| DBXは期せずして会社の命運を左右するクルマに |
アストンマーティンは106年の歴史上で「初」となるSUV”DBX”を発表したばかりですが、このDBXについては(アストンマーティンの)低迷する販売を急回復させるという重要な使命が与えられている模様。
現在アストンマーティンは成長から販売減少へと転じてしまい、DB11やヴァンテージ、DBSスーパーレッジェーラといった現行スポーツカーについては「販売が予想以下」にとどまっています。
なぜアストンマーティンの販売は振るわない?
なお、アストンマーティンの販売が「予想以下で推移している」理由については全く謎。
ランボルギーニ、フェラーリ、マクラーレンといったブランドは軒並み成長を記録しているので「スーパースポーツ市場」そのものは拡大し続けているということになりますが、その中でアストンマーティンのみが「一人負け」。
成長しているブランドとの相違といえば「ミドシップスポーツを持たない」「そこまでエクストリームなパフォーマンスを持たない」ということですが、これは(同様にスポーツカーセグメントにおいて好調ではない)メルセデスAMGやBMW Mにも共通するポイントでもあり、やはりスーパーカーは「いかにもスーパーカーっぽいデザインで、0−100km/h加速が速くないと」ダメなのかもしれません。
ちなみにアストンマーティンはやはり「ブランド初」となるミドシップスポーツ”ヴァルキリー”を投入し、その後に「ヴァルハラ」、さらにはヴァンキッシュもミドシップ化することが決定しており、これらについても大きな期待がかかるところですね。
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DBXの登場はタイミングが良かった
そしてDBXについてですが、これは「アストンマーティンのスポーツカーセグメントの販売が落ちてきたから」投入されたわけではなく、アストンマーティン(とくにDB11)が好調であったころに企画されたクルマ。
その当時はまさか現状のようなスローダウンを予期し得なかったと思うものの、現実的にはスポーツカーの販売が落ちてきたときにちょうど市場投入されることになり、いわばアストンマーティンにとっての「救世主」。
よって「当初期待されていた以上の」役割、つまり販売台数を求められるということになりそうですが、アストンマーティンはDBXについて4,000〜5,000台の販売を見込んでいるといい、これは「相当な」台数です。
どれくらいの台数かというと「現在のアストンマーティン全体の販売台数と同じ」で、「大ヒットしたランボルギーニ・ウルスとも同じくらい」の数字といえばその大きさがわかりやすいかもしれません。
なお、アンディ・パーマーCEOは、DBXの主要マーケットについて「中国と北米」だと語っており、デザイン自体も両方の国で受けるように考えられている模様。※DBXのワールドプレミアは北京にて行われている
さらには優雅さ強調することで「女性客」にアピールすることも考えていて、こういった手法によって「DBXは新しい顧客をアストンマーティンに呼び込むだろう」とも。
加えて「アストンマーティンオーナーの70%はSUVを所有している」とも語り、その多くはポルシェ・カイエンやレンジローバーだそう。
よってこれらが直接のターゲットということになりそうですが、どこまで競争力を発揮できるかについては興味の尽きないところですね。
参考までに、2018年の各スポーツカーブランドの販売は下記の通り(カッコ内は前年比)。
2019年についてはフェラーリ、マクラーレンともにこれまで同様のペースで成長し(マクラーレンはもうちょっと伸びるかも)、ランボルギーニはウルスのヒットにて8,200台くらいへとジャンプアップし、アストンマーティンはこれまでの成長の反動で大きく落ち込むと見られています。
フェラーリ 8,398台(+4.8%) マクラーレン 3,340台(+10%) ランボルギーニ 3,815台(+10%) アストンマーティン 5,117台(+58%) |
ランボルギーニは2019年に前年比+40%の8,200台をすでに販売。当面は年間8,500台を維持し、その後に「新型車追加」で10,000台の販売を目指す