
| ブランドの本質と圧倒的プライドとは |
ただし「無傷」ではいられないであろう
近年、急速な進化を遂げる中国の自動車メーカー。
コストパフォーマンスに優れた魅力的なEVやSUVが次々と誕生する一方で、欧州の高級車ブランドに極めて類似したデザインを持つモデルが市場に登場し、たびたび議論を呼んでいます。
特に奇瑞汽車(Chery)が展開するブランド「Jaecoo(ジェイクー)」のJ5やJ7といったモデルは、その外観から一部メディアやファンの間で「Temu版レンジローバー(激安通販サイトTemuになぞらえた揶揄)」と称されるほど。※実際には(フロントは)それほど似ていない
しかし、本家であるジャガー・ランドローバー(JLR)のトップはこの現象を極めて冷静に、そして圧倒的な自信をもって受け止めているというのが今回のニュースであり、ここでは模倣デザインに対するレンジローバー側の見解、そして彼らが誇るブランドの本質について考えてみましょう。
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この記事の要約
- 奇瑞汽車(Chery)傘下のJaecoo J5/J7など「Temu版レンジローバー」と揶揄される酷似デザインの中国製SUVが登場し話題を呼んでいる
- レンジローバーのグローバルマネージングディレクターであるマーティン・リンパート氏は、デザインを模倣されることを「最高のお世辞(名誉の負傷)」と捉え、売上への悪影響も否定
- 50年以上の歴史で培われた英国のデザイン・エンジニアリングと「本物」としてのブランドステータスは、安価な模倣品では代替できないと自信をみせる

「Temu版レンジローバー」の出現とJLRの見解
「Temu版レンジローバー」という異名がついたJaecooのJ5やJ7ですが、車格や価格帯の面では(もちろん)実際のレンジローバーと直接競合するわけではありません。
しかし、角張ったシルエットやフロントマスク、細部のアプローチには明らかにレンジローバーを意識したデザイン要素が見受けられ、この状況について、レンジローバーのグローバル・マネージングディレクターであるマーティン・リンパート(Martin Limpert)氏はオーストラリアの自動車メディア『Car Sales』の取材に対して以下のようにコメントしています。
「他ブランドが私たちのデザインをコピーすることは、ラグジュアリーの世界において私たちのデザインがインスピレーションを与えている証拠です。ある種の名誉の負傷(誉れ)であり、お世辞として受け止めています」
つまるところ、同社は自らのデザインが模倣されることを焦るどころか、自らの市場価値の高さを証明するものだと捉えているというわけですね。

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レンジローバーと模倣モデルを取り巻く要素の比較
レンジローバーが長年にわたりラグジュアリーSUVの頂点に君臨し続けている背景には、単なる見た目の美しさだけでなく、50年・5世代にわたって積み重ねられてきた英国ならではのオリジナルデザインと技術的革新が存在します。
そして顧客がレンジローバーを選ぶ最大の理由は「最高のプロダクト」を求めているからであり、そのためであれば相応の対価を支払うことを惜しまない姿勢が確立されていることも事実であり、今回話題となったモデルとの比較、そしてレンジローバーの持つ強みをまとめてみると以下の通りです。
| 項目 | 本家 レンジローバー(JLR) | 類似デザインの中国車(例:Jaecoo J5/J7等) |
| ブランドの歴史 | 50年以上(5世代にわたるフラッグシップの系譜) | 新興ブランド(近年急速に拡大) |
| ターゲット層 | 世界のリーダー層・超裕福層(高いブランド忠誠心) | コストパフォーマンス重視の若年層・エントリー層 |
| デザインの立ち位置 | オリジネーター(インスピレーションの源泉) | フォロワー(トレンドや既存デザインの踏襲) |
| 主な強み | 圧倒的な伝統、高い質感、洗練された走破性 | 手頃な価格設定、最新のデジタル装備 |
| 今後の戦略 | さらなる差別化(新ジャンルGTモデルの投入など) | 低価格を武器としたグローバル展開 |

競合比較・市場でのポジショニング
自動車市場の下位カテゴリーでは価格の安さや装備の豊富さを武器にする中国メーカー製SUVがシェアを急速に伸ばしていて、しかし高級車(プレミアム・ラグジュアリー)セグメントにおいては事情が大きく異なるのもまた事実。
この領域に属する顧客は、単に「足としてのクルマ」を買うのではなく、ブランドが持つ歴史、ストーリー、そしてステータスを買っているのであり、新興メーカーがどれほど魅力的な外観や機能を低価格で提示したとしても、半世紀以上かけて築き上げられた信頼や「世界のリーダーたちに選ばれてきた」というブランドの威光を短期間でコピーすることはまず不可能で、そのため、レンジローバーの売上には現時点で何の影響も出ていない、というのが同社の見解です。
ただ、今後は「どうなるか」わからず、というのもポルシェが中国の自動車メーカーに「大量にコピーされることで」、そして価格が半分あるいは1/3以下の模倣品に大きく販売を食われてしまっているから。

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しかしポルシェの場合はレンジローバーよりも販売ボリュームが大きく、そして価格帯も「より一般的」であったため、その客層が流動的であったということも考えられ、しかし「ニッチ」に近いレンジローバーではまた事情が異なるのかもしれません。
それでも今までレンジローバーを購入していた人々のすべてが「レンジローバーの性能や歴史を理解して」購入していたわけではないはずで、そのため「流動的な」人々はやはり「コピー製品」へと流れてしまうのでは、とも考えています。※参考までに、「お金を儲けたらどのクルマを買うか」という話を中国人としていると、「レンジローバー」と答える人が少なくはなく、憧れの対象でもあるだけに安易にコピーへと流れる人もいそうであはある
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補足情報・新しい気付き
ただ、レンジローバー側は決して現状に甘んじているわけではないといい、グローバルマーケティング責任者のライアン・ミラー(Ryan Miller)氏によると、同社は今後さらに他社との差別化を加速させていく方針を採用するといい、これは直近で「モータースポーツ推し」へと転じてそのルーツをアピールするようになったポルシェと同等の流れ。
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その象徴的な動きとして、レンジローバーではブランド5番目のモデルとなる車高を抑えた全く新しいSUV的グランドツアラー(GT)モデルの導入が控えていて、常に自らのデザインと言語を進化させ続けることにより、追従する他社を寄せ付けない「オリジナルの領域」を保ち続ける戦略を取っています。

結論
中国メーカーから登場した類似デザインのSUVに対し、レンジローバーは「真似されることこそが最高峰の証」という揺るぎないプライドと余裕を見せたというのが今回の一件。
手頃な価格で雰囲気を楽しめるクルマが増える一方、50年の歴史と伝統に裏打ちされた本物のラグジュアリー価値は安易な模倣で揺らぐものではなく、進化を止めることなく次なるステージへと向かうレンジローバーの挑戦には注目したいと思います。
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参照:Car Sales











