| 日本はいつの間にか企業ともどもデジタル後進国に |
さて、韓国サムスンとBMW、フォード、アウディ、ジェネシスが「(自動車用の)スマートキー」分野にて提携、との報道。
今回はその概要が発表されたのみですが、これは「スマートシング(Smart Thing)」と呼ばれ、自動車のリモートスタート/ストップのほか、自宅の機能もコントロールできるとされ、たとえばエアコンやロボット掃除機、洗濯機、ガレージのドア開閉についてもクルマから操作ができる、とのこと。
家電メーカーは「家電をクルマに」、自動車メーカーは「自動車を家電化」
なお、こういった傾向はここ最近顕著になっていて、いわゆる「クルマの家電化」ということになりそうです。
ただ、面白いのは、コンピューター業界含む家電メーカーは「家電を自動車化」し、自動車メーカーは「自動車に家電の要素を持たせよう」としていること。
これらは似ているようで微妙に異なり、「家電の自動車化」のほうがより範囲が広く、ぼくらの生活により密接に結びついていて、さらには生活をより快適に、そしてより便利にしてくれるようにも感じます。
そういった意味では、「自動車に家電の機能を持たせる」というのはベースが「移動手段」という限られた行動にとどまり、これは”生活の一部”。
よって、自動車メーカーは考え方をシフトさせなければ、家電メーカーによって飲み込まれることになるのではないかとも考えています。
なぜ日本の自動車メーカーや家電メーカーはこれについて来れないのか
そしていつもぼくが思うのは、なぜ日本の自動車メーカーや家電メーカーがこういった動向を牽引できないばかりか、「ついてこれないのか」。
これはよく言われるガラパゴス化の一部ということになりそうですが、優れた技術を持ちながらも、それを世界規模で役立てることができないのがちょっと残念。
ただしサブカル、ゲーム等の分野では日本が世界をリードしていて、「こういった差はどこから生じるんだろうな」と思ったりするわけですね。
自動車に話を戻すと、インフォテイメントシステムについて、欧米ではかなり早い段階からこれを取り入れていて、とくにメルセデス・ベンツ、アウディは相当に力を入れているという現状も。
しかしながら日本はインフォテイメント分野に対してはほぼ力を入れておらず、欧州車に「標準」で搭載される機能がオプションもしくは「オプションでも選べず」、かのレクサスでも欧州勢に比較すると2世代ほど遅れてるんじゃないかという印象すら持っています(現行クラウンが”コネクティッドカー””つながる”をウリにデビューしたが、もうそれは欧米では標準だった)。※はじめから欧米の自動車メーカーがリードしていたわけではなく、2000年代はじめまではむしろ日本のカーエレクトロニクスの方に優位があったと認識しており、つまり日本は”追い抜かれた”
これは現在「電気自動車」についても同じことが議論されていて、日本は「製品の中に使用される個々の技術は優れているのに」、製品として消費者が使用するモノについては世界標準との乖離があるようです(iphoneほかスマホの中に日本の技術が使用されているにもかかわらず、日本はスマートフォンそのものではトップになれない)。
日本の製品は日本だけで完結すればOK
こういった現象については国民性や企業体質、言語の壁などさまざまな理由があるとは思うものの、一番大きな理由は「そこまでしなくても食っていける」からなんじゃないかと考えています。
日本は人口が多く、日本国内だけで商売をするだけでも十分に利益が上がるわけですね。
たとえばYoutubeにしても同じで、理論的に考えれば世界には英語を主言語とする人の数が(日本語よりも)多く、よって英語で配信したほうがよさそうなものですが、実際は「日本にローカライズした」動画を日本人向けに配信したほうが圧倒的に再生回数を稼げるという事実もあり、よって「海外に目を向ける必要はない」と考える個人、そして企業も多いのだと思われます。
これについてはある意味では「正解」であり、わざわざ競争が厳しくハードルも高い「世界」に出てゆくコスト、そして日本市場だけにとどまったときのコストを比較すれば、規模にもよるものの、「国内市場に集中したほうがいい」場合も多いのかもしれません(トヨタは最近、アメリカから”制裁金”を課されたが、国内にとどまればそういったリスクもない)。
加えて、日本の市場は極めて特殊なために海外の企業が入ってくることは難しく、競争自体も「世界に打って出ることを考えると」国内に集中したほうが楽だとも言えそう。
反面、アップルとの提携が報道されたヒュンダイ、今回のサムスンのような韓国企業の場合、企業を成長させようとすれば「韓国市場は(人口の問題で)限界があり、最初から世界を視野に入れなければならない」のだとも考えられ、そもそもの出発点が異なるのだろう、とも考えています。
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