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ステランティスがV字回復へ足がかり。2026年第二四半期決算で売上高13%増、北米市場の躍進と中国との連携が示す反撃の狼煙とは

アルファロメオ トナーレ(グリーン)のフロントサイド
Life in the FAST LANE.

| ステランイティすは大きな企業の割りに「動きが軽い」 |

いち早く中国の新興EVメーカーと手を組んだことが奏功か

ジープ、マセラティ、アルファロメオ、プジョー、フィアットなど多彩なブランドを擁する多国籍自動車企業「ステランティス(Stellantis)」。

今回2026年第2四半期(Q2)の財務実績を発表し、新CEOアントニオ・フィローサ(Antonio Filosa)氏の指揮のもと、同社は北米市場での大幅な販売回復や多様なパワートレインを選択できる製品展開、さらに中国の新興EVメーカー「Leapmotor(リープモーター)」との戦略的シナジーにより、主要な財務指標の多くで前年同期を上回る改善を示した、と発表することに。

厳しい世界情勢の中でいったいステランティスがどのような反撃に出ているのか、地域別のパフォーマンスや今後の戦略について考えてみましょう。

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【この記事の要約】

  • 売上高が大幅増収へ転換:2026年第2四半期(Q2)の純売上高は前年同期比13%増の435億ユーロ(約7.1兆円)、純利益も3億ユーロを確保し業績が持ち直しの兆し。
  • 北米市場が全体を強力に牽引:ジープ「グランドワゴニア(+43%)」や「ラム1500(+9%)」などが好調で、北米部門の売上高は前年比32%増と大幅な伸びを記録。
  • 欧州ではマルチパワートレインと「Leapmotor」がカギ:EV・ハイブリッド・内燃機関を網羅するスマートカー・プラットフォームの展開に加え、提携する中国EVブランド「Leapmotor(リープモーター)」の販売が欧州で前年比6倍へ急成長。
  • 通期見通し(Guidance)を再確認:関税や過去の費用引当によるキャッシュアウトなどの逆風を織り込みつつ、新戦略「FaSTLAne 2030」のもと、2026年の通期財務目標の達成に自信をみせる。
マセラティ GT2 ストラダーレ(パープル)のフロント
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北米のV字回復と戦略計画「FaSTLAne 2030」の推進

2026年第2四半期のステランティスの業績は”主要な財務指標のほぼすべて”において改善を見せており、純売上高は前年同期比13%増の435億ユーロに達し、調整後営業利益(AOI)は8億ユーロ(利益率1.8%)を確保。

特に北米市場での売上増が全体を押し上げたとされていますが、北米事業がちょっと前まで「死に体」だったことを鑑みるに、確実に回復基調にあるのだと考えることが可能です。

マセラティ
ステランティスの全米ディーラー網がCEOを直接批判、その戦略に疑問を呈する。「販売が半減し、ラインアップは老朽化、消費者の買える価格帯の車がない」。ステランティスもこれに反論

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同社は5月のインベスター・デイで発表した長期戦略計画「FaSTLAne 2030」の実行を着実に進めており、アントニオ・フィローサCEOは以下のように手応えを語っています。

「第2四半期は、北米が牽引し、他の全地域からの重要な貢献にも支えられて持続的な進展を見せた四半期となりました。売上高、調整後営業利益、フリー・キャッシュ・フローのすべてで大幅な改善を達成しています。『FaSTLAne 2030』戦略の実装が順調に進み、今年の刺激的な新型車投入もスケジュール通りに進行していることから、2026年の財務ガイダンス達成に向けて確固たる自信を持っています。」

【新CEO誕生】ステランティス、苦境と波乱の中でジープCEO出身のアントニオ・フィローザ氏を新CEOに任命
【新CEO誕生】ステランティス、苦境と波乱の中でジープCEO出身のアントニオ・フィローザ氏を新CEOに任命

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アルファロメオ・トナーレのフロント
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主要財務スペックと地域別パフォーマンス

ステランティスが公表した2026年Q2の財務数値、および世界主要地域での販売動向は以下の通りとなっていて・・・。

1. 2026年Q2 主な財務スペック(前年同期比較)

財務指標2026年 Q2実績前年同期(2025年Q2)比
純売上高(Net Revenues)435億ユーロ+13%
純利益(Net Profit)3億ユーロ黒字拡大(台数増・オペレーション改善)
調整後営業利益(AOI)8億ユーロAOI率 1.8%(前年比 +120 bps)
産業フリー・キャッシュ・フロー10億ユーロ前年比 10億ユーロ改善
利用可能流動性(Liquidity)441億ユーロ売上高の27%相当(目標水準25-30%内)

2. 地域別の市場動向とトピックス

  • 北米(売上高 +32%):米国市場全体の販売がマイナス(-0.3%)となる中でステランティスは逆風を跳ね返し、Jeep「グランドワゴニア(+43%)」、Ram「1500(+9%)」、Dodge「デュランゴ(+9%)」、Chrysler「パシフィカ(+7%)」などが軒並み伸びを見せることに。メキシコでもリープモーター(Leapmotor)を含め19%増と四半期として過去最高の販売を記録
  • 拡大欧州(Enlarged Europe):全体売上数量は前年並み(Leapmotor込みで+7%)。新プラットフォーム「Smart Car」をベースとしたフィアット「グランデパンダ」の内燃機関(ICE)モデルなどの投入に加え、商用車(LCV)部門ではシェア28.7%を獲得して首位を堅持。また、Leapmotorブランドの欧州販売台数は前年比6倍へと急速に拡大
  • 南米:販売台数はわずかに減少したものの、ブラジル(シェア25.6%)とアルゼンチン(シェア26%)で首位を維持。特にブラジルでのRamピックアップトラックの販売が前年比10%増と好調を維持
  • 中東・アフリカ:地域全体の市場が約8%縮小する厳しい環境下でもシェアを20ポイント引き上げて拡大。アルジェリアでは現地生産モデルが過去最高の2万台超を記録する
  • アジア太平洋プジョー408の低迷などから販売は前年同期比29%減と苦戦。しかしマレーシアでのLeapmotor「C10」の現地組み立て開始や、中国DFM(東風汽車)とのプジョー/ジープモデル開発パートナーシップの発表など、構造改革が進められている
中国 リープモーターのEV「C10(欧州ではB03X)」のエクステリア

Image:Leapmotor

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知っておきたい関連知識:ステランティスを解き明かす「2つの鍵」

今回の決算発表を読み解く上で、自動車業界の将来トレンドに関わる重要なキーワードが2つ存在しており・・・。

① 「Smart Carプラットフォーム」によるマルチパワートレイン戦略

現在、欧州や北米では電気自動車(EV)需要の鈍化(いわゆるEVキャズム)や地域による環境規制の格差が課題となっていて、ステランティスは単一のEV専用設計に固執せず、同じ「Smart Carプラットフォーム」上で純電気自動車(BEV)、ハイブリッド(HEV)、内燃機関(ICE)のすべてを柔軟に生産・展開する体制を確立。フィアット「グランデパンダ」などに代表されるこの柔軟性が、需要変動リスクを吸収する強みとなっています。

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② 中国新興メーカー「Leapmotor(零跑汽車)」とのアライアンス

ステランティスは中国のEVベンチャーであるLeapmotorに出資し、中国国外での独占販売権を持つ合弁会社を設立しています。

欧州において中国製EVへの追加関税や貿易摩擦が話題となる中、ステランティスは自社の世界的な製造・販売網を活かしてLeapmotor車を欧州や東南アジア(マレーシア等)で現地生産・販売。

低価格で競争力の高い中国系EV技術を自社グループの強みへと取り込む「新時代のグローバル提携モデル」として業界内でも大きな注目を集めています。

リープモーターのEV(グリーン)
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Image:Leapmotor | ステランティスは自らの生存と引き換えに既存欧州自動車メーカーに「喧嘩を売る」ことに | しかし「もっとも賢い」方法であることも間違いない 欧州の大手ステランティス( ...

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結論

2026年Q2の決算結果は、ステランティスが過去数四半期の混乱を乗り越え、再び成長軌道へと舵を切ったことを明確に証明しています。

主力の北米市場におけるSUV・ピックアップトラックの力強い復調、そして欧州や新興国におけるマルチパワートレインおよびLeapmotorを活用したスピード感ある製品投入。関税コストなどの外部要因(年間10億〜12億ユーロの影響と試算)を受け止めつつも、ブレない戦略で挑む同社の動きは、今後の世界自動車市場の覇権争いを占う上で極めて重要な指標となるのかもしれません。

なお、ここまで急速に回復できた一つの要因は、「中国を敵とみなすのではなく協調姿勢を取ったこと」にあるものと思われ、かなり早い段階から中国の自動車メーカーとともに商品開発を行い、製造や販売においてもシナジー効果を創出することを考えてきたからなのだとも思われます。

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参照:Stellantis

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