| さすがに「ボンドカー」なみの装備を持った防弾仕様車は見たことがない |
APRがアウディRS7スポーツバックを「アーマード・ビークル」へとカスタム。
APRはいわゆる「本気の走り系」チューナーですが、こういった「防弾仕様」へのカスタムは非常に珍しいと思います。
それでも今回のような改装を行うということは、それだけ世の中が「物騒」になっている、ということなのでしょうね。
なお、北米、南米では銃器を使用した凶悪犯罪が急増しており、「防弾防爆仕様」の需要が非常に高くなっているとも報じられています。
これを受けてかメルセデス・ベンツでは防弾防爆グレード「ガード」を設定したり、アウディでも同じく「セキュリティ」といった仕様を”メーカー純正で”用意していることが報じられています。
そのパフォーマンスはランボルギーニ・ウラカンEVO並み
なお、APRがカスタムするからにはパフォーマンスの向上もセキュリティ同様「ハイレベル」で、4リッターV8ツインターボエンジンは771PSを発生し、これによって0-100キロ加速は2.9秒、最高速度は325km/hに。
これはランボルギーニ最新モデル「ウラカンEVO」と同タイムであり、どんなクルマが追ってきても逃げることができそうです。
通常、防弾防爆仕様となると「重量増加」が最大の懸念。
しかし、防弾装備を担当したAddArmor(アドアーマー)社ではその解決策を見出しており、ボディパネル内側にポリカーボネートを使用した防弾素材を採用。これはスチールの10倍の貫通強度を持ちながらも重量が60%軽いとされています。
ウインドウには「防弾ガラスとポリカーボネートとの積層素材」が使用され、これも「ガラスだけ」の素材に比較すると、ずっと軽く仕上がっているようですね。
なお、ウインドウの端に「段差」があるのは、アウディRS7は「サッシュレス」ドア構造を持つためで、ウインドウの上端がウエザーストリップに「差し込まれる」だけの余裕が必要なため。
RS7スポーツバックは、ドア開閉時にウインドウが上下する機構を持っていますが、上のほうまで分厚いガラスを使用すると、ドアを閉めたときにウインドウが上がりきらず、密閉性を損なうといった事態を防ぐことを考慮しています(ウインドウの縁はカーボンで補強されている)。
これらの努力もあって、欧州での防弾規格「B4」を達成しながらも、増加した重量はわずか91kg。
なお、B4は(44マグナム含む)拳銃から発射される弾丸に対応でき、もう一つ上のB5だと、ライフルやサブマシンガンにも対応する、といったレベルです。
下の画像は実際に弾丸を打ち込んだ状態ですが、たしかにしっかり室内を守っているようですね。
アウディRS7「防弾仕様」はボンドカー顔負けの装備を誇る
このアウディRS7スポーツバックは「防御」だけを考えたものではなく、「反撃」のための装備が装着されていることも一つの特徴。
車体の前後にはフラッシュライトを装備していますが、横長のライトはレッドとブルーに点滅し、ナンバーの横にあるライトは高周波サウンドと連動して強烈な光を発し、対象者の視覚と聴覚とを一時的に奪う「ソニック・サウンド・キャノン」。
エクステリアだとパンクしても走行可能なランフラットタイヤ、無理に開けようとすると電気ショックの走るドアハンドルも装備(スタンガン並みの電圧が流れるらしい)。
フロントは一見すると「普通」ですが、バンパー内部には強化フレームが入っていて、何かにぶつかったり、ぶつけたりしてもラジエターを守り、走行不能にならないための機構が隠されています。
そのほか地雷検知機能、ナイトビジョンといった装備も与えられている、とのこと。
センターコンソールにはこれらの装備を制御するスイッチがあり、一番左の赤いカバーがついたスイッチは「ペッパーガス」。
唐辛子の成分を抽出した催涙ガスの一種で、相手の戦闘能力を奪う装備です。
なお、反対に毒ガス等で攻撃されたときにはそれを即座に検知してアラートが発生し、備えつけのガスマスクで対応するようですね。
その左は「煙幕」ボタン。
そして煙幕を発生させるケミカルは別途タンクに充填します。
これに加えて「撒菱」「オイル散布」機能があれば完全にボンドカー。
こちらは「グローバル911コンシェルジュ」の端末。
もし緊急事態に陥ったとしてもワンボタンで助けを呼べるもので、まさに「命綱」ですね。
なお車内には「ガンラック」も装備され、ハンドガンやライフルを格納できる、とのこと。
こちらは衛星電話。
このアウディRS7については、同仕様を邦貨換算2200万円ほどで用意できるとアナウンスされており、既存車両にこういった安全装備を追加しようと考えたとき、最も安いパッケージだと300万円くらいから対応できる、としています。
一般人には縁のない仕様ですが、その生命を狙われたり、命の値段が「高い」人には安い買い物と言えるかもしれません。