| 現時点ではマクラーレンにどういった変化が訪れるのかはわからないが |
おそらく新しい親会社は「カネは出すが口は出さない」たぐいの望ましいオーナーだと思われる
さて、先般報じられたとおり、マクラーレン・オートモーティブ(マクラーレングループの市販車部門)に新しい投資者が登場し、株式が移されることで経営元が変わるとされていましたが、今回株式の売却手続きが完了し、その経営権が無事譲渡された、と発表されています。
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マクラーレンはこれによって潤沢な資金を得ることに
この「新しい経営元」はアブダビ政府系の投資機関CYVNホールディングスで、これまでのムムタラカットに代わる新しいオーナーとなりますが、今回のCYVNホールディングスの買収は「乗用車部門のみ」だとされるので、そのほかのマクラーレン各子会社は今までどおりムムタラカットに帰属するのだと思われます(ムムタラカットは2017年にマクラーレン・オートモーティブの一部を購入し、2024年にマクラーレン・グループの完全なコントロール権を手に入れている)。
そしてこの新しいオーナー、すなわちCYVNホールディングスは、「マクラーレンがビジネスを前進させるために必要な十分な資金を提供する」ことになるとされ、マクラーレンはようやく今回「安息を手に入れた」のかもしれません。
なお、興味深いのは、CYVNホールディングスは過去2年間で他の自動車関連企業にも出資しているということで、中国の電気自動車メーカーであるNioの株式20%を取得し、また、カーデザイナーであるゴードン・マレーの名を冠したゴードン・マレー・テクノロジーズ(GMT)にも投資しています。※イギリスのEVスタートアップ、ForSevenにも出資している
マクラーレンは「親会社経由」にて様々なテクノロジーへとアクセスが可能に
そしてここでは「iStream」と呼ばれるカーボンファイバーとスチールパイプを用いた新しいプラットフォーム(ただしこれまでのガソリン用とは異なってEV用)を設計しており、これは世界中の自動車メーカーに対して販売がなされるといい、今後はマクラーレンのカーボンファイバー工場がこのiStreamを製造したり、GMTからマクラーレンへの技術の流入も期待できる可能性もありそうです。
実際のところ、アブダビ政府はこの買収を通じ、マクラーレンが「エンジニアリングおよびデザイン能力、最先端技術、経験豊富なリーダーシップにアクセスできるようにし、マクラーレンの成長を促進する」と述べているので、CYVNホールディングスはこういった相乗効果を見込んでの「買収(投資)」だったのかもしれませんね。
CYVNホールディングスの会長、ジャッセム・モハメッド・ブ・アタバ・アル・ザアビ氏は、「この買収は、グローバルに接続されたモビリティプラットフォームを構築するというCYVNホールディングスのビジョンにおいて重要な瞬間を意味し、アブダビが先進的なモビリティの革新の中心地としての役割をますます強化していることを示しています」とコメント。
さらにCYVNホールディングスはマクラーレンの自動車部門だけでなく、レーシング部門にも出資するとも述べ、ただし支配的な株式構成を持つわけではなく、契約はすでに締結されているものの、アブダビ政府による取引の承認を待つ段階であるとも。
この取引の承認は問題なく進むと見られていますが、これによって今後CYVNホールディングスがマクラーレングループ全体に対する影響力を強めることとなるのは間違いないものと思われます(もし承認されなければ、マクラーレン・オートモーティブとマクラーレン・レーシングとが無関係な会社となってしまい、開発や販売、プロモーションにおける相乗効果を得られなくなってしまう)。
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