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ブガッティが新型ハイパーカー「トゥールビヨン」発表。伝統のW16エンジンではなくV16エンジンを積み、その命名もレーシングドライバー由来ではなく腕時計の複雑機構から

2024/06/21

ブガッティが新型ハイパーカー「トゥールビヨン」発表。伝統のW16エンジンではなくV16エンジンを積み、その命名もレーシングドライバー由来ではなく腕時計の複雑機構から

| その外観こそはシロンに近いように思えるが、コンセプト、エンジニアリング、クオリティはまったく別のクルマである |

これまでブガッティが作ってきた数々の派生モデルのノウハウがここに生かされているようだ

さて、ブガッティがついにシロン後継となるハイパーカー、Tourbillon(トゥールビヨン)を発表。※価格は現時点では公開されていないが、英国だと380万ユーロ=現在の為替レートでは6億5000万円くらいだと報じられている

”トゥールビヨン”とは機械式腕時計における複雑機構のひとつですが、今回のネーミングによって、これまで”ヴェイロン””シロン”といった具合に、過去にブガッティを駆り活躍したレーシングドライバーの名を冠してきた伝統とは一線を引くことととなります。

一方、そのスタイリングはシロンを踏襲したものだと言ってよく、馬蹄形グリルや再度のCラインなど、ブガッティとしての重要なアイコンを引き継いでいることもわかりますね。

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ブガッティ・リマックCEOはこう語る

近代ブガッティは2004年に発表された「1,001馬力の」ヴェイロンからはじまり、そして2016年には1,500馬力にまで出力を向上させたシロンに引き継がれることに。

そして今、ヴェイロンの登場から20年が経過し、まったく新しいパワートレインとプラットフォームでコンセプトを完全に再定義した、1,800馬力を誇る次世代ハイパーカー、トゥールビヨンが登場することとなります。

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今回の発表に際し、ブガッティ・リマックCEO、メイト・リマック氏が発したコメントは以下の通り。

ブガッティ トゥールビヨンの開発は、115年にわたるブガッティの歴史と、(創業者である)エットーレ・ブガッティ自身の言葉によって、あらゆる段階において導かれています。彼のマントラである「比較できるものであれば、それはもはやブガッティではない」と「美しすぎるものなどない」は、私個人にとっても、ブガッティのハイパー スポーツカーのストーリーにおける次のエキサイティングな時代を創ろうとしている設計チームとエンジニアリング チームにとっても明確な指針となりました。

このトゥールビヨンでは、世界で最も美しい車として名高いType 57SC アトランティック(アトランティーク)、史上最も成功したレーシングカーであるType 35、そして最も野心的な高級車の1つであるType 41 ロワイヤルのようなアイコンが、私たちのインスピレーションの3つの柱となっています。美しさ、パフォーマンス、贅沢さがトゥールビヨンの青写真となりました。これまでのどのクルマよりもエレガントで、エモーショナルで、ラグジュアリーなクルマ。簡単に言えば、比類のないクルマ。そして、過去の象徴的なクルマと同じように、単に現在や未来のためだけではなく、Pour l’éternité、つまり永遠のために。”

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このトゥールビヨンは、象徴的な”W16エンジンを搭載しない”20年以上ぶりのブガッティとして登場していますが、それこそが「過去の伝説的なブガッティレーシングドライバーにちなんだ命名を行わなかった」理由だといい、その代わりに選ばれたのが「トゥールビヨン」。

トゥールビヨンは1801年にフランスに住んでいたスイス生まれの天才時計製造技士によって発明された機構であり、比類のない完全にオリジナルの構造を持ち、複雑で美しく、時計にかかる重力の影響を打ち消し、より一貫した時間を保つのに役立ちます。

そして200年以上経った今でも、それは時計製造の最高峰として崇められていますが、こういった「時代を超越した」存在、そしてその象徴としてのトゥールビヨンが「このハイパーカーのキャラクターを完璧に要約する名前」として選ばれたわけですね。※ブガッティ創業の地であるフランスとの関連性を持つこともこの名称を選んだ理由のひとつであると説明されている

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さらにブガッティによれば、「今世紀、そして次の世紀のコンクール・デレガンスに展示されることを考慮すると、テクノロジーがそのクルマのコアバリューであった場合、簡単に時代遅れになる」。

その最たる例として大型デジタルスクリーンを挙げており、ブガッティはこのクルマが時代遅れとならないよう、できるだけ多くの時代を超越したコンポーネントを使用することを心がけたといいますが、それを視覚的に表す部分が「スイスの時計職人が製作し、世界最高の時計と同じ注意と配慮で仕上げた完全なるアナログによる計器」。

もちろんこのほかにも時代を超越する数多くの設計およびエンジニアリング技術を利用しているそうで、それはもちろん「トゥールビヨンがが何世代にもわたって家宝となり、トゥールビヨンが永遠のクルマとなるよう」にという願いが込められているためです。

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ブガッティ トゥールビヨンはこんな特徴を持っている

そこでこのブガッティ・トゥールビヨンの詳細に触れてみると、まず設計段階の根本にあったのは、現代のすべてのブガッティと同様に「その形状はスピードによって形作られる」。

時速400キロ以上で走行するには、すべての表面、吸気口、隆起部を細かく研磨し、空力だけでなくそれらが熱力学にも役立つようにする必要があるといいます。

これがトゥールビヨンの基本原則であり、歴史にインスピレーションを得た4つのブガッティのデザイン要素、つまり「馬蹄形グリル、Cライン、センターライン、スプリットカラー」を中心にそれぞれの要素が考案されているわけですね。

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エットーレとジャン・ブガッティの作品は、空力、革新性、そして永続的な美しさにおいて独創的です。私たちはまず、ブガッティ タイプ35を参考にしました。このモデルでは、馬蹄形グリルの形状によって車全体の形状が決まり、この流線型の胴体形状へと先細りになっています。次に私たちはタイプ57SC アトランティックからインスピレーションを得ました。Sは Surbaissé (基本的に低くする) の略で、前面を低くし、ルーフラインを下げ、ドライバーを下げて、この素晴らしいスタンスとプロポーションを生み出したのです。これは私たちにとって非常に重要なことで、機能的でありながら車体の極端なプロポーションをサポートするボリュームの配置を慎重にキュレーションしています。車体が低くなると、幅が広く見え、ホイールのサイズが強調されます。筋肉に緊張があり、飛びかかる準備ができている姿勢のように見えます。あらゆる設計上の決定は、停止時でもスピード感を演出することに重点を置いています。

ブガッティ デザインディレクター、フランク・ヘイル
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ジャン・ブガッティが大胆なツートンカラーの塗装を車に施し始めて以来、それはブガッティのデザインDNAの重要な部分となり、トゥールビヨンでは、それを本物でありながら現代的な方法でさらに進化させています。その分割は、4番目の主要なデザイン要素であるブガッティの「Cライン」を中心に行われます。このラインは、タイプ41ロワイヤルのカラー分割ラインにインスピレーションを受け、ヴェイロンとシロンの両方のコアデザイン要素として生まれ変わりました。
新しいプロポーションと低くしたルーフラインに合わせて、ブガッティラインはより鋭くカーブし、ルーフの周りを曲がりくねってわずかに前傾し、サイドプロファイルに跳躍的な動きを与えています。

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かくしてトゥールビヨンは”デザインとプロポーションが美しいだけでなく”、すべての表面、吸気口、通気口においては時速400kmを超える速度で走行するクルマのみに要求される空気力学的な力と、フルパフォーマンス時のV16エンジン、エレクトリックモーター、バッテリーの熱力学的要件のバランスをとるために注意深く調整されることとなりますが、ここではヴェイロンとシロンにより20年以上培った専門知識、数多くの特許取得済みテクノロジーが存分に注入されています。

その一つがリヤウイングで、これは最高速度で走行しているときは格納されることで空気抵抗を低減し、一方で低速時やコーナリング時には高いダウンフォースを確立するため、あるいは減速時の安定性を向上させるエアブレーキとして使用されます。

ただ、このウイング自体は新しいものではなく、しかしこの効果を最大限にするのが新しいディフューザー コンセプト。

このディフューザーは、(ボディ底面の)キャビン内着座位置に相当する部分からから上昇し始め、トゥールビヨンを完璧なバランスに保つために理想的な角度で持ち上がっていて、車体後端においてオープンなリアエンドデザインを実現しています(このディフューザーはアンダーフロアに取り付けられた別体パーツではなく、車体構造の一部に組み込まれている)。

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トゥールビヨンのデザイン理念の中心にあるのは象徴的な馬蹄形(ホースシュー)グリルであり、ここを起点としてクルマのすべてのラインが生まれ、車体中央のボリュームを形成しています。

その左右に位置するのが”フライングフェンダー”で、これはヘッドライトの下に空気を流し、サイドインテークへの空気の質的流量を増加させるという役割を持ちますが、この複雑な空気の流れの相互作用は緻密なフロントデザインによってさらに効果が増幅され、オーバーハングを短く保ちつつもフロントボンネットから空気を導き、ダウンフォースを増強する超効率的な冷却システムを巧みに収容し、2つのラジエーターの間に大きなフロントトランクスペースを設けることに。※シロン以上に、空気の流れが視覚的にわかるように思える

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なお、このトゥールビヨンのエクステリアにおいて特筆すべきは(ヴェイロン、シロンでは採用されなかった)電動式ディヘドラルドアで、これは車両への乗り込みを容易にするだけでなく、乗降時における「ドラマチックな感覚も」も演出してくれます(こういった演出はスーパーカーやハイパーカーにとって重要である)。

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ブガッティ トゥールビヨンのインテリアはこんな特徴を持っている

そしてトゥールビヨンにおいて、エクステリア以上に見どころが多いのがインテリア。

各自動車メーカーがデジタルスクリーンやタッチスクリーンを採用し始めて以来、進歩の速度は非常に速く、10年も経たないうちにその初期のテクノロジーは時代遅れのように見えるようにも感じられますが、トゥールビヨンでは上述の通りに「100年後にもコンクールデレガンスの芝生に並ぶことを想像して」そのインテリアの設計がなされています。

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つまりインテリアのデザイン哲学は”時代を超越すること”で、100年以上前に設計され、機能的にはデジタル式腕時計やスマートウォッチには敵わない機械式腕時計が今でも着用され、現代のファッションやライフスタイルにシームレスに統合されているという事実にインスピレーションを得たといい、そこからブガッティのデザインチームとエンジニアリングチームは”キャビン内で本物のアナログ体験を”実現すべく模索を開始したのだそう。

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その中心となるのは、時計の哲学を文字通りの結論に導く「スイスの時計職人の専門知識で設計および構築された計器クラスター」。

600 個以上のパーツで構成され、チタンやサファイア、ルビーなどの宝石で作られたスケルトン クラスターは、最大で50ミクロン、最小5ミクロンの許容差で製造され、重量はわずか700gだと説明されています。

このメーターはダッシュボードではなくステアリングコラムに取り付けられており、「ステアリングホイールが回転しても」ステアリングコラム(ハブ)に固定されたままで、かつスポークがこのメーターの裏側にあるのでスポークがメーターの視認性を阻害しない”固定ハブ ステアリング ホイール”。

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そしてセンター コンソールはクリスタルガラスとアルミニウムによって構成され、スイッチの複雑な仕組み、そしてそこに収容されているエンジン始動の「プル」レバーが見えますが、このガラスは事故の際にも強度を保つように設計され、アルミニウム部品は、1つの金属ブロックから削り出された後にアルマイト(アノダイズド)加工が施されています。

一方、ローレット加工されたアルミニウム製のスイッチはクリスタル ガラスの下から見える複雑なメカニズムの先頭に配置され、エンジンの始動レバーは、歴史的な自動車の儀式である「引いて始動し、押すと停止する」という物理的な体験となるよう設計されているのだそう。

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なお、いかに「脱デジタル」といえど、実際のドライブに際してはスマートフォンとの連携等が要求されることは間違いなく、”必要なとき以外は見えない”高解像度のデジタルスクリーンが用意されていますが、これはわずか2秒でバックカメラ用の縦向きモードになり、5秒で完全な横向きモードになる、とのこと。

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このほか、内装のあらゆる要素の決定は(エクステリアと同様に)実用性や快適性に一切妥協することなく、究極のパフォーマンスを念頭に置いて行われており、たとえば、シートは可能な限り軽く低く床に固定され・・・、

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ペダルボックスは前後に電動で調整できるため、どのような体型であっても快適な運転姿勢を確保できるといい、この(シートをフロアに固定してシートレールを排除し、ペダルボックスを動かすという)新しいソリューションのおかげで広々とした車内を実現しています。

なお、興味深いのはオーディオシステムには従来のスピーカーやウーファーが用いられていないという事実で、ドアパネルと車全体にエキサイターを備え、既存の内装パネルをスピーカーとして(振動させ)使用する高度なシステムが選択されてること(従来のオーディオセットアップよりも軽量で効率的なシステムであり、自動車に必要な構造上の部品に別の役割を与えることで構成をシンプルにできる)。

ブガッティ トゥールビヨンのプロモーション動画はこちら

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参照:BUGATTI

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