｜ 「マスク効果」がテスラの販売に直撃？ イェール大学が経済的損失を数値化 ｜
これまでにもさんざん「イーロン・マスクCEOのネガティブ効果」が報じられていたが
かつては「誰もが支持する天才的イノベーター」と称されたイーロン・マスク。
しかし近年の政治的発言や行動が、彼自身とテスラのブランドに深刻な影響を与えていることがイェール大学の経済学者による研究で明らかになっています。
同研究（全米経済研究所＝NBERに掲載）によると、イーロン・マスク氏の政治的傾向が米国でのテスラ販売を2022年から2025年の間に最大83％押し下げた可能性があるとのことで、それによりテスラは100万〜126万台の販売機会を失ったと推定され、その損失額は数十億ドル規模にのぼると見られています。
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「マスクの政治的影響（Musk Partisan Effect）」とは
研究チームは、これを「Musk Partisan Effect（マスクの党派的影響）」と名付け、テスラの販売減少と競合他社の販売増加の因果関係を分析。
データによると、マスク氏の発言や政治行動によって離反した顧客層の一部は、ライバルの電気自動車・ハイブリッド車メーカーへと流れたとされ、その結果として他社の販売は約17〜22％増加したとのこと。
反感を買った具体的な行動：共和党寄りへの急旋回
テスラの主要顧客層は伝統的に民主党支持者が多いとされますが、イーロン・マスク氏は2024年大統領選を前に共和党候補者へ3億ドルを寄付。
これが大きな転換点となり、多くのファンが「政治的に距離を置く」きっかけとなっています。
さらにはイーロン・マスク氏がドナルド・トランプ政権下の新設組織「政府効率局（Department of Government Efficiency＝DOGE）」に参加したことや、ドイツの極右政党AfDへの支持を示唆した発言なども批判を浴びていて、これらの行動が重なってしまい「ビジョナリー経営者」から「分断を生む存在」へとイメージが変化してしまったというわけですね。
カリフォルニア州の環境政策にも影響
研究ではさらに、マスク氏の発言とそれに伴う販売減少がカリフォルニア州の脱炭素目標（ネットゼロ計画）を遅らせた可能性があると指摘しており、特にEV販売率の鈍化は州の2026年排出削減目標達成を難しくしていると述べられています。
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評判は部分的に回復傾向も
一方で、研究者らは最近になってマスク氏の世論評価が若干改善しているとも指摘していて（たしかに最近はそういった話題が少なくなった）、これはトランプ前大統領から距離を置き、ロボタクシーや自律走行技術、ヒューマノイドロボットといったテクノロジー分野への集中を再開したことが背景にあるようですね。
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とはいえ、テスラの世界販売は依然として前年比約10％減少が予測され、それでもマスク氏は強気の姿勢を崩さず「1兆ドルの報酬パッケージ」を株主に提案。
11月にはこの報酬案をめぐって株主投票が予定されており、もし可決されれば企業史上最大のCEO報酬となる見通しですが、テスラ会長ロビン・デンホルム氏は株主宛ての書簡で「この報酬が承認されなければ、マスク氏は退任する可能性がある」と警告（よって株主にこの案を支持するように要請）したのも記憶に新しいところです。
Image：Tesla
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まとめ：天才か、リスクか？
イーロン・マスクは間違いなく現代で最も影響力のある経営者の一人でもあり、しかしその発言や政治的立ち位置がブランド価値や販売実績にこれほどの影響を与えることが数値で示されたのは初めて。
「マスク個人」と「テスラ」というブランドが、どこまで切り離して考えられるのか――それが今後のテスラの最大の課題となりそうですね。
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参照：CARSCOOPS
