| 効率面のみを考慮すると、ルノーの工場にて生産したほうが明らかにメリットがあるが |
それでも自社工場での生産をおこなうということは、それだけアルピーヌが特別なのだと思われる
さて、日本では販売店(ディーラー)が少ないためになかなか知名度の上がらないアルピーヌ。
しかし欧州では非常にその評価が高く、(ジェームズ・メイはじめ)多くの自動車ジャーナリストが自費にて購入したり、ゴードン・マレーが新しくスポーツカーシリーズを展開するにあたり「ベンチマーク」としたほど。
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もともとSUVの計画は存在したが
そんなアルピーヌですが、まずはスポーツカー(A110)を発売し、その後に(ガソリン版)SUVを発売するという計画を持っていたものの、思わぬ環境規制の厳格化、何よりA110の販売不振によってその計画が絶たれることに。
ただ、その後ルノーの組織再編により、ルノーのモータースポーツ担当部門「ルノー・スポール」をアルピーヌに置き換えるという決定がなされ、「廃止」とまで言われたアルピーヌの存続も決まっています。
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更にその後、アルピーヌはロータスと提携してエレクトリックブランドとしての道を歩むこととなり、大きくその方向性を変えてきた、というのが今までの流れ。
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そしてアルピーヌはつい先ごろ「2024年以降にEVを3台発表する」という声明を出していて、この中には、ホットハッチ、A110の新バージョン(後継)、そしてGT X-Overと名づけられたクロスオーバー(グランドツアラー)が含まれます。
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アルピーヌ製EVは自社工場にて、2025年に生産開始
加えて今回アルピーヌによって発表されたのが、GT X-overはアルピーヌのフランスの工場にて、2025年に生産されるということ。
このモデルについては、アルピーヌによると「アルピーヌの競争ノウハウとルノー・日産・三菱アライアンスにおける電気自動車に関するノウハウ、そしてアルピーヌ・ブランドを定義するスポーツ車両のすべての卓越性を組み合わせたものになる」。
このGT-X-overについては日産自動車と共同開発したCMF-EVプラットフォームを採用するといいますが、これは日産アリア、次期ルノー・メガーヌに採用されるプラットフォームで、つまりは「それらと同じくらいのサイズ」になるということを意味します。
そしてちょっと興味深いのは、「今後登場する3つのEV」のうちのホットハッチにはまた別のプラットフォーム「CMF-BEV」を使用するという発表内容で、これは新型ルノ-5、ルノー4ever SUV、日産マイクラ後継に採用されるもの。
さらに3つのうち最後の「A110後継」についてはロータスとの共同開発によるプラットフォームを使用すると見られるため、アルピーヌは今後「3つのEVを持ち」、しかしその3つともが異なるプラットフォームを持つというかなり異例の構成を持つことになりそうです(EV用プラットフォームは一般に汎用性が高く、ひとつのプラットフォームで幅広い車種をカバーし、コスト削減を狙うのが通例)。
もっと異例なのはそれらEVを生産する工場であり、上述の通り(少なくともGT X-overが)フランスのアルピーヌ工場で生産されるということ。
ルノー・日産・三菱アライアンスはコスト削減のために持てる資産を有効活用して無駄を省くという戦略を取っていて、そのため次期マイクラ(マーチ)ルノーと共通のプラットフォームを使用してルノーにて生産されるといいますが、アルピーヌGT X-overは、ルノーと共通するプラットフォームを持ちながらもアルピーヌの工場で生産するという「非効率的な」手法を採用するわけですね。
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その理由は謎ではあるものの、アルピーヌGT X-overは「ルノーの工場ではできないこと」が盛り込まれている車両だと考えるのが妥当であり、その特別さには(ほかのアルピーヌの2モデルとともに)期待したいところ。
なお、アルピーヌは、(自社の)ディエップ工場がノルマンディーで電気自動車を製造する最初の施設になると述べ、「このセグメントでは他に類を見ない特徴と装備を備えた車両を生産する 」ことを目指すと公言しています(よって、この工場ではやはり特別なモデルが生産される)。
もちろん今後のEV製造に向けて製造設備を一新することになり、この工場については正式名称が「Usine Alpine Dieppe」から「Manufacture Alpine Dieppe Jean Redele」に変更されるもよう。
なお、Redele=レデレとは1955年にアルピーヌを創業した人物の名であり、アルピーヌはこれを機に原点に回帰するということなのかもしれません。
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