | 電動SUV | 2026年 |
718 EV | 電動スポーツカー | 2026年 |
K1 | 3列シートSUV | 2027年(予定) |
マカン後継SUV | コンパクトSUV | 2028年 |
まとめ:ポルシェの戦略は「一極集中から分散」へ
ここ最近の世界的なEV需要の鈍化は、ポルシェだけでなく他の多くの高級自動車メーカーにも影響を与えていますが、ポルシェはその中でも早い段階で方向転換を表明し、「ガソリン/ハイブリッド/EVの共存」を明確に打ち出した点が注目され、今の世の中では、多様な選択肢準備し、市場や政策の動向にあわせてすばやく方針をシフトさせることが重要であるという事実を再認識させられます。
マカン後継SUVは「EV一辺倒」への反動とも言える存在であり、「選べるポルシェ」の価値を再構築する一手となりそうですね。
合わせて読みたい、ポルシェ関連投稿
-
-
【ポルシェに経営危機が訪れる】販売不振で1,900人削減、EV計画も後退へ。CEOが「これまでのビジネスモデルはもう成り立たない」と悲観的な将来を従業員に語る
| これまでは破竹の成長を遂げ、高い利益率を誇るポルシェであったが | もはやポルシェまでもが「サバイバルモード」に突入 高級スポーツカーの代名詞でもあるポルシェが”かつてない危機”に直面しているとの ...
続きを見る
-
-
【1000馬力級EV】ポルシェ新型「カイエンEV」、最大出力986馬力超え、V8サウンドも合成で再現へ
Image:Porsche | ついに来た「電動カイエン」。そのスペックはモンスター級 | カイエン・エレクトリックは「最強・最速SUV」の仲間入り ポルシェは、次世代「カイエンEV」のプロトタイプを ...
続きを見る
-
-
ポルシェが進めてきたEV戦略の落とし穴:中国の競争と柔軟性の欠如が生む危機。ポルシェは「EV化へのギャンブル」に負けたのか?
| ポルシェのEVへの賭けは“早すぎた”のか? | 「柔軟に未来に対応したはず」の柔軟な戦略そのものに柔軟性が足りなかったという「皮肉」 ポルシェはテスラに続き、プレミアムブランドとして最も早くEV化 ...
続きを見る