| 今後のマクラーレンの車種展開についてはまだ明確に提示されていない |
おそらくはセダンやSUVなどラインアップを拡大し、V6とV8とを使い分ける?
さて、マクラーレンと(エンジンサプライヤーの)リカルド社とが、将来のスーパーカーに搭載する新しいハイブリッドV8エンジンのための長期的なパートナーシップ契約を締結した、と正式に発表。
リカルド社は、2011年のMP4-12C以降、マクラーレンのすべてのシリーズ生産車に搭載されているV8エンジンを供給しており、アルトゥーラに搭載されるV6エンジンもリカルド製となっています。
そして今回の契約については、マクラーレンが「パフォーマンスの未来(Future of Performance)」と呼ぶ戦略の一環として、リカルド社が新しいV8エンジンの開発から製造までをサポートすることになるようですね。
マクラーレンとリカルドとの契約は10年間
今回の発表に際し、マクラーレンCEO、マイケル・ライターズ氏は「我々の新しい高性能ハイブリッドV8パワートレインは、マクラーレンの次世代製品ラインアップに不可欠な要素であり、クラス最高のパフォーマンスとスリリングなドライバーエンゲージメントを提供します。今回、2つの英国企業の永続的な関係を基盤として、雇用を促進し、将来の技術にとって極めて重要な国内のエンジニアリング・サプライチェーンへの投資拡大を保証するものです」と述べています。※リカルド社の持つショアハムバイシーの組立工場は、サリー州ウォーキングのマクラーレン生産センターからわずか80kmくらいの場所にある
さらにリカルド社CEO、グラハム・リッチー氏は「マクラーレンの次世代高性能V8パワートレインに関する新たなエンジン供給契約を締結できたことを非常に嬉しく思っています。我々リカルドは、マクラーレンと同様、卓越したエンジニアリングの実績があり、高性能な技術と最高水準の製品品質を提供し、川上のサプライチェーンに支えられています。この契約により、私たちはマクラーレンとの間に確立された、非常に成功した関係を第3の10年に向けて継続できることを楽しみにしています」とコメント。
今後のマクラーレンのエンジン構成はどうなる?
なお、今回明らかにされた「V8ハイブリッド」パワーユニットはまずマクラーレンP1後継モデルに載ると思われ、しかしそれだけではモトが取れないため、ほかのモデルにも積まれる可能性が大。
以前にマクラーレンの製品戦略担当ディレクター、ジェイミー・コルストルフィン氏は「私たちはすべての車種を電動化するために動いています。今後、すべてのニューモデルは確実に電動化されるでしょう」とコメントしており、(コレクター向けの一部モデルはハイブリッド化されないかもしれませんが)通常ラインアップはすべて電動化されると考えていいのかも。
そこでちょっと気になるのが「アルトゥーラに積まれるV6ハイブリッドはどうなるのか」。
このパワーユニットは未来のマクラーレンを支えるものと考えられていましたが、ここへきて「新設計の」V8ハイブリッドという予想外の選択肢が登場しており、今後のマクラーレンがV6ハイブリッドとV8ハイブリッドをどう使い分けるのかは気になるところ。
せっかく開発したV6ハイブリッドを切り捨ててV8ハイブリッド一本に絞るとも考えにくく、しかしこのV6ハイブリッドは前CEO(マイク・フルーイット氏)が導入したものなので、新CEOはこれに満足できなければコスト回収を行う前に廃止してしまう可能性もゼロではないのかもしれません。
もしくは、「同じシャシーに同じエンジン」の組み合わせによって車種を拡大してしまい、それぞれの差別化が十分できていなかったという反省を活かし、モデルごとにエンジンを分けるのか(エントリークラスのスーパースポーツ、今後発売されるSUVやセダンにはV6、上位クラスのスーパースポーツにはV8)、もしくは同一モデル内でV6とV8とを選べるようにしたりすることも考えられ、新しい製品ポートフォリオの発表を楽しみに待ちたいところですね。
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