| 正直なところ、BMWは戦略的に「非常に」うまくやっていると思う |
さらには「キドニーグリル」という他社にはない資産を有効に活用している
さて、BMWは史上最大のキドニーグリルを持つ「コンセプトXM」を公開しましたが、これはおそらく多くの批判にもかかわらず「コンセプトモデルに近いデザインで登場する」ものと思われます。
ちなみにBMWは昔から批判を恐れない会社でもあり、1990年代にBMW Z3クーペを発売した際にも「愛するか、立ち去るか(Love it. or leave it)」という挑戦的なコピーを用いたり、Twitter上でも「変化を受け入れることができない」人々を揶揄したことも。
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実際のところ非難轟々であろうとキドニーグリルは巨大化しており、さらには大きくなるだけではなく、2シリーズ・クーペではフレームに(カラー変更が可能と思われる)インサートを挿入したり、コンセプトXMでは「発光」するまでに強調されているわけですね。
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「光るグリルはもっと登場する」
そしてこの「光るグリル」についてですが、BMWグループの責任者であるフランク・ファン・ミール氏によれば「イルミネーショングリルやダイヤモンドヘッドライトは今後のBMWのクルマにも採用される予定である」。
つまり今後はコンセプトXMのような顔つきをもったクルマが登場すると考えてよく、コンセプトXMはその方向性を示唆している(デザイン的にはスタンドアローンではない)ということに。
なお、BMWはすでに「キドニーグリルの内側を光らせる」オプションを複数車種に対して用意しているので、キドニーグリルのフレームを光らせたとしても、とくに不思議はないかもしれませんね。
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BMWはなぜそこまでキドニーグリルにこだわるのか
そこで気になるのが「なぜBMWはここまでの批判を浴びているのにキドニーグリルを目立たせるのか」。
これには機能性など様々な理由付けがなされているものの、結局は「ブランディング」に尽きるものと思われます。
視覚的な差別化、他ブランドのクルマと並んだときの目立ち度、人々の記憶への刷り込み等様々な要素を意識しているものと思われ、「話題性」を狙っているのも間違いなさそう。
加えて、これだけ議論がなされるということは「関心を持たれている」ということにもほかならず、これはマザー・テレサが言った「愛の反対は憎しみではなく無関心」という言葉に表されるとおり、あたりさわりのないデザインを与え、嫌われないかわりに無関心でいられるよりはずっといい、とBMWは考えているのかもしれません。
実際のところ、BMWは「20%の人々に好きだと言ってもらえればそれでいい」とも語っていて、話題にならないよりも、たとえ炎上であっても話題を大きく拡散し、そして今までBMWに興味がなかった人にもその存在を知ってもらい、結果的に20%の「熱烈な」ファンを獲得できればそれで勝ち、ということなのでしょうね(炎上商法に通じるところがあるが、現代の社会構造を利用したウマいやり方でもある)。
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ただしBMWはモデルと性格によってキドニーグリルを使い分ける
ただ、BMWはキドニーグリルを巨大化しているといえど、その方法は「一律」ではなく、かねてより「モデルによって異なる手法を採用する」とも。
つまり、8シリーズやZ4のように「横長」のものもあれば、M3/M4のように縦長のデザインもあり、はたまたコンセプトXMのように「全体的に大きい」形状も存在します。
そして次世代7シリーズ、X7のフェイスリフト(マイナーチェンジ)モデル、コンセプトXMのプロダクションモデルについては、「これまでにない、そして下位モデルにはない新しいフロントのデザイン」が取り入れられるといい、つまりラグジュアリーモデル(ハイエンドモデル)には専用の顔つきが与えられるもよう。
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具体的には、フルモデルチェンジ版の新型7シリーズ、フェイスリフト版X7には「初」となるスプリットヘッドライト(ヘッドライトとデイタイムランニングランプにユニットが分離されている)、そして全般的に巨大化したキドニーグリルが採用されることになるとされ、これはBMWが以前から提唱している「高級車には立派なグリルを与える必要がある」「ヘッドライトなど、ランプ類が小さければ小さいほど高級に見える」ということを現実的に推し進めるものだと考えて良さそうです。
実際のところ、BMW傘下にあるロールスロイスはこれを「地で」行っており(コンセプトカーやワンオフモデルでは特にその傾向が強い)、BMWのハイエンドモデルもこれに倣うことになりそうですね。
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