>メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)

メルセデスAMG、新世代「M179」V8エンジンを2026年に投入へ。C63の失敗から多くを学び、過激な「フラットプレーンクランク」V8を拡大採用する見込み

メルセデスAMG

| メルセデスAMG C63の「V8廃止」は誤算だった |

まさかここまで「ダウンサイジング」「電動化」への拒否反応があろうとは

メルセデスAMGとV8エンジンとは非常に強い結びつきを持ちますが、新型C63では大胆にも4気筒PHEVへとダウンサイジングを行っており、これが多くのファンを失望させることに。

この新型4気筒PHEVはF1からの技術を取り入れた先進的なパワーユニットで、実際に従来のV8ツインターボを遥かに上回るハイパワー、そして効率性を発揮していたものの、メルセデスAMGの顧客の多くは「パワー」「パフォーマンス」よりも「V8エンジンのサウンド」を求めていたのだとも考えられます。

【AMGの後悔】C63がV8を捨てた代償は大きかった?メルセデス幹部が「4気筒2.0L PHEVは顧客に響かなかった」と認め、「V8を新しく開発中」と語る
【AMGの後悔】C63がV8を捨てた代償は大きかった?メルセデス幹部が「4気筒2.0L PHEVは顧客に響かなかった」と認め、「V8を新しく開発中」と語る

| 電動ターボ採用4気筒ハイブリッドは「最も進んだパワートレイン」だったが… | 一転してこのパワーユニットは予定よりも早く生産終了となるもよう かつてV8エンジンを誇ったAMG C63は最新世代で2 ...

続きを見る

メルセデスAMGの思惑と事実は「真逆」の方向へ

メルセデスAMGとしては「パワートレーンに左右されず、我々の顧客は先進性とパフォーマンスを求めている」と述べ、この画期的な4気筒PHEVが十分に受け入れられると考えていたものの、実際には完全なる誤算となってしまい、メルセデスAMGのトップ、ミヒャエル・シーベCEOも「一部の忠実な顧客を失った」と認めるなど、この決断がブランド価値を傷つけたことも明白に。

L1017724

【まだV8を諦めない】メルセデスAMGが新型V8エンジン開発中、さらにはV12エンジンも継続する意向を提示。その理由とは?
【まだV8を諦めない】メルセデスAMGが新型V8エンジン開発中、さらにはV12エンジンも継続する意向を提示。その理由とは?

| 現在の自動車業界のトレンドに「逆らう」ことにより、そのブランドの存在感、考え方を示し新興メーカーへと対抗ができる | ▶ 実はV12も生き残る!超弩級エンジンはまだ死なない 多くの自 ...

続きを見る

しかし2025年2月、メルセデスAMGはこの失敗から多くを学び、「次世代の電動化されたハイテクV8を2026年以降投入する」と発表するなど事実上の方針転換を示しています。

これは米国市場を中心に「まだまだV8を求める声が強い」という現実を反映した判断ではありますが、(おそらくはマイバッハのみとなりそうではあるものの)V12エンジンの継続についても言及がなされ、これまでの「電動化一本」からの大きなシフトです。※これまでメルセデス・ベンツは腰が重い会社ではあったが、この変わり身の速さを見るに、よほどC63での失敗がこたえたようだ

L1017768

メルセデス・ベンツ
メルセデスAMGがついに「ええ、C63の4気筒化によっていくばくかの顧客を失いました」と認める。優れたパワートレーンが顧客に認められないのはフェラーリ同様か

| メルセデスAMG C63に積まれる4気筒+プラグインハイブリッドはF1直系の素晴らしいユニットである | フェラーリF80同様、ダウンサイジングがなかなか顧客に受け入れられないのが難点である さて ...

続きを見る

新型V8「M179」の特徴とは?

現時点で公式情報は限られているものの、新エンジンは「M179」と呼ばれる4.0リッターV8ツインターボになるとされ、完全新設計というよりも従来のM176/M177/M178を進化させた設計を持つといい、以下の特徴が期待されています。

  • フラットプレーンクランク採用:高回転化・レスポンス向上を実現
  • ハイブリッド化:マイルドハイブリッド/PHEVの両方に対応し、出力強化と排出ガス規制を両立
  • パワーアップ:既存のAMG GTブラックシリーズ(720ps)を超える出力が予想され、800馬力級の可能性も
  • 専用エキゾーストシステム:特許による「8-4-2-1クロスオーバー」レイアウトで、クロスプレーンV8風の重厚なサウンドを再現
L1017748

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツがAMG(コンパクトクラス)に「V8を復活させる」と公式発表。さらにはフラットプレーンクランクの採用、V12の継続についても言及

| メルセデス・ベンツは大きな転換期を迎え、ガソリンエンジンにも注力することに | 反面、2リッター4気筒ターボは「非常に短命」に終わってしまう さて、メルセデス・ベンツは「今後の戦略」についてのプレ ...

続きを見る

どのモデルに搭載されるのか?

最初にM179を搭載すると見られているのはAMG CLE63で、このクルマは2026年末から2027年初頭に登場予定。

その後、以下のモデルにも順次展開される可能性がありますが、「フラットプレーンクランク」採用V8エンジンがここまで多くのモデルに採用されることとなれば、”C63の失敗によって失われた”顧客も戻ってくるのかもしれません(これが実現すれば、けっこうな大ニュースであり、いかにメルセデスAMGが本気であるかがわかる)。

【V8サウンドの秘密】クロスプレーンとフラットプレーンの違いとは?アメ車とフェラーリで「同じV8なのに」響きが違う理由
【V8サウンドの秘密】クロスプレーンとフラットプレーンの違いとは?アメ車とフェラーリで「同じV8なのに」響きが違う理由

| なぜV8エンジンには「低く響く音」と「高音で叫ぶ音」が存在するのか? | それはV8エンジン特有の「フラットプレーンクランク」に由来する V8エンジンと言えば低く重厚なサウンドでおなじみで、アメリ ...

続きを見る

  • AMG GT 63 クーペ
  • AMG GT 63 4ドアクーペ
  • AMG S 63
  • AMG GLE 63
  • AMG G 63

さらにはEクラス(E63)の復活や、Sクラス/GLSなど非AMGモデルへの展開も噂されており、911 GT3対抗とされる「AMG GT トラックスポーツ」コンセプトにも適用される可能性がありそうですね。

メルセデスAMG、「GTトラックスポーツ コンセプト」を予告。ポルシェ911 GT3 RS / 911 GT2 RSに真っ向勝負を挑むサーキット走行特化モデル?
メルセデスAMG、「GTトラックスポーツ コンセプト」を予告。ポルシェ911 GT3 RS / 911 GT2 RSに真っ向勝負を挑むサーキット走行特化モデル?

Mercedes-AMG | AMGの「GT」シリーズにサーキット走行特化モデル登場か? | AMG GTトラックスポーツ コンセプトは「記録を破るために生まれた」 メルセデスAMGが新たなGTシリー ...

続きを見る

L1017744

なお、4気筒エンジンを積むメルセデスAMG C63は現時点では「絶望的に売れず」失敗作として名を残すことになりそうですが、その失敗によってメルセデス・ベンツが新型V8エンジンを開発するのだとすれば、その失敗の意義はけして小さいものではなく、長い目で見ると「ひとつのターニングポイント」として評価すべきなのかもしれません。

まとめ

自動車業界には「排気量に代わるものはない(No replacement for displacement)」という言葉がありますが、まさにメルセデスAMGはその本質に立ち返ったといえるのかもしれません。

次世代のM179 V8は、電動化とのハイブリッド融合により、パワー・サウンド・環境性能を兼ね備えた“新しいAMG V8”として復活することになりそうです。

【なぜ不人気?】フェラーリ296 GTBの中古価格が急落中──V6ハイブリッドは“ファンへの裏切り”なのか?
【なぜ不人気?】フェラーリ296 GTBの中古価格が急落中──V6ハイブリッドは“ファンへの裏切り”なのか?

| やはり「新しい思想」が受け入れられるのには時間がかかる | フェラーリ296 GTB──中古市場で苦戦する最新モデル さて、フェラーリの最新ミッドシップモデル「296 GTB」が、予想外の中古価格 ...

続きを見る

あわせて読みたい、関連投稿

メルセデス・ベンツ
メルセデスAMGは「巨費をかけた」4気筒ハイブリッドを捨てるようだ。AMGファンがどうしても4気筒を受け入れることができず、直6エンジンへと移行するもよう

| ピュアエレクトリックパワートレーン同様、ハイパフォーマンスカーにおいて「ダウンサイズ」は一部のファンにとって許容しがたい | 過去にはポルシェが718ケイマン・ボクスターの一部グレードを「4気筒か ...

続きを見る

メルセデス・ベンツ
メルセデスAMG「C63の4気筒は万人には受け入れられませんでしたが、それでも新しいファンを獲得しました。その判断は間違っていなかったと思います」

| メルセデスAMGは今後プラグインハイブリッド/ハイブリッドに注力しつつもゆるやかに電動化を進めるようだ | 残念ながらC63にV8エンジンの復活は「ない」もよう さて、メルセデス・ベンツは「ライン ...

続きを見る

驚愕の680馬力、新型メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンス発表!C63初の4気筒、ハイブリッド、4WD、4WSなど新機軸を盛り込んだゲームチェンジャー
驚愕の680馬力、新型メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンス発表!C63初の4気筒、ハイブリッド、4WD、4WSなど新機軸を盛り込んだゲームチェンジャー

| 正直、メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスがここまで革新的なクルマになるとは想像しなかった | メルセデスAMGは「AMG One」を通じ、電動化をパフォーマンスに結びつける方程式を見つ ...

続きを見る

参照:Carbuzz

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)
-, , , ,