| 12年前だとテスラもGMやフォルクスワーゲン、フォードとは比較にならない「笑い飛ばされる」存在ではあったが |
そしてこの1−2年であっても「誰も」BYDの成長を予想し得なかった
さて、2023年はEV業界にとって一つの転換期となる可能性が高く、それは「第4四半期の生産・販売台数において、BYDがテスラを逆転する可能性が高いから」。
これによって通年におけるバッテリー式EVの生産・販売においてもBYDがテスラを抜く可能性が濃厚となり、テスラの支配が終わりを告げること、かわりにEV業界の覇者が中国の自動車メーカーになることが決定的になると見られているわけですね。※9月までは通年でテスラとBYDとの間で30万台ほどの差があったが、それが埋まる可能性もあるようだ
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2011年、誰もこういった状況を想像すらしなかった
なお、こういった状況はだれも想像すらしていなかったもので、それはテスラのイーロン・マスクCEOであったも同じだと見え、実際に同氏は2011年に行われたブルームバーグによるインタビューにてBYDを一笑に付しています。
これはインタビュワーの「BYDがテスラの競合となりうるか」という問いを笑い飛ばしたものですが、その12年後にはまさかBYDがテスラを抜くとは考えていなかったのだと思われます。※2年ほど前にはこの考え方を改め、BYDが脅威になると認めている
In 2011, Elon Musk scoffed at the idea of BYD competing with Tesla in a Bloomberg TV interview.
— Bloomberg (@business) December 27, 2023
Now, the Chinese carmaker is set to become the world's No. 1 EV maker https://t.co/Ilio0p6mYG pic.twitter.com/EX4mwqbdq7
ただしこういった事情についてはイーロン・マスクCEOを責めるわけにはゆかず、というのも「世界中のほとんどの人がBYDなどすぐに潰れるだろうと考えていたから」。
ただしごく一部には「そう思わない人」もおり、投資家のウォーレン・バフェットもその一人で、同氏は早くからBYDに可能性を見出し、BYDに投資を行っていたわけですね。
しかしながらこういった人々は本当に限られたごく少数であり、実際のところぼくら日本人であっても、10年前には「まさか中国の自動車メーカーが世界最大のEVメーカーになろうとは想像だにしなかった」という現実を思い出してみるといいかもしれません。
EV市場はあまりに移り変わりが早い
なお、EV市場ではあまりに多くのことが起こり、そして変化し続けていて、当のテスラですら4−5年前までは「じきに倒産する」と考えられており(テスラもこの時点では笑い飛ばされるような存在だった)、EV時代の覇者はフォルクスワーゲンかメルセデスベンツ、もしくはBMWだろうと考えられていたわけですね。
さらにいうなれば、わずか1年ほど前の予測であってもBYDのここまでの成長を予測したものは(おそらくウォーレン・バフェット以外は)おらず、調査機関による予測では「2023年のBYDのEV販売はテスラの半分にとどまり、VWに次ぐ業界3位である」。
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そんなBYDですが、2023年には(BEV以外も含めて)合計313万台の車両を生産すると予想されていて、これはスズキグループの301万台を上回り、フォードの395万台、ホンダの397万台、GMの487万台、ルノー・日産・三菱の628万台、ステランティスの640万台、ヒュンダイグループの689万台、フォルクスワーゲンの880万台、トヨタの1065万台(いずれも予想)に次ぐ規模となり、もはや無視できないレベルにあることもわかります。
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