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ポルシェにとっての「E」は「エボリューションのE」。電動化による革命が切り開くE-パフォーマンスの未来:タイカンとマカンに見る最新電動技術とは

ポルシェにとっての「E」は「エボリューションのE」。電動化による革命が切り開くE-パフォーマンスの未来:タイカンとマカンに見る最新電動技術とは

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| ポルシェの電動化思想がもたらす未来 |

ポルシェはひたすら電動化による未来を追求する

ポルシェは自動車メーカーとしてはかなり早い段階から「電動化」を追求し、そこに未来をかけてきたものの、今ひとつ思うように物事が進んでいないのが現状かと思われます。

それでもポルシェは(やや方向性をシフトさせつつも)電動化に対するスタンスを崩さず、その可能性を追求すべく様々なチャレンジを行っているというのが現状で、ポルシェが「ポルシェらしさ」をEVにおいても実現するために達成した技術が「公式」として紹介されることに。

ポルシェ創業者の挑戦は電動化とともに始まる

ポルシェ創業者、フェルディナント・ポルシェはエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた初期から「効率と走り」を追求し続けていますが、「はじめて設計したクルマ」がインホイールモーターを備えるEVであったのは「よく知られているようで知られていない事実」。

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そして当時のシンプルな直流モーターから始まった歴史は、今日では高度に進化した永久磁石同期モーター(PSM)へと発展することとなっており、高コストながらも高い持続出力と冷却性能を備えるこのモーターを採用することで、ポルシェはEVにおいても「走りのポルシェ」を実現しているわけですね。

ヘアピンステーターによる高効率化

タイカンのフロントアクスルに搭載されるエレクトリックモーターに採用されるヘアピン巻線は、従来の丸線では50%だった銅の充填率を70%まで高め、限られたスペースでより大きな出力とトルクを実現しているのですが、これによってコンパクトながらも圧倒的なパワーを引き出します。※マカンEVでは”Iピン”なる技術が採用され、効率と冷却性をさらに向上させている

800Vシステムとパルスインバーター

さらにポルシェはレーシングカー「919ハイブリッド」で培った800V技術を市販車に導入しており、細いケーブルを用いて軽量化を図るとともに急速充電性能も向上させ、専用に設計されたパルスインバーターが直流を交流に変換し、最大16,000rpmまでにおいてモーターの回転数を制御する、と説明されています。

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2速トランスミッションの採用

そしておそらく、ポルシェのEVにおける最大のイノベーションが「2速トランスミッション」。

通常、EVでは(エレクトリックモーターはどの回転数でも最大トルクを発生させることができるため、ガソリンエンジンではトルクの有効活用の際に必要となる)トランスミッションを搭載していませんが、タイカンはEVとして世界初となる後輪2速トランスミッションを内蔵しています。

これは1速では強烈な加速、2速では効率的な高速巡航を両立することを目的に取り入れられたもので、まさに「電動でもポルシェらしい走り」を実現することに貢献しているわけですね。※ただし、この2段トランスミッションには賛否あり、実際にシャオミSU7ウルトラはトランスミッションを採用していない

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バッテリーと充電性能

新型タイカンは105kWhバッテリーを搭載し、最適条件下では320kWの急速充電に対応。

わずか10分で最大315kmの航続を追加することが可能となり、WLTP航続距離は最大680kmに達します(初代タイカン比で175kmの延)。

マカンEVも270kW充電に対応し、21分で10〜80%充電が可能。最大240kWの回生ブレーキを備え、街乗りの大半は回生のみで減速可能です(つまり、従来の摩擦ブレーキはほとんど使用されない)。

タイカン・ターボGT:さらなる進化

これらの技術を取り込むことで最新のタイカン・ターボGTは最大1,108PS(オーバーブースト時)を発揮し「ポルシェの市販車史上、最大の出力」を達成していますが、さらにはシリコンカーバイド素子を採用した新型インバーターでスイッチング効率を高め、従来モデル比で163PSものブーストを可能にしており、今後もまだまだポルシェの挑戦は続き、さらなる高みに到達することとなりそうです。

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ポルシェの電動化戦略

上述のようなテクノロジーを用いることにより、SUVのマカンからサーキット仕様のタイカン・ターボGTまで、ポルシェは「E-パフォーマンス」という新たなDNAを形成しつつあり、そしてモデル名に「ターボ」や「GTS」を残すのも「内燃機関と同じく性能ランクを示すため」。

つまり、「ターボ」は単に「物理的なターボチャージャー、それによって加給されたエンジン」を指すのではなく、その結果得られた「パフォーマンス」を指しており、これはパフォーマンスこそがポルシェの核であることと、そしてそれは電動化時代でも変わらないということを示唆しています。

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まとめ

ポルシェはEVにおいても、単なる航続距離や充電時間ではなく、ドライビングダイナミクスと効率の両立を重視しています。

ヘアピンステーター、2速ギアボックス、800Vインフラ、シリコンカーバイドインバーターといった革新技術は、まさに「走りのポルシェ」を次世代に継承するもので、パフォーマンスの核そのものであるといって良さそうですね。

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