>BMW(ビー・エム・ダブリュー)

開発を主導したのは後のポルシェ911のエンジニアとデザイナー。自動車史上もっともユニークなドアを持つBMW Z1が競売に登場。

2023/10/02

開発を主導したのは後のポルシェ911のエンジニアとデザイナー。自動車史上もっともユニークなドアを持つBMW Z1が競売に登場。

| 当時のBMWは今では信じられないような数々の対応を行っていた |

これほどコストが丹念にかけられたクルマも珍しいだろう

さて、ガルウイングやディヘドラルドアなど様々なドアの形状が存在しますが、おそらくは「自動車市場もっともユニークな」ドアを持つであろうクルマがこのBMW Z1。

1987年のフランクフルトにて発表されており、「Z」とは「Zukunft=ドイツ語で”未来”」を意味します。

開発を指揮したのはのちにポルシェで993等を手掛け、その後アストンマーティンCEOに就任したウルリッヒ・ベッツ氏です。※後にクラウス・ファウストに交代している

このBMW Z1は、生産台数わずか8,000台程度に留まる希少車で、今ではマニア垂涎のクルマのひとつとしても知られており、正直ぼくも「いい個体があれば手に入れたい」と考えているクルマでもあります。

BMW Z1はこんなクルマ

このBMW Z1は樹脂製のボディパネルを採用していること、エキゾーストシステム(マフラー)がディフューザー形状を持つこと、マルチリンクサスペンションを採用した初期のクルマの一台であることなどが知られていますが、なによりもこのZ1を有名にしたのは「ドア構造」。

こちらはドアが閉じている状態ですが・・。

h8ji6Lr8lRlrbhF1OEEa7QKd33YbeXuiII0tjcKt

ドアは下へとスライドして開くという特徴的な構造を持っています。

qfG5Q9timKy6lWjkrnjMXAFvY8qB7SwR8h0CeUaV

この開閉は電動で行われますが、これがZ1最大との特徴となるとともに(そして容易に想像できるように)泣き所となっていて、トラブルが頻発する部位となっているわけですね(ドアが下がるときは速く、上がるときは遅い)。

C7JoCwFWfAqSSDlpsrXBuC3gAxMaldA5jQb3FHiZ

ただしドアを開けたまま走行できるという、ほかのクルマには見られない特徴を持っており、色々な意味で「特殊なクルマ」と言えるかもしれません。

MktIqJY4oeleDNuDHBYq9EK5char5hyHE7dIGS4d

ドアを「上下」開閉方式とした理由はおそらく公式に語られていないものの、想像するに「ドアを開けたまま走る方法を考えたらこうなった」んじゃないかと想像しています。

tBDaCnfu90dImVcLn8l7jw1xsyBxlFj8sbS0IBt2

なお、プラットフォームは今では到底考えられない「専用設計」。

FQxqNYvrcqCxRsr3qqdvEsMRolS36F3EQDu3sg3E

そのため破綻のない美しいデザインを持っていると思います。

LaCIwEeXFUt47ShE2ei1mfCJQLMIEidgpPKItTWZ

そしてこういった未来的なシート形状や・・・。

59cS1d6217qShLqbGmmQC4bc1N8uiUxZNZiU4CgM

コンセプトカーライクな取り付け位置とステーを持つミラーなど、何から何まで特別感満載。

CKha1IuW3cDhEjhfsvzTEcmzRKX7fuSmaemL4vSK

ステアリングホイールも専用デザイン、しかしエアコンやオーディオ、エアコン吹き出し口などは当時のBMWからの流用です。

RLj5A29iIJZPu3XdtgkdOzWikJSSvgn8thy3iunB

BMW Z1の価値はどんどん上昇中

なお、このZ1のボディには熱可塑性プラスチック(復元が容易で、一時はこの素材が自動車のボディパネルの標準になると言われたことも。サターンにも採用された)、そしてパネルそのものも交換が可能です。

Qm9kpO1ozcyhOkVmoCFHrUlm3McGqOHfhnTSlkN6

そのため車体重量は(カーボンファイバーを使用していないにもかかわらず)非常に軽量に収まり、わずか1,250kg(乾燥重量)にとどまります。

hRL4iicsTRC8WPtWb72EVSr2qwNTZsgw1GeH0eSB

キドニーグリルも現代のBMWからは想像できないほどコンパクト。

ちなみにこのBMW Z1の車両デザインを担当したのはハーム・ラガーイ氏で、のちに同氏はポルシェにデザイン部門の責任者として移籍しており、996世代の911、初代ボクスター、初代カイエンをデザインしていますが、ハームラガーイ氏といい、ウルリッヒ・ベッツ氏といい、ポルシェに深く関与した人物がこのクルマの開発に携わっていたということになりますね。

VJJh0IZdpXbNZc6ZHdBHBMKQlzROpX7G1qZOVBF2

ポルシェ・ボクスター・コンセプト
ポルシェが"ボクスター25周年"を記念し「ボクスター開発当時」を振り返って貴重なデザインスケッチを公開!けっこう色々な案があったようだ

| ポルシェ・ボクスターはボクの中では永遠のアイドルだ | さて、ポルシェ・ボクスターが25周年を迎えるに当たり、ポルシェは125台のみ限定の特別記念モデル「ボクスター25」を発売していますが、今回は ...

続きを見る

搭載されるエンジンは2.5 リッター M20直列6気筒。

当時の3シリーズからの流用ではあるものの、低いボンネット内に収めるために「20度寝かせる」など様々な工夫が見られます。

OuylqQR89pBLIFUSFl0HiVqiC24g4OnHebz6mcCU

もちろんソフトトップも装備されています。

oYfFNUN8fUCwuuQg6Kuq9gNxfmAmwbRs5uuZSgim

あわせて読みたい、BMW 関連投稿

BMWはこんなデザイン原案から企画がスタートしていた。デザイナーは日本人の永島譲二、当時のデザインスケッチを見てみよう
BMW Z3はこんなデザイン原案から企画がスタートしていた。デザイナーは日本人の永島譲二、当時のデザインスケッチを見てみよう

| 最終のデザイン案は実際に発売されたZ3に随分近い | ただし途中では大きく雰囲気が異なるデザイン案も さて、BMWは過去に何度か「実現しなかったボツネタ(コンセプトカー)」を公開していますが、今回 ...

続きを見る

今でもボクが欲しくてたまらないBMWの珍車「Z1」が競売に登場!Zシリーズの元祖であり、ちなみにZシリーズのZはドイツ語で「未来」を意味している
今でもボクが欲しくてたまらないBMWの珍車「Z1」が競売に登場!Zシリーズの元祖でもあり、ちなみにZシリーズのZはドイツ語で「未来」を意味している

| 入手したとしてもおそらくZ1を普通に乗ることは難しいだろう | とにかくZ1はいろいろな意味で画期的なクルマだった さて、ぼくが1990年代に欲しくてたまらなかったクルマ、BMW Z1がオークショ ...

続きを見る

こんなコンセプトカーもあった。3座シティコミューター「BMW Z13」。他の変なクルマもあわせて紹介

| BMWは昔から小さなクルマを作りたかった | 1993年のジュネーブ・モーターショーにて発表されたコンセプトカー、BMW Z13。 マクラーレンF1よろしくセンターシート採用の3座となり、しかしこ ...

続きを見る

参照:CAR&CLASSIC

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Cirqua_Recommend / 1845256

->BMW(ビー・エム・ダブリュー)
-, , ,