| マット人気が拡大との報道。マット塗装の高い理由、手入れについて考える |
乗りものニュースによると、マット仕上げの人気が拡大している、とのこと(参照:『じわり人気「ツヤ消しマット」の車体色 「目立つ」「かっこいい」 しかし維持は大変!』)。
たしかに最近はマットを用意する自動車メーカーも増えており、すぐに思い浮かぶのは「マグノ」という名称でマットカラーを用意するメルセデス・ベンツ。
以前はこのマグノを選ぶと100万円くらい要したように思いますが、最近だとぐっと価格が下がって「数十万円」に。※BMWだとマットは”フローズン”
マット塗装の現状はこんな感じ
記事ではマットカラーについて、下記のようにまとめています。
・バイクだとマットはレギュラー色になりつつある
・欧州ではマットの人気が拡大
・メルセデス・ベンツ、BMWなど欧州車ブランドもマットを用意
・メルセデス・ベンツでは通常オプション(有償)としてマットを選択可能
さらに、日本市場における「メーカー純正マット塗装」のルーツは下記ではないか、と塗料メーカーのBASFジャパンへのインタビューを掲載。
2005(平成17)年にメルセデス・ベンツが、「CLKカブリオレ」にファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニとのコラボレーションで内外装を仕立てたモデルを投入しましたが、それがきっかけだと思います。限定モデルですが、エクステリアカラーにマットシルバーを採用しました。これ以後、同社では色の展開がされ、徐々に増えていったほか、ほかのメーカーもマットカラーを採用し始めました」(BASFジャパン)
マット塗装はコスト高?
そのほか、マット塗装は通常の塗装のクリアを「ツヤ無し」に替えたもので工程や料金は大きく変わるものではなく、しかし傷や手垢が付きやすいこと(たしかにダーク系だと指紋がついても以上に目立つ)、表面がザラザラしているので汚れやすいこと、洗車機NGなこと、コンパウンドで磨けないこと、等にも言及しています。
なお、ぼくの経験上ですが、塗装業者に聞いたところだと「クリア(艶あり)塗装」の場合だと塗装後になんらかの凹凸が発見された場合「削って磨けばいい」ということになるものの、マット仕上げの場合は「磨けない」ので、そもそもの塗装時に高い技術(とダストが出ない環境)を要すること、部分的な塗り直しができないので「失敗した場合」のコストが高くなる、という話も。
よって、今までいくつかの塗装業者にホイールの塗装を依頼してきたものの、マット仕上げには「特別料金」を取られたことがあります。
参考までにランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテの場合、マット塗装(ボディ)のオプション価格は1,446,012円。
これにかかわらず特別塗装色の価格は非常に高くなっていますが、これは「流れ作業で塗装できない」ため。
たとえばマット塗装を行おうとなると、通常の艶有りクリア塗料を入れた容器をカラにして洗浄してマットクリアを入れ、そしてこれが終わるともとの艶有りクリアを容器に入れることになりますが、この「入れ替え作業時」はクルマを作れないので、そのぶんの「ロス」がオプション価格として加算されることに。
場合によってはその車体だけを別の場所に持っていって特別に手作業でマットクリアを吹き付けたりすることになりますが、やはりこれもけっこうコストが掛かります。
なお、トヨタFJクルーザーの「マット」オプションは、製造中にマット塗装を行うことができない(つまり製造ラインを止めることができない)ため、一旦車体が完成した後にまたクルマを分解してマット塗装を行うという工程を取っているそうですが(オプション価格75万円くらい)、要はメーカーとしてはそれくらい「製造ラインを止めたくない」ということですね。
よって、メルセデス・ベンツの「マット(マグノ)」の価格が下がってきたということは、それだけマット仕上げを行う車両の数が増えており、専用のラインを設けているか、もしくはラインをマットように入れ替えるにしても、まとまった台数を塗装できるようになったのでロスが少ないか、ということなのかもしれません。
マットの手入れはどうする?
そして気になるマットの手入れですが、やはり擦ると「テカってしまう」のが事実。
メーカーによってはマット仕上げ専用のメンテナンスキットも販売しているほどですが、正直一部分だけがテカってしまうと、正直「塗り直すしか無い」状況となってしまい、かなり気を使う塗装だと言えるでしょう。
そういった状況を考えると、もしマットに塗装しようと考えるのであれば、塗装ではなく「マットのラッピング」を選択するのも一つの手。
ちなみにマット大好きな所ジョージによると、マットの洗車は「タワシで洗うのが一番いい」とのことで、それも納得ではあります。
VIA:乗りものニュース