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| イーロン・マスクの思い描く未来を実現するには「ワイヤレス充電」以外の道はありえないが |
あえて困難にチャレンジするテスラの姿勢には喝采を贈りたい
さて、何かと話題のサイバーキャブではありますが、テスラはこのサイバーキャブにいくつかの新しい技術を導入しており、そのひとつが「無線充電」。
実際のところサイバーキャブには充電ポートが存在せず、充電パッドを使用したワイヤレス充電のみに対応しており、テスラは「90%の無線効率」を約束しています。※誘導充電は熱によるエネルギーの無駄が多く、非効率的であることが知られているが、この90%はかなり優秀な数字である
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実際にテスラがこの技術を実現できるかどうかは疑問視されている
そしてテスラが「サイバーキャブの生産を2027年までに開始する」と主張しているのと同様、このワイヤレス充電についても多くの識者が疑問を呈していて、技術レビュワーのマルケス・ブラウンリー氏は「テスラが効率的な誘導充電システムを作ることは不可能」だと指摘し、「ワイヤレス充電には大量の熱ロスがある。このようなものの理想的な目標は、おそらく75%の効率にとどまる」と主張。
なお、テスラCEO、イーロン・マスクは早速これに回答し、「システムが正しく設計されていれば、誘導充電と導電充電の間に意味のある効率差はなく、90%以上の効率を達成できる」と述べるなど見解の差が生じています。
Robotaxi wireless charging
— Tesla (@Tesla) October 18, 2024
No hands required pic.twitter.com/XL746DkGhb
もちろんテスラとて根拠のない数字を掲げているわけではないのだと思われ、実際のところ昨年テスラは無線充電技術を専門とするドイツの会社、ワイフェリオン(Wiferion)を7600万ドルで買収したところ。
そしてこの会社は「93%の効率を実現する無線充電ソリューションを開発した」と発表していたわけですね。
Rides in the city of the future https://t.co/swCCGwLP1X pic.twitter.com/mu5IfQD6AN
— Tesla (@Tesla) October 17, 2024
テスラが直近にてXへと公開した動画では、25kWで充電されている様子が映されており、これは誘導充電としては印象的で、テスラのウォールコネクターが提供する標準の11.5kWhよりもはるかに速いスピードです。
しかしその一方、テスラのV4スーパーチャージャーが最大350kWで充電できることを考えると「これよりはずいぶん遅い」ということになりますが、テスラはこのサイバーキャブを「何もかも自動でこなし、勝手に走行して客を拾い、勝手に充電する」ことを想定していて、よって従来の充電方法のように「人力によって充電ケーブルを車両に差し込む」のではまったく意味をなさないと考えているのかもしれません。
Robotaxi details pic.twitter.com/AVSoysc6pS
— Tesla (@Tesla) October 11, 2024
そう考えると「ワイヤレス充電オンリー」にも納得ではありますが、そもそも「自動運転車両としての許可を取れるのか」「許可を取れたとしても年間2,500台しか(法規制によって)販売できない」という問題があり、それらをクリアしても「サイバーキャブ専用の充電パッドを設置し、サイバーキャブがそこにピタリと駐車するようにしなければならない」という課題も考えられ(充電パッドのメンテナンスも必要だと思われる)、実現への道はまだまだ遠そう。
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ただ、「実現が難しいから」といって諦めるテスラではなく、たとえどんなに困難であり実現不可能に思えても「果敢にチャレンジする」のがイーロン・マスクCEO。
そういったテスラ、さらに同氏の姿勢が「圧倒的な時価総額」を実現しているのだと考えてよく、今後の動向には期待したいと思います。
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