| 走り系チューナーも無視できない「この流れ」 |
ドイツのチューナー、DPモータースポーツが964世代のポルシェ911を初代911、つまり901世代へと先祖返りさせるプログラムを公開し、その実車もお披露目。
901世代の911は1964年に発表され、その後1974年には930へモデルチェンジし、そして1989年に登場したのが964世代の911(1994年まで生産)。
901の登場年と964の登場年との間には25年の隔たりがあるものの、その25年の歳月を物理的に埋めることができる、というのはポルシェ911の面白いところですね。
およそほかのクルマだと「25年前の外観に戻す」のはまず無理で、しかもそう考える人はまずいないと思われますが(マスタングやコルベットだと”いる”かも)、それだけポルシェ911が色褪せない魅力を持っていること、そして901がいかに完成されたクルマであったかのかがわかります。
DPモータースポーツは「遅れてきた大物」
なお、こういった「先祖返り」はもともとジンガー・ビークル・デザイン社が始めた手法ですが、今ではジンガーが開いたその扉から多くのフォロワーが流入。
中には過激なカスタムを行うチューナーもいて、一つの大きなブームになっていると言っても過言ではなさそう。
なおDPモータースはその中では「新参者」ではあるものの、ポルシェのチューンにかけてはかなりの実績と経験を持っており、ぼくとしては「遅れてきた大物」だと考えています。
ちょっと前には、なんと「935風」に改造してしまった964も披露していますね。
見た目は完全に901。
まさかこれが964ベースとは思うまい、という完成度ですね。
DPモータースポーツではこの個体を(アイリッシュグリーンだから)”スピーディー・アイリッシュマン”と呼んでおり、邦貨換算で2500万円にて販売する、としています。
なおボディパネルはカーボンファイバー、部位によってはケブラー製。
ボディは25ミリ広くなっており、901にて特徴的な、ヘッドライト下のグリル、ドアミラー、エンジンフード、モールやバンパーも忠実に再現しています。
ホイールは17インチサイズで鍛造(フックス製)、ヘッドライト内部は現代風なプロジェクター。
なおエンジンはもともとの3.6リッター・フラットシックスを3.8リッターに換装して321馬力を発生(718ケイマンより21馬力も強力)。
トランスミッションは5速MT、そして同世代の964RSに採用されたLSDが装着されている、とのこと。
サスペンションはKW製クラブスポーツ(かなり硬そう)を採用しています。
スピーディー・アイリッシュマンのインテリアはこうなっている
この901風964はインテリアにまでしっかり手が入っており、内装は「フルカスタム」。
カーペットはこんな感じでレトロかつ優雅な雰囲気へと張り替えられ、後部座席のあった部分にはクッションのようなものが敷かれていますね(シートベルトが取り払われているので、法的には後部座席に座れないと思う)。
ペダルもDPスポーツのアルミ製。
クラッチ、ブレーキペダルは993世代まで採用されていた、一般的な吊り下げ式ではない「オルガン式」(このクラッチペダルを踏むのにはちょっとした慣れが必要)。
シフトノブは縞々模様(ウッドの積層かも)。
この個体は「マニュアル・トランスミッション車」をベースとしていますが、964世代以降にはATの「ティプトロニック」も存在しているので、ベース車次第では「901ルックの911を、ATで乗れる」ということに。
ダッシュボード、ステアリングホイール、センターコンソール等はレーシーなアルカンターラ張りですね。
そこへブラウンレザーを組み合わせ、マットはリア同様にざっくりした質感を持つ生地を、そしてシートはブラウンレザーとチェックのファブリックを組み合わせ。
シートはレカロのバケット形状で、本来であれば901の時代に存在しえないものですが、レトロな生地を使用することでぴったりマッチ。
ダッシュボード中央に見えるラジオのようなものは、「ポルシェクラシック」の発売する、”クラシックポルシェの内装のデザインを損なわない”昔風のデザインを持つオーディオ&カーナビゲーションシステム(3.5インチ液晶ディスプレイを持っている)。
ジャガー・ランドローバーも同様の「レトロな」オーディオ&カーナビを発売していますね。
VIA:DP Motorsport