| 本国からの指示によるリコールではないところを見ると、どうやら日本市場特有の問題ということになりそうだ |
いずれのリコールもけっこう内容がヘビー
さて、フォルクスワーゲンとアウディが全体で112万台にも及ぼうかという大規模リコールを発表。
内容を見てみると「走行不能になるおそれ」等おだやかでないものもあり、かつけっこうな台数に問題が発生しているもよう。
まずはアウディのリコールを見てみたいと思いますが、簡単に言うと「燃料漏れ」で、A1、A3セダン、A3スポーツバック、Q2、Q3の5車種20,012台が対象となっています(対象となる輸入期間は平成27年6月20日〜平成30年11月10日)。
なお、リコールの内容は下記の通りで、実際に18件の問題が発生しており、その問題発見の動機は「市場からの情報による」。
原動機に装着されている燃料パイプの取付けボルトにおいて、締め付けトルクの設計値が不適切なため、走行振動等により当該ボルトが緩むものがある。そのため、燃料漏れにより、ガソリン臭の発生とともに、エンジン制御システム故障の警告灯が点灯し、最悪の場合、走行不能になるおそれがある。
国土交通省
フォルクスワーゲン1件目のリコールはDSGの油圧システム
そしてフォルクスワーゲンは2件のリコールを届け出ており、まず1件目はDSGの油圧システム。
対象となるのはゴルフ、ゴルフ・ヴァリアント、ポロ、ビートル、CC、トゥーラン、クロストゥーラン、パサートヴァリアントと各バリエーション含む24車種で、対象となる輸入期間は平成19年10月22日〜平成27年1月7日、対象台数は6422台。
なお実際に68台に問題が発生していて、対象台数に対する比率だと「少なくない」問題発生率だと思います。
問題の内容は下記の通り。
7速DSG型自動変速機のメカトロニクスにおいて、アッパーハウジングのねじ切り加工が不適切なため、耐久性が不足しているものがある。そのため、アキュムレーターの継続的な油圧変化による疲労の蓄積により、アッパーハウジングに亀裂が発生し、油圧が低下して、最悪の場合、駆動力が伝達されず走行できなくなるおそれがある。
国土交通省
フォルクスワーゲン2件目は「燃料パイプ」
そしてフォルクスワーゲンのリコール2件目は「燃料パイプ」で、これは一番上のアウディと同じ内容で、対象となるのはポロ、ビートル、ゴルフヴァリアント、ティグアン、ゴルフ、ゴルフトゥーラン、パサート、パサートヴァリアント、シャランなど15車種、対象台数は91,241台(輸入期間は平成27年6月20日〜令和元年8月30日)。
リコールの内容は下記の通りで、対策としては「パイプ取り付けボルトを新品へと交換し、規定トルクで締め付ける」。
ちなみに実際に149件の問題が生じています。
原動機に装着されている燃料パイプの取付けボルトにおいて、締め付けトルクの設計値が不適切なため、走行振動等により当該ボルトが緩むものがある。そのため、燃料漏れにより、ガソリン臭の発生とともに、エンジン制御システム故障の警告灯が点灯し、最悪の場合、走行不能になるおそれがある。
国土交通省
トヨタはクラウンにリコール
さらにトヨタも国土交通省へと2件のリコールを届け出ており、1件目はクラウンのヘッドライト。
対象となるのは平成24年12月24日~平成27年9月4日に製造された121台で実際に発生した問題はゼロ。
問題の内容は下記の通りで、対策としては反射板とレンズを新品(対策済み)へと入れ替えることになります。
前照灯において、タクシー用途等で使用する際、想定を超えて長時間点灯し続けると、バルブからの熱と紫外線により反射板のアルミ蒸着が剥離することがある。そのため、そのまま使用を続けると、集光不足となり、光度が徐々に低下し、最悪の場合、保安基準第32条(前照灯の基準)を満足しなくなるおそれがある。
国土交通省
トヨタはさらにプリウスにもリコール
そしてトヨタの二件めのリコールはプリウスに対して出されたもので、パワーマネジメントコントロールコンピュータに問題があるというもの。
対象となるのは平成21年5月14日~平成26年2月5日に製造された8,669台で、問題の内容は下記の通り、そして対策としては「プログラムの書き換え」。
実際に発生した問題はゼロ、そして発見の動機は「社内からの情報」とのことで、社内での検品の際に発見されたものと思われます(こういったところ、トヨタは実にしっかりしている)。
ハイブリッドシステムにおいて、異常判定時の制御プログラムが不適切なため、極低速から急加速するような高負荷走行時等に昇圧回路の素子が損傷した場合、フェールセーフモードに移行できないことがある。そのため、警告灯が点灯し、ハイブリッドシステムが停止して、走行不能となるおそれがある。
国土交通省
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