| アストンマーティンはここ数年、様々な事情にて物事がうまく運ばなかったが |
経営者が変わるに際し、ようやく明確なビジョンを策定し方向性が見えてきたようだ
さて、現在経営再建中のアストンマーティン。
今回アストンマーティン執行会長のローレンス・ストロール氏が同社の決算説明会にて「アストンマーティンは今夏に次世代車両を公開する」と発表することに。
この次世代車両については、アストンマーティンの新しいフロントエンジンモデル、以前から噂になっている電気自動車、そしてヴァルハラの下に位置するミッドエンジン・スポーツカーのプロトタイプが含まれる予定だとされています。
ローレンス・ストロール氏いわく「この夏、私たちのガソリンエンジンそしてハイブリッドのストーリー、さらには電動化計画を象徴するクルマたちが登場します。それは、私が過去3年間かけて築き上げてきた旅の、本当に明確なビジョンになるでしょう」。
アストンマーティンの次世代車両はどんなクルマに?
なお、これら次世代車両についてはいくつかの情報がもたらされており、まずガソリン車についてはヴァンテージ、DBS、DB11の”オーバーホール”から始まることになりますが、「これらのスポーツカーはまったく新しいクルマのようにドラスティックなオーバーホールを受けることになる」とコメントしており、そのうちの一台が今年中に発表されることとなるもよう。
ただ、「まったく新しいクルマのように」という表現を裏返すと「全く新しくなるわけではない」と受け取ることもでき、つまりはフリモデルチェンジではなく大規模フェイスリフト(マイナーチェンジ)が行われるということなのかもしれません。
さらに同氏の言葉を借りるならば、エンジン、ギアボックス、スタイリング、サスペンション、インフォテインメントシステムなどあらゆる部分をアップグレードし、できる限りキャリーオーバーを行わず、かつ老朽化したメルセデス・ベンツの技術に頼ることもなく、「これらのクルマが本来あるべき姿に」なるだろう、とのこと。
現在アストンマーティンはメルセデスAMGからの投資を受けており、エンジンやトランスミッション、そして車両制御システムなど多くの技術をメルセデスAMGに頼っているものの、ここから脱却するというのはちょっと興味を惹く話でもあり、どこか有力なパートナーを見つけたのかもしれません。
さらには(中途半端な結果に終わったラピードEを除いて)アストンマーティン初のピュアエレクトリックカーが登場することになり、現在のところ「スポーツカーベース」「DBXベース」の二台の試作が進められているのだそう。
このうちスポーツカーのデビューは2025年だと語られているので、まずはDBXベースのピュアエレクトリックカーが登場することになるのだと思われますが、スポーツカーベースはイギリスのゲイドン(アストンマーティンの本社工場)にて、DBXベースのほうはウェールズのセント・アサン(新しく建設したDBX用の工場)で製造される予定だとされています。
アストンマーティンは新しい雇用も創出
ひとつ重要なのは、アストンマーティンはこの次世代車の開発や製造において新規雇用をおよそ100人創出するということで、この多くはエンジニアもしくは生産にかかわる人員だとしていますが、この「新しい雇用」については、政府をはじめとしてあちこちから融資を受けるには必要不可欠な要素でもあり、ここはアストンマーティンとして強調しておきたいところなのかもしれません。
そして最後に、ローレンス・ストロール氏はアストンマーティンの現状についても触れており、2022年第4四半期と今年全体について、いくつかのポジティブな財務ニュースを報告しています。
大きなところだと、2021年には3,010万ドルの損失を出したものの、2022年では売上が前年比で46%増加し、税引き前利益が1,940万ドルになったということ(つまり黒字転換を成し遂げた)。
販売台数については2021年に2,352台であったところ、今後1年間で7,000台まで増加し、近い将来10,000台の達成を目標としているとも言及されています。
なお、「2,352台から7,000台」というのはかなり無謀な数字であるように見えますが、現在DBXの販売が非常に好調だとされているので、案外「達成可能な」数値なのかもしれませんね。
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参照:CARBUZZ