
Image:Morgan Motor Company
| 限定台数の「9台」はもちろん(価格に関係なく)即完売 |
あまりにエレガントな新型モーガンが登場
「もし、あなたが手に入れた世界限定50台のハイエンド・オープンカーを、天候を気にせず長距離ドライブできる『究極のクーペ』に仕立て直したいと考えたら?」
そんな一人の大富豪の贅沢なひらめきから自動車史に刻まれる新たな傑作が誕生することとなり、英国Mマルバーン山脈の麓で伝統的なクルマ作りを続ける「モーガン・モーター・カンパニー」が2026年6月、イタリアのデザインハウス「ピニンファリーナ」と共同開発した最新作「ミッドサマー・クーペ(Midsummer Coupé)」を世界初公開することに(ネーミングが素晴らしい)。
2024年に登場し大反響を呼んだルーフレスの限定車「ミッドサマー・バルケッタ」ハードトップ版という位置づけではありますが、今回のミッドサマークーペは単に屋根を付与しただけではなく、シャシー構造から見直された完全な「コーチビルド(特注ボディ製造)」となるのだそう。

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モーガンとピニンファリーナとのコラボモデル「ミッドサマー」発表。限定50台なるもすでに完売、これなら往年のモーガンのファンも文句はないだろう
Image:Pininfarina | このミッドサマーのデザインはモーガンの未来を示唆し、ひとつのデザイン的方向性を示すことに | そのインテリアはまるで高級ヨットのような優雅さを誇っている さて、 ...
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この記事の要約
- 奇跡のコラボ第2弾: 英国の老舗モーガンとイタリアの名門ピニンファリーナが再びタッグを組み、美しき固定ルーフ仕様の「ミッドサマー・クーペ(Midsummer Coupé)」を発表。
- 限定9台、発表と同時に幻に: 顧客の「これのクーペ版が欲しい」という一言から始まったプロジェクト。生産数はわずか9台で、一般発表を待たずにすべての枠がコレクターによって埋まった。
- 伝統と現代技術の融合: 職人が250時間以上かけて手作業で叩き出すアルミボディの床下には、モーガン伝統の「アッシュ材(木製)サブフレーム」と、剛性を高める最新の航空機世代「CXジェネレーション・アルミプラットフォーム」が隠されている。
- 心臓部はBMW製「B58」直6: トヨタ・GRスープラやBMW M340iにも搭載される、信頼性と圧倒的な官能性を兼ね備えた3.0L直列6気筒ターボエンジン(最高出力402馬力)を搭載。車重約1,000kgの超軽量ボディを猛烈に加速させる。
- 全天候型のグランドツアラーへ: 先行したオープンモデル(バルケッタ)から一転、中央に背骨(スピン)を通したドラマチックな「全面ガラスルーフ」を採用し、快適性と洗練された室内空間を実現。
モーガン・ミッドサマークーペ:詳細
自動車の世界において「ピニンファリーナ」の名はあまりにも特別で、フェラーリの歴代名車を手がけた彼らが、生産車として初めてその最高峰のビスポーク証である「Fuoriserie(フオリセリエ:規格外の特注品)」のバッジを授けたのがモーガンの「ミッドサマー」シリーズです。
今回のクーペ化プロジェクトは、あるモーガンの既存顧客が「バルケッタをベースに、クローズドボディ(クーペ)を作れないか」と打診したことから始まったといい、しかしモーガンとピニンファリーナのチームは「既存の車体にただ屋根をボルト留めするような安易な手法を嫌った」とされ、結果的にゼロからデザインを再構築する壮大なコーチビルド(特注車両製作)として取り組むこととなったのだそう。
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新設計された固定式ルーフによって、車両全体のプロポーションは”より優雅なロングノーズ・ショートデッキ”へと昇華しており、キャビンの大部分を覆うのは広大な「パノラミックガラスルーフ」。
中央を走る美しいアルミ製の背骨(スピン)によって2分割されたこのガラス canopy(天蓋)は、車内に圧倒的な開放感をもたらすだけでなく、視覚的に車体を重く見せないという、そして何よりも量産車では再現しがたい素晴らしい効果を生んでいます。
モーガンは「このルーフの追加により、クラス最高峰の静粛性、完璧な耐候性、そして高次元のGT(グランドツーリング)性能がもたらされた。天候が急変するような状況でも、躊躇なくロングドライブへ連れ出すことができる」と説明しており、まさに全天候型のモーガンが誕生したというわけですね。
モーガン・ミッドサマー・クーペ(Midsummer Coupé)予想主要諸元
一見すると1930年代のアール・デコ調のクラシックカーではりますが、その中身は最先端のコンポーネントで満たされており、アルミを削り出したAピラーや構造用ガラスを直接シャシーに接着する最新の接着技術を駆使した結果、固定ルーフの追加による重量増を「わずか2.5%」に抑えつつ、ボディ剛性を大幅に向上させることに成功しています。
そしてこの美しいボディパネルの内部には、モーガンの100年以上のアイデンティティである「アッシュウッド(トネリコ材)の木製フレーム」が潜んでおり、ラミネート加工された木製アーチは最新の「CXジェネレーション・接着アルミシャシー」とルーフを繋ぐ重要な構造体として機能しているとされ、その天然の減衰特性によってパネルの共振や不快な振動をシャットアウトする役割を果たしています。

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| 項目 | スペック・仕様詳細 |
| ベースプラットフォーム | CXジェネレーション・高剛性接着アルミシャシー |
| 構造部材 | アッシュ(トネリコ)製木製サブフレーム、積層チーク材(インテリア) |
| エンジン | BMW製 3.0L 直列6気筒 DOHC ツインパワーターボ(B58型) |
| トランスミッション | ZF製 8速オートマチック(パドルシフト付き) |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) |
| 最高出力 | 402 hp(408 ps ※Supersport 400と同仕様の最新ユニット) |
| 車両重量 | 約 1,000 kg(乾燥重量ベース) |
| 0-100km/h加速 | 約 3.6 秒(推定) |
| 最高速度 | 約 290 km/h(180 mph・推定) |
| ホイール | 専用デザイン 19インチ鍛造マルチスポークアルミホイール |
| 生産台数 | 世界限定 9台(※アーティスト・プルーフ[試作車]1台除く) |
| 価格 | 非公表(参考:バルケッタは約20万ポンド[約4000万円]〜、クーペはそれ以上) |
船舶(高級クルーザー)を思わせる至高のインテリア
ドアを開けると、そこはデジタル画面に支配された現代のプレミアムカーとは完全に一線を画す、圧倒的なクラフトマンシップの空間が広がります。
最も象徴的なのは、キャビン全体を優雅に取り囲むように配置された「チーク材」のウッドトリムで、これは高級ヨットからインスピレーションを得たと説明されており、なんと厚さわずか0.6mmの超薄型チークシートを400層以上も手作業で積層・ラミネートして成形されたものなのだそう。
ダッシュボードにはモーガンらしいレトロで美しいオフホワイトのアナログメーターが並び、その背後にはドイツの音響名門「ゼンハイザー(Sennheiser)」と共同開発したハイエンドオーディオシステムが目立たないよう巧妙に隠されています。

Image:Morgan Motor Company
超希少セグメントにおける「モーガン」の独自の立ち位置
現代のハイパースポーツ市場において、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなどは1,000馬力近いパワー、あるいはアグレッシブな空力デバイスでその性能を競っていて、しかしこの「ミッドサマー・クーペ」が競合とするのはそれらの近代ハイパーカーではなく、アストンマーティン「ヴァラー(Valour)」や、ベントレーのビスポーク部門であるマリナーが手がける数億円クラスの「限定コーチビルド車」。
そしてそれら競合に対するモーガンの最大のアドバンテージは、「圧倒的な軽さ(約1トン)」と「日常での扱いやすさ」、さらにはシンプルでタイムレスな構造およびデザインを持っていること。
多くの数億円規模のハイパーカーが、あまりに過激な性能と複雑なシステムゆえに「ガレージの飾り」になりがちなのに対し、ミッドサマー・クーペのパワートレインは中身が完全な現代のBMW(B58型エンジン+ZF製8速AT)で、そのため、ディーラーでのメンテナンスが極めて容易であり、真夏の渋滞から雨のグランドツーリングまで、現代の高級実用車と全く同じようにイグニッションを回して走り出すことができるというわけですね。
A new expression of contemporary coachbuilding.
— Morgan Motor Company (@morganmotor) June 24, 2026
Midsummer Coupé.#Morgan #MidsummerCoupé #Craftsmanship pic.twitter.com/QnFAVlhvBV
「なぜスポーツカーにBMWの直6(B58)が選ばれ続けるのか?
今回のモーガンの最新作だけでなく、トヨタの「GRスープラ」、さらにBMW自身の「Z4」や「M340i」、果ては高級SUVの「レンジローバー」にいたるまで、世界中の自動車メーカーがこぞってBMWの3.0L直6ターボ(B58型)を採用しています。
この理由は、単に「パワーが出るから」だけではなく、直列6気筒というレイアウト自体が、ピストンの上下運動による振動を理論上完全に打ち消し合う「完全バランス」の構造を持つことに加え、BMWのB58型はブロックの剛性が極めて高く、低回転からの過渡特性(アクセルを踏んだ瞬間のレスポンス)がターボとは思えないほどリニアで美しいから。
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そしてモーガンのような1トン前後の軽量車にこのエンジンを積むと、大排気量の自然吸気V8やV12エンジンを積んでいるかのような、どこまでも滑らかで、かつアクセルペダルを踏み込めば一瞬で弾け飛ぶような”古典的スポーツカーの理想的なドライブフィール”を現代の環境規制(ユーロ6/ユーロ7)をクリアしながら実現でき、これこそが現代の富裕層が求める「贅沢」なのかもしれません。
「電動化(ハイブリッドなど)」「ピュアエレクトリック化」によってどれだけでもパワフルなクルマが新興メーカーにも作れてしまうのが昨今ではありますが、新興メーカーでは実現することが難しいのが「ドライバビリティ」。※ほとんどの新興メーカーが作るハイパワーなクルマは直線番長であり、仮にサーキットを速く走れたとしても、それは基本性能の高さよりも車両制御技術によるものである
一方、既存メジャーメーカーはドライバビリティを高めるためのノウハウを持つものの、規制のために様々なデバイスを積まねばならなくなり、結果的にクルマが重くなってしまうのが一つの課題となっています。
要するに、「軽量でシンプル、純粋な」スポーツカーは新興メーカーには「技術的に及ばない」聖域であり、既存メーカーにとっては「(法規制によって)作りたくても作ることができず」、だからこそモーガンのようなクルマが「非常高い価値と魅力」を発揮するのがまた現代。
Its striking exterior has been created through collaboration with Pininfarina, while the cabin combines beautifully resolved materials, intricate details and wraparound teak elements inspired by the original Midsummer barchetta. pic.twitter.com/9G4g9E5GbJ
— Morgan Motor Company (@morganmotor) June 24, 2026
結論
そう考えるならば、モーガンの新型「ミッドサマー・クーペ」は、効率化と電動化、そして巨大なタッチパネルに占有されつつある現代の自動車トレンドに対する、英国とイタリアの職人たちからの「優雅な反逆」とも言える一台なのかもしれません(そしてモーガンにしか作れないクルマでもある)。
一人の顧客の熱意から始まり、わずか9台のためだけにシャシー構造までをも再開発し、ピニンファリーナの Fuoriserie バッジを戴くにふさわしい造形美へと仕立て上げる。これこそが、かつて1930年代のヨーロッパに実在した、本当の意味での「コーチビルディング(特注馬車製造から続く伝統)」の復活に他なりません。
今回公開されたプロトタイプ(アーティスト・プルーフと呼ばれる試作車)は、オランダ・ハーグにある高名な「ロウマン美術館(Louwman Collection)」に展示されることが決定しており、一般人がこの9台の顧客車両を日本の公道で見かけるチャンスは極めて稀ではありますが、「職人の手叩きアルミ」と「木製フレーム」が”一周回って”世界最高のラグジュアリーとして認められているという事実はなかなかに感慨深く、一度実車を見てみたいものだと思います。
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参照:Morgan Motor Company











