| ボクとしてはマクラーレンがSUVを発売することは大歓迎 |
むしろSUVを否定しブランドが衰退することのほうを恐れている
さて、つい最近CEOが交代したマクラーレン。
これまでのCEOであったマイク・フルーイット氏は「絶対にSUVはない」と断言していたのですが、その後の新CEO、マイケル・ライターズ氏はSUVについて「愛している」「市場として魅力的」だとコメント。
ただし同時にマクラーレンがSUVを発売するかどうかについては「検討中」であり判断がなされていないことにも言及しています。
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マクラーレンの新CEOはポルシェ・カイエン、フェラーリ・プロサングエの開発を主導
なお、このマイケル・ライターズCEOはかつてポルシェとフェラーリに在籍しており、ポルシェ在籍時にはカイエンを、フェラーリではプロサングエの開発を主導した人物。
カイエンは御存知の通りポルシェの業績を急回復させ、プロサングエもフェラーリの利益を大きく押し上げることができるものと考えられ、ある意味で同氏の功績は自動車メーカーの運命すら左右したと言ってもいいのかもしれません。
よってマクラーレンが同氏を新CEOに抜擢したのはそういった実績を買い、マクラーレンにおいても「ポルシェで行ったのと同じこと」を期待し、SUV投入によって販売台数を倍以上に伸ばそうと考えたにほかならない、とも捉えています。
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実際のところ同氏は「実のところ、私はフェラーリでSUVを開発し、ポルシェでもSUVを開発したので、SUVが大好きなのです。しかし、私の個人的嗜好のために、マクラーレンがそれを行うことはありません。しかし、SUVは本当に重要な市場だとも考えていて、マクラーレンとして考えなければならないのは、どうすれば我々のDNAに沿った製品を見つけることができるのか、ということです。普通のSUVをやるべきではないのです」。
こういった考え方をあらわしているのか、マクラーレンはマイケル・ライターズ氏を雇い入れる前から「エクストリームE」への参入を発表し、これまで行わなかったオフロード分野におけるモータースポーツ参戦を決定していますが、マクラーレンはしばらく前からSUVを発売せねばならないと考えており、そのための種まきがこのエクストリームE参戦だった可能性もありそうですね。
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ただ、前CEOはSUVについて頑なに反対していて、それが前CEOの突然の辞任となったのかもしれませんが、そのあたりが明らかにされることはないのかも。
いずれにせよ、エクストリームE参戦、マイケル・ライターズ氏の起用を考慮するに、間違いなくマクラーレンはSUV発売へと動いていると理解して良さそうです(もしこれからマクラーレンがSUVを発売し、それによって売上が倍増すれば、これまでの方針が間違っていたと明確に示されることになる)。
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マクラーレンはこれまでの路線とどう折り合いをつけるのか?
ただ、そこで検討せねばならないのが「マクラーレンがSUVを発売するとして、これまでのSUV否定路線とどう折り合いをつけるのか」。
前CEO、マイク・フルーイット氏はSUVまマクラーレンのDNAにそぐわないと断言し、スポーツカーメーカーにもかかわらずSUVを発売する自動車メーカーに対し「カネのために魂を売っている」と他社の行動を否定するまでに至っています。
加えて、世界中のマクラーレン各法人のトップにまでその考え方が浸透し、ことあるごとにマクラーレン上層部や社員がそろって「SUVをやらないのがマクラーレンである」と主張していたわけですね。
もちろん、「トップから社員まで」が同じ考え方を持っているのは素晴らしいことではありますが、その考え方が時代にそぐわなくなり、会社として方針を転換しなくなったときの対応は慎重に行う必要があって、トップダウンで「今日からSUVな」というわけにはゆかず、社内的にも時間をかけ、理解を得ながらSUVの開発と発売の必要性を説いてゆかねばならないのかも。
ただ、マクラーレンは現在危機的状況にあり、これを脱するにはSUV発売が最も有効であることは誰の目にも明らかで、こういった状況はマクラーレンの出資者や社員を説得するのに役立つのかもしれません。
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上述の通りSUVはビジネス的に大きな魅力と意味があり、ポルシェではカイエンとマカンの販売台数が他のすべてのポルシェのモデルを合わせた販売台数をはるかに上回り、その台数以上に「ポルシェに新規客を連れてきた(ほかのモデルも購入する可能性がある)」ことに意味があります。
ランボルギーニにおいても販売台数の60%以上をウルスが占め、それはアストンマーティンとDBXの関係も同じであり、ロータスもそれを目指すと公言して「エレトレ」を発表したところ。
ぼくとしては新しいものは大歓迎であり、むしろ「回りがどんどん変わるのに、同じことをしていればそのぶん遅れを取ることになる」とも考えているので、いまどきSUVどうのというのはナンセンスでもあって、もっと大きな視点でものごとを捉えるべきだとも考えています。
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参照:Autocar