
| たしかにメルセデス・ベンツはフラットプレーンクランクV8の採用を拡大するとコメントしていたが |
記事のポイント(要約)
- エンジン刷新: 定番の4.0L V8にレーシングカー譲りの「フラットプレーンクランク」を初採用
- パワーアップ: S580は従来比+34馬力の「530hp」へ。環境性能とパワーを両立
- 内外装の激変: 2,700点もの部品を改良。EQSスタイルの「ハイパースクリーン」がICEモデルにも
- デザインの遊び: ヘッドライトとテールランプに「スリーポインテッドスター」を散りばめた新意匠
伝統を捨てるのか、進化させるのか?メルセデスが出した答え
メルセデス・ベンツが、高級車のベンチマークでもあるSクラスの2027年モデル発表に向けて驚愕のアップデートを計画していることが明らかに。
ウワサによると、今回の改良は「フェイスリフト」という言葉では片付けられないほどの内容で、なんとメルセデス・ベンツは電動化へのシフトを進める一方、内燃機関の象徴であるV8エンジンを継続するばかりか「大幅アップデート」するもよう。
特に注目すべきは、これまで一部の超高性能AMGモデル(ブラックシリーズなど)にしか許されなかった「フラットプレーン・クランクシャフト」の採用だと報じられており、この「高いパフォーマンスを誇る代わりに、快適性を犠牲にする」エンジンを”なぜ”ラグジュアリーの極みであるSクラスに投入するのか、その真意に注目が集まっています。
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V8を「再発明」したM177 Evoエンジンの凄み
今回のフェイスリフトにおける目玉は、通称「M177 Evo」と呼ばれる改良型4.0L V8ツインターボエンジン。
「フラットプレーン」への転換が意味するもの
これまでのメルセデスV8は、ドロドロとした重低音が特徴の「クロスプレーン」方式を採用していましたが、これを180度対向の「フラットプレーン」へと変更したことで、以下のメリットが生まれ・・・。
- 圧倒的なレスポンス: 回転バランスが向上し、アクセル操作への反応が鋭敏
- 高効率・低排出: 排気干渉を抑え、エミッション(排出ガス)を低減
これにより新型S580は最高出力を530hp(従来型は496hp)まで高めつつ、より厳しい環境規制をクリアする、と言われています。
しかしながらこのフラットプレーンクランクV8はそのメリットと引き換えに「半ば致命的な」問題も存在し、それが「特有の振動」と「耐久性の低さ」。
よって多くの自動車メーカーはフラットプレーンクランクV8の採用を見送って「無難な」クロスプレーンクランクV8を採用していますが(マセラティに積まれていたV8はフェラーリからの供給ではあるが、フェラーリではフラットプレーンを採用するのに対し、マセラティではクロスプレーンに変更されていた)、なぜ「乗り心地」「耐久性」が重視され、日常的に使用され、かつ長距離を走ることが多いであろうSクラスにこのエンジンが採用されるのかという点がナゾを呼んでいるわけですね。※フラットプレーンクランクV8を採用する最大の理由は「パフォーマンス」であり、実際に採用するのはパフォーマンスのために他の要素を犠牲にしてもいいと考える場合のみである
新型Sクラス(2027年モデル)の主要スペック・変更点
フェイスリフトながら、再設計された部品は2,700点以上に及ぶといい・・・。
| 項目 | 詳細スペック・変更点 |
| エンジン | 4.0L V8 ツインターボ(M177 Evo)+ マイルドハイブリッド |
| 最高出力 | 530 hp(S580 4MATIC) |
| クランクシャフト形式 | フラットプレーン(新規採用) |
| エクステリア | スターパターンLEDヘッドライト / イルミネーテッドグリル |
| インテリア | MBUXハイパースクリーン(ダッシュボード全面ディスプレイ) |
| 主な新機能 | NVIDIA製チップによるレベル2++運転支援、iDamping(路面先読みサスペンション) |
デザインと性能:デジタルとアナログの融合
外観での最大の変化は「光の演出」。
テールランプ、そしてヘッドライト内にはメルセデス・ベンツの象徴である「スター」が浮かび上がる演出をを採用することがスパイフォトから判明しています。
グリルも発光タイプとなり、夜間の存在感は圧倒的だとされますが、これはEクラス(上の画像)、CLA、そして新型GLBへと続く流れでもあり、メルセデス・ベンツの「最近の定番」。
内装ではついに電気自動車のEQS(下の画像)で採用された「ハイパースクリーン」がSクラスにも導入されるといい、ダッシュボードの端から端までが巨大なガラス一枚で覆われ、SF映画のようなコックピットへと進化することに。
一方で、ステアリング上のボタンは「物理スイッチ」へと回帰し「タッチ操作への不満を解消する」という実用的な改善も含まれています。
競合比較:BMW 7シリーズやアウディ A8に対する優位性
ライバルのBMW 7シリーズが「巨大なキドニーグリルという視覚的インパクト」と「EV・ガソリンの統合プラットフォーム」で攻める中、メルセデスはあえてV8エンジンの中身を徹底的に磨き上げる道を選んでおり、これは「行き過ぎた電動化」によってファンから拒絶を食らってしまったメルセデス・ベンツのひとつの回答なのかもしれません。※であればV12エンジンを復活させてほしかった
- 対BMW: 7シリーズのV8よりも、フラットプレーン採用のメルセデスの方が「エンジンの特別感」で一歩リード
- 対アウディ: A8がモデルライフ終盤に差し掛かる中、最新のNVIDIA製チップとAI(MB.OS)を搭載してテクノロジー面で圧倒
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結論:Sクラスは依然として「最高の自動車」であり続ける
今回のアップデートで明確になったのは、メルセデス・ベンツが内燃機関搭載Sクラスを「単なるガソリン車の生き残り車種で、やがて消え去る存在」とは考えていないこと。
2,700点もの改良は、フルモデルチェンジに匹敵する投資でもあり、レーシング技術(フラットプレーン)をラグジュアリーへと転用し、最新のAIを融合させた新型Sクラスは、電動化時代においても「内燃機関の王座」を譲るつもりはないというメルセデス・ベンツの意思表示です。
なぜSクラスに「レーシングカーの技術」なのか?
「フラットプレーンクランク」は、通常フェラーリのような高回転型エンジンに使われており、甲高い排気音が特徴ではあるものの、上述のように振動が出やすいという弱点も存在します(シボレーがこれをコルベットZR1に積むのに苦労したというのは有名な話)。
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しかしこのV8エンジンをメルセデス・ベンツがSクラスに採用した理由は、ズバリ「燃焼効率」だとみられており、排気がスムーズに抜けるためターボチャージャーとの相性が良く、少ない燃料で大きなパワーを引き出せるからだとも。
「うるさくて振動がある」という常識を、メルセデス・ベンツの最新制御技術と遮音性でねじ伏せ、「超効率的でレスポンスの良い、究極に静かなV8」を作り上げる。
これこそが今回のフェイスリフト最大の驚きなのかもしれませんね。
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