| SUVがあるからこそ、スポーツカーに注力できる環境が整うのだとも考えられる |
さて、アストンマーティンはブランド初となるSUV「DBX」を発売したところですが、どうやらDBXは「売れに売れて」いる模様。
アストンマーティンのアメリカ法人の臨時社長、エド・モラン氏によると「DBXの事前申し込みを行った人のうち、95%が実際に購入している」とのこと。
通常はどのくらいの割合の人が実際に購入するものなのかは不明ではあるものの、DBXの場合は95%にものぼり、そして「95%は素晴らしい数字」だと語っています。
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DBXのおかげでアストンマーティンはコロナ前の水準にまで回復
他の自動車メーカー同様、アストンマーティンにとって最も大きな市場は北米であり、コロナウイルスのパンデミック前にはおよそ年間2,000台を販売していたと報じられていますが、コロナ禍にてその販売は大きく減少することに。
これによってアストンマーティンはローレンス・ストロール氏へと「身売り」することとなってしまい、CEOもアンディ・パーマー氏から、メルセデスAMGよりやってきたトビアス・メアース氏へと交代することとなったわけですが、仮にDBXの発売がもう1年早ければ、事情はまったく変わっていたのかもしれません。
なお、前出のエド・モラン氏が語ったところだと「現在、DBXの販売は月間90台のペースで推移しており、非常に好調」。
購入者はテキサスやフロリダ、カリフォルニアといった南部が多く、しかし4WDということからコロラドやシカゴ、カナダといった北部にまで広くまたがり、これもまた販売台数を押し上げている理由のひとつなのでしょうね。
DBXは「他社の顧客を獲得」
さらにDBXの特筆すべき点は「ほかのライバルから顧客を奪っている」ということで、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルスからの乗り換えも見られるのだそう。
ただしこういったハイブランドのみではなく、プレミアムブランドからの乗り換えも多いとされ、つまりはポルシェ、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、そしてマセラティから流入する人々も相当数存在するものと思われます。
そして、こういった「流入」した顧客をうまく扱うことで、アストンマーティンは「DBXのほかにも」同社のクルマを購入してもらうことができるようになり、その意味において、DBXは「販売台数以上に大きな意味を持つ」のかもしれません。
ちなみに日本の場合、アストンマーティンディーラーにて聞いたところだと、ポルシェ・カイエン、マセラティ・レヴァンテからの乗り換えがもっとも多い、とのこと。
加えて試乗予約リストも「週末だとつねに満席」だそうです。
SUVは「救世主」
文字通りアストンマーティンにとってDBXは救世主となりそうな予感ですが、すでにポルシェでは同様の現象が発生済み。
ポルシェが初のSUV「カイエン」を発売する際には相当な批判があったものの、いざ発売してみるとポルシェに対して巨額の利益を与える存在となり、そのお金でポルシェはさらに良いスポーツカーを作ることが可能に。
加えて、当時はもちろん考えもしなかったと思われるものの、現在のCAFE規制においても「カイエンはじめ4ドアモデルのハイブリッドが存在するため」、ブランドとしてのCO2排出量を引き下げることが可能となり、911や718ケイマン/ボクスターといったスポーツカーレンジに対し、「焦ってハイブリッドを積む」必要がないのだとも考えられます。※現時点ではマカンにハイブリッドは設定されず、CAFE規制についてはフォルクスワーゲングループ内での合算となる
よって、現在では誰も「ポルシェがSUVを作る」ことに対して異論を唱える人はいないと認識しており、それは「ウルス」発売によって会社が安定したランボルギーニも同様なのだと思われます。
そしてポルシェとランボルギーニともに、販売の過半数が今では「SUV」という構成を持っていますが、アストンマーティンにおいても同様の現象が発生し、SUV発売の結果が「数字として」現れることになりそうですね。
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参照:Automotive News