| パイクスピーク用にコンチネンタルGT3のエアロパッケージを強化、セカンダリー冷却システムも |
さらにはタフなレースを制するためにドライブシャフトも強化済み
さて、ベントレーはかねてよりアメリカの伝統的なレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」にて3冠を目指すと発表し、その準備を進めてきましたが、今回はタイムアタック1クラスに参戦するレーシングカーの概要を公開しています。
そしてこのベントレー・コンチネンタルGTをドライブするのはパイクスピークで3度のチャンピオンに輝いたリーズ・ミレン選手。
同選手はパイクスピークにおいては2018年にベンテイガW12、2019年にコンチネンタルGTをドライブした経験があり、今回の挑戦には大きな期待がかかります。
ベントレー・コンチネンタルGT3「タイムアタック1」はこんなクルマ
公開されたコンチネンタルGT3「タイムアタック1」についてですが、見ての通りアグレッシブなエアロパッケージを持つことが外観上の特徴。
「GT3」とは名がつくものの、実際にはコンチネンタルGT3とは別モノと考えたほうが良さそうで、ボディワークはすべてカーボンファイバー、フロントには巨大なスカート、そして2プレーンスプリッター。
リアウイング、リアディフューザーも一新され、この巨大なリアウイングは「ベントレーの競技用マシン史上最大」。
これらエアロパッケージによってダウンフォースが最大で30%向上していると紹介されていますが、いったい何キロのダウンフォースを発生するのかは気になるところですね。
搭載されるエンジンは4リッターV8ツインターボエンジンを備え、出力は最低でも750馬力、燃料は98RON(バイオフューエル含有のリニューアブル・レーシング・フューエル)。
通常のコンチネンタルGT3に積まれるエンジンからの改良点は「ピストンとコンロッド」だとアナウンスされています。
エキゾーストシステムには、F1にも採用されるインコネルを使用したアクラポビッチ製が採用され、フロントフェンダー後方からの排気となるようですね。
左右のリアクォーターウインドウには何やら見慣れない構造物がありますが、これはセカンダリーウォーターポンプを含む、追加のリアマウント式冷却システムで、このダクトからバックアップ用ラジエターへと冷却用のエアが送られる、とのこと。
トランスミッションは通常のベントレーコンチネンタルGT3と変わらず、しかしドライブシャフトはハードなパイクスピークにあわせ、直径が太くされるなど耐久性を向上させている、とアナウンスされています。
ベントレーはこれまでも異なる部門で2度の記録を達成
なお、ベントレーは過去にもパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに挑戦し、2018年にはベンテイガにて「世界最速SUV」タイムを記録済み。
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2019年にはコンチネンタルGTにて「市販車クラス最速」を記録。
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そして今回はレーシングカーを持ち込んで「タイムアタック1」に挑むということになりますが、フォルクスワーゲングループは保有するブランドによって活躍する場を分けてるようで、ポルシェやアウディだと「ル・マン24時間レース」、ベントレーだと「パイクスピーク」、ランボルギーニそしてポルシェの市販車は「ニュルブルクリンク」といった具合。
つまり保有するブランドにて世界中の著名レースやサーキットを支配してゆく意向を強めていると考えていいのかもしれません。
パイクスピークはこんなレース
パイクスピークはアメリカのコロラド州はロッキー山脈の中にある山の一つを指し、この頂上めがけてぶっ飛ばすというアメリカらしいレースが「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」。
スタート地点は標高2,862メートル、頂上は4,301メートルなので、その標高差1,439メートルとなっており、気温(燃調に関係する)や路面状態の変化が大きいために経験が要求されるレースとしても知られます。
初開催は1916年で、じつに100年以上の歴史を誇る競技であり、世界中から猛者が集まることでも有名ですね。
日本からだと「モンスター田嶋」の参加が有名ですが、なんと前人未到の9回も優勝を記録(次はロッド・ミレンの5回)しており、その他の優勝者だとセバスチャン・ローブ、アリ・バタネン、ワルター・ロール、ロマン・デュマの名も。
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ちなみにアリ・バタネンが1988年にドライブしたマシンはこれ。
ほかのマシンも同様にラッセル車みたいなエアロパーツを装備している、という印象がありますが、そのコースの特性上、今回のベントレー・コンチネンタルGT3タイムアタック1のように、他モータースポーツに比較して、「異様な」風体のエアロパッケージを持つということもわかります。
参照:bentley