世間でよく言われる「輸入車の中古はよく壊れる」。
そのために維持費がかかるのでこれを購入するのはどうか、というものですね。
これは一昔前の認識のようでもありますが、一部では「当てはまる」と考えています。
というのも、もともとの品質差に加えて「日本車と輸入車との考え方の違い」というものがあり、それが年を重ねると露見しやすくなるのだと思われます。
品質差については当然ですが日本車の方が優れており、例えばぼくのBMW i3はよくトラブルに見舞われ、これは保証期間だからこそいいようなものの、保証期間が過ぎたのちは正直「怖い」と考えています。
i3だとトラブルが起きるのは主に制御系やソフトウエアに関する部分ですが、欧州車は以外とここが弱い模様。
よって、この部分は問題が出やすいと考えてよいでしょうね。
なお、「問題が出やすい」のにはそれなりの理由があり、欧州車は車両診断を容易にするために「センサー」の数が多くなっています。
ちょっと前の話ですが、その数は「日本車の9倍(今はそんなことはないと思いますが)」と言われ、要はエラーを出す確率が日本車の9倍も多いと考えることもできますね。
そう考えると「故障しやすい」というよりは「故障した時にそれが露見しやすい」のかもしれず、たとえなセンサーがなければ故障してもそれがわからないこともあるわけですね。
加えてセンサーが非常にデリケートで、その許容値が狭い場合があり、例えばO2センサーなどはエアクリーナーを社外品に交換しただけで異常値を吐くことがありますし、エキゾーストシステムを交換すると当然異常値が出ます(センサーをそのまま移植した場合)。
要は、欧州車は「なんか弄ると異常値が出る」可能性が高く、見えない部分にでも手を加えられた中古の輸入車を購入すると、後々センサーが異常信号を出しまくり、ということにもなりかねません。
その意味では輸入車の中古はリスクがあり、できればいじっていない個体、しかし何があるかわからないので保証が残っている個体を選びたいものですね。
しかしながら欧州車はこう言ったデータを研究開発に生かしていると思われ、よってセンサーが異常値を出すのも「予測可能な範囲」かもしれず、致命的ではないのかもしれないと考えることもあり、「初期ものはよく壊れる」というのもこれに関連した一般認識なのかもしれません(欧州車の初期ロットはよく壊れるので最終モデルの方が良いという認識ですが、欧州車は一旦発売してから不具合情報を収集しているのかも。ソフトウェアのβ版のような感じ)。
なお、ぼくは初期モデルであっても(新車もしくは高年式中古で)気にせず購入するようにしていますが、それは「保証があるから」。
何かあってもメーカー起因であれば保証にて(無償で)直してくれると考えているからで、新型に乗れる満足度、また売却時のことを考えて(最終型を購入するとすぐに”型落ち”になって売るのに苦労する。売らなければこれは無関係ですが)積極的に初期型を選ぶようにしています。
なお欧州車は頻繁に改良を行うので年式を経れば経るほど品質が向上するのはまちがいなく、これはランボルギーニやフェラーリのような少量生産メーカーに顕著で、しかも共通部品が少なかったり専用設計の部分が多い車種にはもっと顕著(その意味ではウラカンは中身がアウディR8で、電装系も他アウディと共通なので心配は少ない)。
その他品質だと「樹脂」の品質差は大きいと考えており、欧州車は一般に環境負荷に起因して再生樹脂の含有率が高く、これが劣化しやすいために経年劣化で破損したりすることがあります。
同様にこれも樹脂の品質に起因するものと思われますが、表面がべたついてきたりもしますね。
自動車の「考え方」の部分で言えば、欧州車は一般に「メンテナンスすること」を前提にしていおり、特にブレーキにそれは顕著。
日本車だと普通に走っていればブレーキローターは交換不要なシロモノですが、欧州車はブレーキローターの材質が柔らかく削れるので「パッド2回の交換に対してローター1回の交換」を推奨するケースも多いようです。
つまりローターが削れることで制動力を発揮しているわけですが、パッドとローターの削れカスでホイールがドス黒い茶色に汚れている輸入車をよく見かけますよね。
その意味では「ある程度距離を走った中古車はトラブルが出切っており、対応されているので大丈夫」はある意味で正しくもあるものの、ある意味では新たに磨耗や損耗による出費を強いられる可能性があるのかしれません。
そんなわけで日本車とは異なる思想によって設計された欧州車ですが、その思想や特徴を理解していればさほど問題とは思っていないのが実情です。
もちろん壊れないに越したことはないのですが、壊れても壊れたとわからないような車や、壊れないけれど面白みのない車よりはよほどいい、と考えています。
これは人間でも同じと思われ、中身が完璧でも外観がイマイチだったりする人が高い評価を得られるかというとそうでもなく(悲しいことですが)、ちょっと困ったところもあるけど面白い人が評価されやすいという現実もありますね。
そしてやはり車も人に対する好みと同じで、「好きになるのに理由はなく」「好きになったら多少のことは目をつぶる」しかないのだと思います(家電や衣類、腕時計やバッグなども同じかも)。