| そしてベンチャー企業の成功は「ポルシェの財政的価値を押し上げる |
現在ポルシェは「ソフトウエア」「空」「マイクロモビリティ」に興味を示しているようだ
ポルシェが新しいベンチャー企業に投資すべく2億5000万ユーロ(現在の為替レートで約363億円)を投資する準備がある、と発表。
ポルシェはこれまでにも音響会社、ソフトウエア会社、マイクロモビリティカンパニーなど様々なベンチャー企業へと投資していますが、その中でもっとも成功したのが「リマック」かと思われます。
最初は少額の投資から始め、その後に出資比率を拡大し、その後は実質子会社化するという形でフォルクスワーゲングループへと引き入れ、さらにはブガッティとの合弁会社「ブガッティ・リマック」を設立することでブガッティの(グループ放出という)危機を救ったばかりか、電動化の促進という意味においてもグループに大きく貢献しています。
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ポルシェは次のリマックを模索中
そこで今回の「投資先募集中」という冒頭の話につながるわけですが、ポルシェの(ベンチャーへの)投資の歴史は2016年に始まっており、ポルシェにて財務を担当するルッツ・メシュケ氏によれば「私たちの活動は、戦略的な観点だけでなく、財務的な観点からも成果を上げています」。
たとえば、上述のようなリマックとのつながりによって、ポルシェはリマックの電動パワートレインに関する専門知識から恩恵を受けることができ、ポルシェ含むフォルクスワーゲングループ各ブランドは「より高度な」バッテリー技術に取り組むことができ、ポルシェはタイカンそしてマカンEVにて電気自動車時代に突入し、リマックの技術を使用したエレクトリックハイパーカーを開発する可能性も出てくるわけですね。
これによってポルシェはその境界を押し広げることになりますが、こういった可能性が高く評価され、昨年9月にフランクフルト証券取引所へと上場した際には1996年のドイツテレコム以来となる超大型上場となり、瞬く間にヨーロッパで最も価値のある自動車メーカーとなっています。
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ポルシェの投資は「Porsche Ventures 2.0」に突入
つまりポルシェの「ベンチャーへの投資」は技術以外にも大きなメリットを生み出していて、ポルシェは今後も「技術と財政面」両方の観点から投資を強化することになりますが、ポルシェのベンチャーキャピタル部門であるポルシェ・ベンチャーズは今回ルクセンブルクに本社を構える「ポルシェ・インベストメント・マネジメントS.A.」という独立した子会社に名前と組織を変えることも発表されています。
さらにポルシェ・ベンチャーズの新オフィスは、ベルリン、パロアルト、上海、テルアビブにも設置され(東京にオフィスが設置されないのは、東京には前衛的なベンチャーが少ないからだと思われる)、「全世界で60もの」ベンチャー企業へと投資することになるそうですが、ポルシェはベンチャー企業を「成長させて技術・財政面で恩返ししてもらう」ことを狙っているため、ほかベンチャーの支援にて得たノウハウ含め、ベンチャー企業側としては万全のバックアップを期待することができそうですね。
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