| 現在の親会社、ムムタカラットが語った内容だとして報じられ、おそらくこの話の真実味と実現性は高いであろう |
いずれにせよ、マクラーレンが資金的に安定するのは喜ばしいことである
さて、今年3月にはマクラーレンを(バーレーンの投資ファンドである)ムムタラカット・ホールディング・カンパニーが買収し、それまで経営難にあえいでいたマクラーレン オートモーティブ(乗用車部門)とそのレーシング部門を完全に所有し、平穏をもたらしていますが、今回アブダビのCYVNホールディングスが「マクラーレン オートモーティブの100%の所有権を取得するための非拘束的合意に達した」との報道(ムムタラカット・ホールディング・カンパニーが情報源だとされる)。
現在この合意は法的拘束力を持たないものの、ここから契約に移りこれが締結されるとなると、マクラーレンはたった7ヶ月の間に「2回も」オーナーが変わるということに。
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マクラーレンの体制変更が完了、バーレーン政府系ファンドがマクラーレンの株式100%を取得したとの公式発表。これで資金の心配はなくなり全力で前に進めそう
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現在、まだ公式な発表はなされていない
今のところマクラーレンからは何ら発表がなされていないものの、報じられた内容だと、CYVNホールディングスはマクラーレングループ全体にわたる非支配的な株式を取得するといい(もちろんレーシング部門も含まれる)、今後マクラーレンとCYVNホールディングスは電動車両に焦点を当てた潜在的なパートナーシップを探ってゆくとされています。
そしてムムタラカット・ホールディング・カンパニーは「CYVNホールディングスの投資により、追加の資本、先進的なエンジニアリング専門知識、特に電動車両分野での先駆的技術へのアクセスが可能になる」と述べているとされ、ここからマクラーレンは大きな飛躍を見せることとなるのかもしれません。
なお、マクラーレンはかつて「スーパースポーツ以外は作らない」とし、つまりSUVの可能性を排除していたわけですが、これによってビジネスチャンスを放棄していたこともまた間違いなく、それがコロナ禍に経験した致命的な売上欠損につながった可能性も。
ただしその後マクラーレンの取締役会は「ポルシェでカイエンを、フェラーリでプロサングエを」開発したスポーツSUVのパイオニアであるマイケル・ライターズ氏をCEOへと任命しています。
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マクラーレン新CEOに前フェラーリ重役、そしてポルシェに在籍したマイケル・ライターズ氏が就任。プロサングエ、カイエンの開発経験を買って「マクラーレンもSUVを」?
| このシナリオは「マクラーレンがSUVを開発」するもっとも現実的なものでもある | マクラーレンの今後の動向には期待がかかる さて、マクラーレンの新しいCEOにマイケル・ライターズ氏が指名された、と ...
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同氏は「エンジニア出身」ということもあって車両の構造や品質に明るく、着任そうそうにマクラーレンの問題を「品質」にあると見抜き、その後はアルトゥーラの品質改善を行うため(アルトゥーラの)デリバリーを幾度となく延期し「完璧な品質に」仕上げることに。
それと同時に「「720S」「GT」に磨きをかけて「750S」「GTS」としてリニューアルするなど既存モデルの改良にも取り組み、さらには新型ハイパーカー「W1」の開発と投入を行う傍ら、SUVの開発にも注力しているものと見られます。
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マイケル・ライタースCEOはかつてのマクラーレンの失敗を「品質」に加え、「過剰な生産」「需要を超えるハイパーカーの投入」、加えて「同じコンポーネントを使いまわしたことで顧客に飽きられてしまった」ことにあると広く分析し、それらの対策を行っている最中ではありますが、今後の体制変更で「どう変わるのか」には要注目。
ただし現在のマクラーレンの方向性が「間違っている」とは思えず、まずは基盤を固め、その一方でなるべく早くSUVを投入し現金を得るための方法を模索するという路線が継続されるだろう、と考えています。
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