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「内燃機関は敵ではなくパートナー」。ボッシュが語るEVシフトの意外な現実、「2035年以降もエンジンの火が消えることはないでしょう」

「内燃機関は敵ではなくパートナー」。ボッシュが語るEVシフトの意外な現実、「2035年以降もエンジンの火が消えることはないでしょう」

| 完全EV化はまだ先?自動車大国が直面する「現実解」 |

このままだとガソリンエンジンは「半永久的に」生き残ることになりそうだ

「2030年代にはすべての新車がEVになる」——そんな予測が飛び交っていた数年前。

しかし2026年現在の自動車業界は「より現実的な混迷の時代」を迎えています。

世界最大級の自動車部品メーカーであるボッシュ(Bosch)の北米法人社長、ポール・トーマス氏がCES 2026での会見で驚くべき見通しを語っており、同氏によれば以下の通り。

「2035年になっても、北米を走る車の約70%には依然として内燃機関(エンジン)が搭載されているだろう」。

なぜ、これほどまでにEVシフトの波は穏やかになっているのか。その裏には、エンジンを「主役」から「最高の脇役」へと変える新しい技術の潮流があるようです。

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この記事の要約

  • ボッシュの予測: 2035年、北米の新車の7割はエンジン搭載車(ハイブリッド含む)。純粋なBEVは3割に留まる
  • エンジンの新役割: 単独で走るためではなく、電気を作る「レンジエクステンダー」としての需要が急増
  • メーカーの動向: フォード、日産、VW傘下のスカウトなどが続々と「エンジン付きEV」へ舵を切っている

なぜエンジン車は生き残るのか?

ボッシュの分析によると、ガソリン車は消え去るのではなく、「電動化技術と融合する」ことで生き残りが可能に。

今回ポール・トーマス氏は「レンジエクステンダーEV(EREV)」の実用性と将来性について言及しています。

  1. レンジエクステンダー(EREV)の台頭: モーターで駆動し、エンジンは発電に徹する仕組み。充電の不安を解消しつつ、EVの加速感を味わえる「いいとこ取り」のスタイルでもある
  2. インフラの壁: 北米のような広大な地域では、依然として急速充電インフラの整備が追いつかず、完全EV化への抵抗感が根強く残っている
  3. コストと補助金の変化: 米国でのEV補助金削減や規制の見直しにより、消費者にとって「高価なEV」よりも「効率的なハイブリッド」が現実的な選択肢となっている
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日本で「レンジエクステンダーEV」というと日産の「e-Power」がこれに近く、しかしレンジエクステンダーEVとの大きな違いは「外部充電ができないこと」。

加えてバッテリー容量が小さく「ガソリンエンジンをほぼ回し続ける必要がある」ことからもレンジエクステンダーEVではなく「シリーズハイブリッド」と解釈されることが多いのですが、レンジエクステンダーEVであっても「電力の供給をエンジンに頼る」ことでバッテリー容量を縮小したり充電システムを簡素化(低速化)することで車両価格を大きく引き下げることが可能です。

業界が注目する「エンジン搭載型EV」の最新事例

大手メーカーはすでに、ボッシュの予測を裏付けるような新モデルを続々と発表しており・・・。

1. フォード:F-150 ライトニング EREV

かつて「純EVトラック」として話題を呼んだライトニングではあるが、次世代モデルでは発電用ジェネレーターを搭載したEREVモデルが登場。航続距離は驚異の700マイル(約1,126km)超を目指しており、重い荷物を牽引するユーザーの不安を払拭する存在に

2. 日産:新型ローグ(日本名:エクストレイル) e-POWER

北米の主力SUVであるローグにもついに「e-POWER」が投入され、エンジンは発電専用、駆動は100%モーター。日本や欧州で成功したこの方式が、ついに北米市場のメインストリームへ

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3. スカウト(Scout):トラベラー & テラ

VWグループから復活した伝説のブランド「スカウト」も、純EV版に加えて「Harvester(ハーベスター)」と呼ばれるレンジエクステンダー版を用意。4気筒エンジンを「モバイル発電機」として活用する

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Image:Scout

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今後の市場予測(北米:2035年)

こういった傾向によって北米でも「ガソリンエンジンがメインストリームであり続ける」とされていますが、保守的、そして経済思考が強く、さらにはEVに対する抵抗が強い日本においても、北米と同程度、あるいはそれよりも高い比率にてガソリンエンジンが生き残ることになりそうです(とくに国産車販売の過半数を占めるトヨタがガソリンエンジンに固執する限り)。

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パワートレイン形式市場シェア(予測)主な特徴
エンジン搭載車(HEV/PHEV/EREV含)70%ハイブリッドや発電専用エンジンが主流
バッテリーEV (BEV)30%都市部や短距離利用を中心に定着

結論:エンジンは「敵」ではなく「パートナー」へ

「エンジン vs EV」という対立構造は、もはや過去のものになりつつあり、ボッシュのポール・トーマス氏が語ったように、これからはハイブリッドやレンジエクステンダーといっ「バランスの取れたアプローチ」が市場を支配する可能性が大きそう(車両価格の面から見ても、これらが最適解だといえる)。

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そしてぼくらユーザーにとって、2030年代の車選びは「ガソリンか電気か」という極端な二択ではなく、「自分のライフスタイルに最適な電動化の度合い」を選ぶ時代になりるであろうことが予想され、エンジンの咆哮が完全に消える日はぼくらが思っているよりもずっと遠い未来の話かもしれません。

そしてEREVについても進化する可能性を否定できず、もしかすると「アクセル開度にあわせてエンジン回転数が変わり」、ガソリン車のようなフィーリングを楽しめるようになるのかもしれませんね。

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参照:Motor1

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