
| ベントレーはこれまでにも様々な変遷をたどり現在の「内装基準」へ |
やはり高級車にとって「レザー(皮革)」は避けて通ることができない
英国の超高級車ブランド、ベントレーが自社のアイデンティティである「内装素材」の調達に関する新たなポリシーを発表することに。
なお、ベントレーはこれまでにも「内装にレザーを使用しない」と宣言したこともありますが、それが顧客に受け入れられずにレザーへと回帰していて、しかし(植物由来の)合成レザーの採用を目指したり、天然皮革でもトレーサビリティを重視したりと「環境配慮」の姿勢を貫いているのが現在の状況です。
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この記事の要点
- 倫理的調達の強化: レザー、ウッド、ウールなどの主要素材において、厳格な環境・社会・倫理基準を適用
- 動物福祉(アニマルウェルフェア): すべてのレザーに対し、EU基準以上の動物福祉遵守と第三者機関による検証を義務化
- 森林保護の徹底: ウッドパネルは持続可能な管理下にある森林からのみ調達し、再生材の活用も推進
- 透明性の確保: 複雑なサプライチェーンを可視化し、フォルクスワーゲングループの厳格な枠組みに完全準拠
最高級の裏側に「誠実さ」を。ベントレーが挑むBeyond100+の真髄
ベントレーといえば、芳醇な香りのレザーシートや美しい紋様のウッドパネルがその代名詞。
しかし2026年現在のラグジュアリーにおいては「質が良い」だけでは不十分で、今回発表された「責任ある原材料調達ポリシー」はベントレーが進める長期戦略「Beyond100+」の中核を成すものです。
会長兼CEOのフランク=ステフェン・ヴァリザー博士が「責任あるラグジュアリーには継続的な進歩が必要だ」と語る通り、ブランドの誇りであるクラフトマンシップに「倫理」という新たな命を吹き込んだというのが今回の「進歩」というわけですね。
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メルセデス・ベンツやBMWとは違う「ベントレー流」素材のこだわり
1. レザー:動物福祉への厳格な目線
ベントレーの内装に使用されるレザーは、すべてEUまたは同等の国内動物福祉法に準拠していることが求められ、ここでは禁止事項を明確に定めることでサプライヤーには定期的な報告とモニタリングを義務化。
これにより、ユーザーは「美しさの裏に犠牲がないこと」を確信してシートに身を預けることができるのだそう。
2. ウッド:持続可能な森林管理
ダッシュボードを飾るウッドパネル(ベニア)は、EUDR(EU森林減少防止のための規則)や英国の木材規制を遵守。
単に木を切るのではなく、適切に管理された森林から調達され、さらに品質を損なわない範囲での「リサイクルウッド」や「再構成ウッド」の探索も進めています。

3. トレーサビリティ(追跡可能性)
世界中に広がる複雑な供給網を透明化。
どの農場で、どの森林で生まれた素材なのかを追跡できる体制を構築し、フォルクスワーゲングループ全体の高いデューデリジェンス(適正評価)基準を適用することに。
ベントレーの持続可能な素材戦略
ベントレーが現在注力している、サステナブルな内装素材の取り組みをまとめると以下の通り。
| 項目 | 具体的な取り組み・基準 | 目的 |
| レザー調達 | 第三者機関による検証+アニマルウェルフェア遵守 | 動物福祉と倫理的消費の担保 |
| ウッドパネル | EUDR/UK木材規制準拠、第三者森林認証 | 森林破壊の防止と生物多様性保護 |
| ウール素材 | 持続可能な農業・倫理的調達基準の適用 | 伝統技術と環境保護の両立 |
| 次世代素材 | リサイクル素材やヴィーガンレザーの探求 | カーボンニュートラルへの貢献 |
| 管理体制 | フォルクスワーゲングループ共通の調達ポリシー | グローバル規模でのリスク管理 |

ラグジュアリーは「所有」から「価値観」へ
かつての高級車市場は「希少な素材をどれだけ贅沢に使うか」が競われており、しかし現在のトップエンドの顧客層(超富裕層)は環境負荷や人権問題に極めて敏感だとされています。
ベントレーがこれほどまでに厳格なポリシーを打ち出すのは、「エシカル(倫理的)であることが、現代における最大のステータスである」という市場の変化を読み取っているからにほかならず、競合するロールス・ロイスなども同様の動きを見せているものの、ベントレーは「Beyond100+」という具体的なロードマップを示すことで”サステナブル・ラグジュアリーのリーダー”としての地位を固めようとしているわけですね。

「本革」を使い続けることが、実はサステナブル?
近年、フェイクレザー(合成皮革)やヴィーガンレザーが注目されているという側面も存在しますが、ベントレーはあえて「本革」の調達基準を強化する道を選んでいます。
実は本革は食肉産業の副産物であり、それを適切に利用することは廃棄物を減らす「アップサイクル」の一環だと捉えることも捉えることが可能だとされ、また化学繊維ベースの合成皮革に比べて本革は耐久性が極めて高く、数十年、数百年と使い続けることができるため、長寿命という観点では非常に環境負荷が低いという考え方もあるもよう。
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「新しい素材に変える」だけでなく、「伝統的な素材のあり方を正しく更新する」。
これがベントレーの選んだ、より困難で、より誠実な道ということになりそうです。

結論:ぼくらが選ぶべき「未来のクラシック」
ベントレーの新しい調達ポリシーは企業の社内規定にとどまらず、それは最高級のクルマを愛する人々が、誇りを持ってそのステアリングホイールを握り続けられるようにするための「約束」です。
「誰にも、どこにも傷をつけずに、最高の体験を届ける」。
そんなベントレーの姿勢は自動車業界全体、さらにはすべての製造業にとっての指針となることは間違いなく、これからのベントレーは、その美しさの中に「地球への優しさと動物への敬意」がこれまで以上に色濃く映し出されることになりそうですね。
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参照:Bentley











