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2024年、もっともリコールが少なかったのは「マクラーレン」。一方、メジャーメーカーではマツダがもっともリコールが少なく、トヨタはマツダの「倍」のリコールを届け出ていた

マクラーレン

| リコールそのものは「悪」ではない |

近年、自動車の複雑化とともにリコールの内容も多岐にわたる

さて、近年の自動車は「快適装備の拡大」「電子デバイスの大量投入」によって、自動車としての基本的な機能以外でのトラブルが増加していると言われますが、それに伴い増えているのが「リコール」です。

実際のところ、北米では2024年には2100万台もの車両がリコールされ、その内容は、エンジン火災の恐れなど深刻なものから、シートヒーターの不具合といった些細なものまでさまざまではあるものの、上述の「車両の複雑化」に関連し、多くの企業が工場から車両を出荷する前に問題を解決しようと努力しているにもかかわらず、リコールは今や自動車業界の常識となっているわけですね。

トヨタ
「リコール」は悪なのか?リコールは「今後起こりうる問題を防ぐため」の自動車メーカーによる先取り的行為であり、もっともリコールが少ないのはトヨタである

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もっともリコールが少ない自動車メーカーは?

そこで今回、北米にて(NHTSA=日本での国交省のような機関)に届け出られた件数をもとに「比較的リコールの少なかった自動車メーカー」をピックアップしてみたいと思いますが(2024年、もっともリコールが多かったのはフォードである)、意外なことにもっともリコールが少なかったのはマクラーレン(わずか2件で、ボンネットの不意の開閉やリアフードの脱落)。

マクラーレンはかつて「トラブルの多い自動車メーカー」として知られていたものの、現CEOはポルシェやフェラーリにて数多くの車両を開発してきたエンジニア出身の人物であり、就任後には「車両の信頼性向上に注力する」と述べていたため、その効果が発揮された、ということなのかもしれません。

マクラーレン
マクラーレンが北米にて「GT」1,012台をリコール。「走行中にフロントフードが開いてしまう可能性」があり、2023年5月以前に製造されたモデルが該当

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そして次にリコールが少ないのはポールスター(4件、制御ソフト問題や自動ブレーキの誤作動)で、こちらも(中国製ということを考慮するに)意外と少ないといった印象。

次いでマセラティ(4件)もリコールが少なく、信頼性が大きく向上したのだとも考えられます。

リコールの「内容」は各社によって異なる

そのほか、ランボルギーニは5件、新興EVメーカーのルシードとフィスカー、リビアンはそれぞれ6件(EVは内燃機関搭載車に比較しパワートレーンが簡素なためリコールが少ないのかも)、そしてメジャーメーカーでリコールがもっとも少なかったのはマツダの「8件」。

さらにマツダの場合、「ソフトウエアの不具合」など些細なものが多く、その重篤度が低いことも特筆に値し、近年大きく品質を向上させたと認識していいのかも。

マツダに「ちょっとめずらしい」リコール届け出。「本来、バックするときに出る警告音が前進時にも出てしまう」。17,600台のCX-90が対象に
マツダに「ちょっとめずらしい」リコール届け出。「本来、バックするときに出る警告音が前進時にも出てしまう」。17,600台のCX-90が対象に

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一方、かつては「高い品質」で知られたポルシェは13件のリコールを届け出ており、その内容を見てみると、EV(タイカン)に関するものが散見され、ポルシェがEVの品質担保に苦戦している様子もわかります。

ちなみにトヨタは16件のリコールを出していて、しかも「燃料ポンプ」「アダプティブクルーズ」「エンジン」「トランスミッション」など、クルマの基本性能にかかわる問題が見られ、「トヨタの安全神話」が崩れつつあるということもわかります(一方、ハイブリッドモデルに関するパワートレーンのリコールはなく、電動化技術、そしてこれと内燃機関との組み合わせは非常に優秀だと言える)。

レクサス
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こうやって見ると、「件数」以上に重要なのがその「内容」であり、現代の自動車は制御技術の高度化に伴いリコールが避けられない状況にはありますが、新しいチャレンジには必ずリコールがつきまとい、そしてそれに「どう対処するのか」が”その自動車メーカーの真価が問われる”部分なのでしょうね。

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参照:NHTSA

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