| ミニはプレミアムにも進めず、大型化も選べず、エレクトリック化しか道が残されていない |
ミニブランドにおけるコミュニケーション部門のボス、アンドレアス・ラムカ氏によると「ジョン・クーパー・ワークスのエレクトリック化には懸念が残り、チャレンジングだ」。
ミニは現在ピュアエレクトリックモデル「ミニクーパーS E」を発表したところであり、その前にも中国の長城汽車と中国にてエレクトリックミニの生産を行う契約を締結していて、つまりミニは”エレクトリック化待ったなし”。
よってこの流れだと次世代ミニあたりからピュアエレクトリック化される可能性が高く、となると次期JCWもやはりエレクトリック化ということに。
JCWとエレクトリックとは相性が良くない?
ジョン・クーパー・ワークスはそのルーツからして「走り」を標榜したブランドであり、よって前出のアンドレアス・ラムカ氏は「エレクトリック化によってJCWのコアバリューである”走り”が失われる」ことを懸念していて、さらには走る楽しさのうち大きな要素である「サウンド」が失われるということについても否定的な見解を示しています。
そのブランドのVIPに当たる人間が、こういった感じでブランドの方向性についてネガティブな意志を示すことは非常に珍しいと認識していますが、実はミニブランド自体がちょっと前からやや迷走気味。
ミニはもはやどこにも行けない?
以前はプレミアムコンパクトというとミニの独壇場であったものの、今ではシトロエンやDS、プジョー、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディも勢力を増していて、さらにはSUVブームによってコンパクトカー需要自体が大きく減少。
これはとりわけ(世界二番目の規模を誇る)北米市場において顕著であり、さらには世界一の自動車マーケットである中国においては「大きさ」が正義といったところもあって小型車の人気はイマイチ。
かといって「ミニ」だけに車体を大型化するわけにもゆかず、加えて上位移行した「クロスオーバー」の販売も思ったほどではない(やはり高価格帯への移行はキツかったか・・・)と言われ、ミニは現在「もうどこにも行けず八方塞がり」。
そんな状況において唯一の出口が「エレクトリック」ということになりそうですが、このエレクトリック方面というのは(おそらく)ミニの中の人のだれもが「仕方なく」それしかないと思って進んでいるのだと思われ、「本当はそっちに行きたくはない」のかも。
そういった「いやいやながら目指すエレクトリック」が今回の発言のように”端々に”あらわれるのでしょうね。
ミニのエレクトリック化は多くの人が望んでいない
そしてこういった状況をさらに難しくしているのが「ミニのファンは、ほぼ誰もミニのエレクトリック化を望んでいない」と思われること。
実際のところミニクーパーS E発表後もさほど反響はなかったと見え、ミニ内部でも「仕方なくエレクトリック化を進めてきたが、もしかしたらこの方向性は間違ってたんじゃないか・・・」と思い始めた可能性もありそうです。
じゃあミニは今後どうすべきかということになりますが、ミニのライバルたちは「優れたデザイン」をもってミニを追撃し、その代替的選択肢として受け入れられているであろうことを考えると、やはりミニにとっては「さらにデザインに磨きをかける」のがもっとも有効な「打開策」なのかもしれません。