Image:Rolls-Royce
| 「スピリット・オブ・エクスタシー」は勝利の女神”ニケ”をモチーフにし、デザイナーによるアレンジが加えられていた |
そしてそのアレンジのインスピレーション元はロールス・ロイスオーナーの愛人である
さて、ロールス・ロイスがそのブランド120周年を迎えるに際し、そのマスコットである「スピリット・オブ・エクスタシー」にインスピレーションを得た10台限りの特別限定モデル「ファントム・シンティラ」を発表。
この「シンティラ」はラテン語で「スパーク」を意味する言葉に由来しているといい、これは、(スピリット・オブ・エクスタシーの生みの親とも言える)クロード・ジョンソンの”一瞬のひらめき”を視覚化するというコンセプトを持っており、同時にスピリット・オブ・エクスタシーの優美な美しさ、優雅さをたたえるという側面も持っています。
ロールス・ロイスのマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」はこうやって誕生した
スピリット オブ エクスタシーは、1世紀以上にわたり、優雅さと人間の偉業の象徴として捉えられ、音楽から写真、動画まで、数え切れないほどの芸術作品にインスピレーションを与えていますが、この起源は1910年まで遡ることができ、当時ロールス・ロイスのマネージングディレクター、クロード・ジョンソンが彫刻家兼イラストレーターのチャールズ・サイクスにマスコットの作成を依頼したことに端を発します。
この段階でクロード・ジョンソンは既にインスピレーションを心に描いていたといい、そのインスピレーション元は「パリ旅行中に訪れたルーブル美術館で見た、天から降りてくる神のギリシャ大理石像”サモトラケのニケ”」。※この石像自体は2000年以上前にギリシャの無名の彫刻家によって彫られている
しかしクロード・ジョンソンからモチーフとしての「サモトラケのニケ」を伝えられたチャールズ・サイクスは「その像は威圧的すぎて適切な題材ではない」と感じたといい、自身もロールス・ロイス・シルヴァーゴーストで頻繁に旅をしていた経験から「より繊細で幽玄な人物像の方が、このブランドの優雅さ、静寂、そして繊細な力強さをよりよく表現できるのでは」と感じたのだそう。
そこでクロード・ジョンソンは、ロールス・ロイスの熱狂的な支持者でもあったジョン・ウォルター・エドワード・ダグラス=スコット・モンタギュー卿の秘書兼愛人であったエレノア・ソーントンから追加にてインスピレーションを得てアレンジを加え、ここにに現在のスピリット・オブ・エクスタシー(の原型)が誕生したのだと説明されています。※様々な文献を見ると諸説あるようだが、上記がロールス・ロイスの公式見解ということに
そして今回のファントム・シンティラではスピリット・オブ・エクスタシーが「ホワイト」仕上げとなっていますが、これは「サモトラケのニケ」がギリシャのパロス島で古典時代に採掘されたきめの細かい白い大理石、パリアン大理石で彫刻されていることを考慮したもので、この素材は純粋さと美しい輝きで知られ、光が数センチの深さまで浸透し、内側から発せられているかのような輝き見せるのだそう。
ただしこのファントム・シンティラに採用されるスピリット・オブ・エクスタシーではパリアン大理石ではなく(この素材を入手できなかったのかもしれない)、パリアン大理石の質感を巧みに表現した特殊なセラミックが採用されることに。
「私たちはパリアン大理石の品質に魅了され、この素材は何ヶ月にもわたって研究の対象となりました。有名な彫像との明確でエレガントなつながりを生み出すために、このユニークな石の透明感と純粋さをとらえ、私たちのアイコンの優美な性質を完璧に取り入れたセラミック仕上げを開発しました」。
ロールスロイス モーター カーズ 特注カラーおよび素材デザイナー セリーナ・メッタン
ロールス・ロイス・ファントム・シンティラはこんな仕様を持っている
このファントム・シンティラのエクステリアはアンダルシアンホワイト(上部)、とトラキアブルー(下部)のツートン仕上げとなっており、これはサモトラケ島の海の色にインスピレーションを受けたもの(サモトラケ島のニケの女神像の出身地である)。
さらには繊細なメタリックフレークが水面に輝く太陽の輝きを再現し、スピリットブルーのダブルコーチラインとホイールピンストライプが優美な外観を引き立てます。
インテリアはスピリット オブ エクスタシーの表現力豊かでダイナミックなフォルムにインスピレーションを受けたデザイン要素、テクスチャ、連続グラフィックにて満たされており、ロールス・ロイスいわく「ビスポークのデザイナーと職人の緊密なコラボレーションの結果」。
「私たちは、水彩画のような 1 つのグラフィックを作りたかったのです。私たちはこれを”糸で描く”と呼んでいます。発光効果を生み出すために、4つの異なる色、糸の太さ、ステッチの向きを使用しました。そうすることで、ロールス・ロイスではこれまで探求されたことのない領域をカバーし、今までになかった最も密度の高い刺繍を実現しました。」
ロールスロイス・モーター・カーズ ビスポーク・カラー&マテリアル・デザイナー カトリン・レーマン
ドアの刺繍モチーフは、ロールス・ロイスでこれまで見られた中で最も複雑なデザインを持ち、ブルーグレー、アークティックホワイト、スピリットブルー、パウダーブルー、パステルイエローの糸を組み合わせた633,000ものステッチで構成されており、シートそのものは微妙な反射光沢を持つツイル生地で装飾され、インテリア内の素材の相互作用にさらなる複雑さを加えることに。
そしてダッシュボード上の「ギャラリー」には”天の脈動”と題された作品が埋め込まれ、これは7本のリボンで構成されており、それぞれがアルミニウムの無垢材から個別に削り出され、スピリット オブ エクスタシーのフィギュアと同じきめの細かいセラミック仕上げで装飾されるとともに、それぞれのエッジが鏡のように磨かれ、光を捉えて動きと流動感を生み出すのだそう。
ロールス・ロイス・ファントム「シンティラ」のプロモーション動画はこちら
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